■人間を癒す薬としての植物。~12~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』~vol. 187

ハーブ

ここでそれぞれを詳しく見ていきましょう。

1.「新鮮な汁」

ハーブの新鮮な汁は、新鮮な植物をつんだ後、つぶすか叩いて砕き、その後に布を使って液体を漉して得られます。ジューサーやミキサーを使うと楽チンです。

この方法は、ハーブの鮮度に左右されるために、それほど頻繁には使われていません。

アロエベラ、コリアンダー、ニンニク、生姜、レモン、ライム、玉ねぎ、パセリなど、簡単に手に入るハーブにこの方法が使われますが、野生のものや自家栽培のものが一番薬効があります。

乾燥ハーブの場合は、乾燥ハーブを砕いたものや粉末を使い、ハーブの重量に対し2倍の量の水を加えて24時間置いた後、液体を漉します。(ただし、新鮮なものと比べると効果は弱くなります)

2.「ハーブペースト」

ハーブのペーストは、新鮮な植物に水を加え、砕いて作ります。これは乾燥ハーブの粉を使ってもできます。また、ペーストは、ハーブに対しハーブの倍の量のハチミツやギー、オイルで作ることができます。すべてのハーブにこの方法で使えます。

3.「煎じ薬」

ハーブは通常、煎じ薬やお茶のようにお湯でふやかした状態で使います。煎じ薬は弱火でハーブを煮つめ、ホットインフュージョンは、沸騰点以下で蒸らしたり、一旦沸騰させたものを火からおろして冷まします。

煎じ薬の一般的なルールは、「乾燥ハーブと水の割合を1:16」にするというものです。

また、ハーブを弱火で煮つめ、水の量が4分の1になるまで沸騰させます。その後、ハーブを濾し、その液体を煎じ薬として使います。

このプロセスには数時間以上の時間がかかり、西洋の本草学で通常使用されるものよりも薬効が強い煎じ薬ができます。

中程度の煎じ薬でいい場合は、水が半分になるまでハーブを煮ることで得られるので、時間をそれほどかけずに作ることができます。弱い煎じ薬でよければ、水の量が4分の3ほど残っている状態でかまいません。

アーユルヴェーダでは、ハーブは一度沸騰させたものは基本的は破棄します。(他の伝統の薬草学では、一度沸騰させたハーブを2度3度使いまわしするものもあります。)

煎じ薬は、根、茎、樹皮、果実に最も適しています。
植物の硬い部分は、薬効成分が溶け出すまで長い時間をかけて加熱する必要があります。

4.「ホットインフュージョン(熱い浸出液)」

ホットインフュージョンの場合は、ハーブと水の比率を1:8にします。この時、ハーブに沸騰させたお湯を加え、最長12時間まで浸します。

通常、ふやかす時間の最低限は30分間です。
その後は、ハーブを漉して使います。

この方法は、花や葉のような、植物のよりデリケートな部位や、木質ではない植物に適しています。
また、ほとんどの香辛料や芳香性のアロマハーブにも適しています。

5.「コールドインフュージョン(冷たい浸出液)」

この方法は、常温または冷たい水にハーブを浸しておく方法です。通常、ホットインフュージョンよりも時間がかかり、少なくとも1時間かかります。また、ハーブを一晩浸しておくのが手っ取り早い方法です。

この方法は、特にデリケートで香りの強いハーブに使います。
ハイビスカス、ジャスミン、ミント、サンダルウッドなどのハーブには、この方法が適しています。この方法は、主に抗ピッタ薬として用いられます。

ハーブ

(インドのハーブボディスクラブ「ウブタン」)

 

★その他の方法
~牛乳煎じ薬~

アーユルヴェーダでは、煎じ薬は水だけでなく、牛乳でも作ることができます。
伝統的な方法は、ハーブ1、牛乳8、水32の割合です。

これらを混ぜ合わせたものを鍋に入れ、水分が全部蒸発するまで弱火で煮つめます。

この方法は、アシュワガンダやシャタヴァリといった有名な強壮ハーブに最も適します。

***

さて、アーユルヴェーダの伝統的なハーブ薬の作り方をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

自宅でも、好きなハーブを使って、プチ・ハーブ薬を作ってみてはいかがでしょうか。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/女性のための強壮ハーブ「シャタヴァリ」〈アスパラガスルート〉)