■味の効用part.10~「辛味(刺激性の味)」の効果 ~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.126

★取りすぎると……

辛味が持つ加熱する効果は、冷えがちなヴァータにとって、はじめのうちはよい薬となります。
ところが、辛味は基本、乾燥熱という質を持つため、長期的な効果としては体をとても乾燥させてしまいます。

このため、はじめはよく思えても、辛味は結果的にヴァータを悪化させてしまうという特徴があります。

また、程よく食べる分には、よい刺激剤となるのですが、過剰にとり過ぎていると、以下のような症状の原因となる可能性が指摘されています。

*ヒリヒリとした灼熱感
*窒息感、息苦しさ
*めまい
*震え
*不眠
*筋肉痛
*失神、
*しゃっくり
*出血
*皮膚病の悪化
*炎症
*異常な喉の渇き
*疲労感
*吐き気
*胸焼け
*消化性潰瘍、
*下痢、便秘、および大腸炎
*精神的混乱、倦怠感、うつ病

また、この味を過剰に摂り過ぎている場合、男女ともに性的衰弱に繋がり、精子や卵子を殺してしまう恐れがあるとも言われているので、くれぐれも辛いものの食べ過ぎにはご注意下さい。

 

★例外の食べ物

辛味は乾燥熱をもたらすため、ヴァータを悪化させがちということは前に触れましたが、二つだけ例外なものがあります。

それは、「ショウガ」と「加熱されたにんにく」です。

この二つは辛味があるものの、消化を改善し、腸内ガスを排除する働きがあるため、ヴァータを悪化させることがなく、逆にヴァータをサポートしてくれるスパイスとなっています。

(加熱したにんにくは例外)

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・インドの辛さとタイの辛さ

さて、今回は辛味についてお伝えしました。

私はインドとタイの両方に住んでみて、ふと辛さの違いに気づきました。
どちらの国も、料理の中でチリを多用しますが、インドでは基本、チリは加熱して食べる方が圧倒的に多く、生ではそれほど使われていません。

一方タイでは、生のチリがそのままよく使われ、サラダ、あるいは肉と一緒に生の赤唐辛子が添えられていることがよくあります。

結論から言うと、加熱されたチリの方が、辛いことは辛いですが、断然マイルドです。

もうだいぶ前の話になりますが、タイの生チリ入りサラダをうっかり食べて、その辛さのあまり、冗談抜きで心臓が止まりそうになったことがあります。

生のチリの辛さは、強烈です。
特にもともとピッタ体質の方は、くれぐれも気をつけましょう。

タイは、「カッとなって○○した」といった類の事件がよく起こる国ですが、これは生チリの食べ過ぎ(ピッタの即効悪化)が原因のひとつなのかもしれません……。

◎次回は「苦味」についてお伝えしたいと思います。

 

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(トップ画像/ヴァータのお薬スパイス「ショウガ」)