■免疫を高める食品選び〈9〉 小麦は本当に悪モノ?~グルテンフリー食・アーユルヴェーダの見解 その4~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.91

インド料理レストランへ行けば、食後の仕上げに、ほぼ必ずといっていいほど、口直しと消化促進のためのフェンネルシードが盛られた器 が出てきます。

前回では、便利で快適な現代食生活を送る上で、いつの間にか少しずつ弱くなってしまっている私たちの消化力についてお伝えしました。

小麦を食べること自体は、必ずしも健康維持のための必須条件ではないとしても、ある特定の食べ物を消化できないということは、私たちの体に備わる解毒経路もうまく機能していないということ。

消化力を高める=解毒力もアップ。
ということで、今回は、そんな弱った現代人の私たちの消化力を、自然で安全な方法で高めるために、古代アーユルヴェーダの知恵を拝借ということで、アーユルヴェーダにおいて伝統的に使われ、その効果が立証されてきた消化促進スパイスについてお伝えしたいと思います。

 

■怠けた消化系を揺さぶる、アーユルヴェーダ伝統スパイス

ショウガ、クミンシード、コリアンダーシード、カルダモン、フェンネルは、消化器官と体の解毒経路を健康に保つために、何千年もの間使われてきたアーユルヴェーダのお墨付き伝統ハーブ。

加工食品大国・アメリカではなんと、人口の74%というとんでもない数の人たちが、日々、消化関連の不調(ガス、腹部膨張、消化不良、腹痛、下痢など)に苦しんでいるという報告がなされているのは、驚きです。

これらの5つのスパイスは、単独で使っても独自の効果がありますが、組み合わせるとさらに相乗効果が得られ、消化をより助けるとされています。

では、それぞれのスパイスについて見てみましょう。

(インドの日常食・チャパティとダル〈豆カレー〉)

★コリアンダーシード

独特の青臭みがあるコリアンダーの葉(シラントロ)は、かなり好き嫌いが分かれるところですが、コリアンダーの種は、これらの5つのスパ
イスの中でも一番冷却効果のあるスパイスです。
一般的に、消化促進ハーブやスパイスは、ピッタを悪化させるものが多い中、コリアンダーは別格。体と腸管の中の余分なピッタを冷却しなが
らも消化を促進させる特性があることで最もよく知られています。

⇒効果:三つのドーシャすべてによく、特にピッタのバランスをとるのに最適。

★カルダモン

カルダモンといえば、インドのスパイス入りミルクティー・チャイに欠かせないスパイスのひとつ。
カルダモンは、紅茶やコーヒーなどのカフェインの酸性度を低下させるため、カフェイン刺激による神経系への負担を減らし、消化プロセスを助けます。(トルコでは伝統的にコーヒーにカルダモンを加えて飲まれています)

⇒効果:三つドーシャすべて(ヴァータ、ピッタ、カファ)のバランスをとります。

★クミンシード

クミンは、これらの5つのスパイスの中で、最も強力な消化強壮剤とされるスパイスです。
クミンの効果はコリアンダーシードと似ていて、消化系を冷やしながら消化力を高める効果があります。

インド料理レストランに行くと大抵、ジーラライス(ジーラはヒンズー語でクミンのこと)というご飯がメニューにありますが、こんがり炒めたクミンに、刻んだコリアンダーの葉がパラパラとちりばめられたこの風味豊かなインド風焼き飯は、消化吸収がばっちり。
胃腸にとてもやさしいので、食欲がないときなどに特におすすめです。

⇒効果:三つドーシャすべて(ヴァータ、ピッタ、カファ)のバランスをとります。

★フェンネルシード

フェンネルは、アーユルヴェーダにおいて、リンパを動かす効果が称賛されているスパイスのひとつ。
他のスパイスと同じように、三つのドーシャすべてにいい最高の消化スパイスとされています。
また、スパイスの中でも最もサットヴァ的(純粋性とバランスを促進するもの)と考えられています。

⇒効果:三つドーシャすべて(ヴァータ、ピッタ、カファ)のバランスをとります。

(食後の口直しフェンネルシード@インドレストラン)

★ショウガ

アーユルヴェーダにおいてショウガは、たくさんの優れた薬効があることから、万能スパイスと呼ばれています。
刺激性で、過剰に使いすぎるとピッタを悪化させることがありますが、弱った胃の消化力に発火剤となるスパイスとして重宝します。

ショウガは、腸壁と腸内微生物の健康をサポートし、食物の栄養同化を大いに助けるスパイスです。

⇒効果:ヴァータとカファのバランスをとりますが、ピッタを増大させることがあります。

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こういったスパイス類は、インドでは日常的によく食べられているものばかり。

インド料理レストランへ行けば、食後の仕上げに、ほぼ必ずといっていいほど、口直しと消化促進のためのフェンネルシードが盛られた器が出てきます。
(ローカルなレストランだと、一つの入れ物に盛られたものを手づかみでとる場合が多く、おそらく前の食事客やそのまた前のお客が指を突っ込んだものがそのまま使いまわしで出てくるため、当時の私にはなかなか難関でした……)

インドの人たちは、消化の難しいグルテンを全粒小麦という自然のままの栄養バランスがとれたチャパティという形で食べ、さらにこういった5つのスパイスやターメリックなどの他のスパイスが入ったカレーを一緒に食べます。

そして、これでもかといわんばかりに、食後にはさらにフェンネルシードで口直し。

……インドの人たちの免疫力が強いのは、当然かもしれませんね。

 

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http://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像はコリアンダーシードはピッタに特にいい消化促進スパイス)