■人間を癒す薬としての植物。~12~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』~vol. 187

ハーブ

さて、これまで10回以上にわたってお伝えしてきたこのシリーズ、最終回の今回は、アーユルヴェーダにおけるハーブ薬の主な作られ方と使われ方をご紹介して締めたいと思います。

私は今では、肌や髪に使うハーブやオイルを「ひとつの薬」として当たり前のように思うようになりましたが、今思えば、インドに縁がなかったら、ハーブやオイルが薬だとは、一生気づかないままだったかもしれません。

もともとクセ毛だったために、ストレートヘアに憧れ、市販のストレートパーマ液をザブザブと使っていた頃(美容室へ行くよりもかなり安価ですむので)、それがいつのまにか習慣になり、その結果か細い極端なネコ毛しか生えてこなくなったことがありました。

髪が弱いので、ある程度の長さになると途中で勝手に切れてしまうほどになり、必然的にショートカットにしかできなかった当時。
ロングヘアに強い憧れを抱きながらも、一生無理だとほとんど諦めていました。

そんな化学薬品漬けだった私の頭皮と髪を、インド生活の中で出会ったハーブやオイルは、極細ネコ毛の少ない私の髪を、おだんごやポニーテールができるほどのロングヘアにしてくれました。

いかに、知らず知らずに使っているさまざまなヘアケアアイテムが、どれだけ頭皮や髪に悪いのかを身をもって知ることになったのも、アーユルヴェーダのハーブやハーブ製品のおかげです。

さて、アーユルヴェーダでは、ハーブをさまざまな方法で使う独特のやり方があります。

その主なものをご紹介しましょう。

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■アーユルヴェーダにおけるハーブ薬の作り方と使い方

アーユルヴェーダには、様々なハーブの調合方法があります。

これらには、浸出液(ハーブを液に浸して成分を溶け出させた液体。お茶などがこれにあたります)、煎じ薬、粉薬、湿布薬、油、塗り薬の方法が含まれますが、これらは西洋の本草学で一般的に使用されているものよりもはるかにヴァリエーションが豊かです。

アーユルヴェーダには、ハーブワイン、ゼリー、樹脂製剤、丸薬、錠剤などがあります。

薬として売られている瓶入りのハーブワインは、本当においしくて、飲むのがいつも楽しみでした。(笑)

また、ミネラル、金属、灰、塩類、アルカリ、糖類なども、特殊な薬剤を作るために用いられます。

薬が準備される際には、マントラ(呪文)やヤントラ(主にインドの宗教のタントラの伝統に由来する神秘的な図)、儀式、火が使われ、また、特定の神聖な日や、月の満ち欠けや星座の影響に合わせて、薬が管理されることもあります。
とてもインドらしいですね。

ハーブ

(インド時代にはまった、アーユルヴェーダのハーブワイン〈心臓強壮薬〉)

 

★ハーブ調合の主な5つの方法

では、ちょっと本格的な話になりますが、生のハーブは、一般的に次の5つの抽出方法によって使われます。

1.植物の新鮮な汁
2.果肉や茎の髄を砕いたもの、またはペースト
3.煎じ薬
4.熱い浸出液
5.冷たい浸出液

この中で、最も強力なのは生の汁で、最も弱いものが水に浸して作る浸出液です。