ココロセラピストが語る!『コトバノナイフ&コトバノキズ~見えない傷がうずくとき~』

たとえば集団の輪に入るとき、細い人がたくさんいる集団を無意識に避けてしまう。
それほど困ることが無ければ良いですが、細い人の集団の中に入ったからといって、誰かがイジワルをしてくるわけではありません。

もしかしたら親友になれる人がいるかもしれません。
でも、可能性を自分から閉ざしてしまうのです。
これは非常に勿体ないことです。
でも、本人は無意識なので、それに気づいていないのです。

本当はとても美人なのに「ブス」と言われたことを無意識が記憶していると、それが心の傷になって、自然と『ブスの行動』を取るようになります。

やたら美に執着してみたり、同性の美人を見ると何故だか怒りが込み上げて来たり。本当は、自分だって対等、またはそれ以上かもしれないのに、何故か人間関係が円滑にいかなくなってしまうのです。

仮に誰かに「お綺麗ですね」とか「可愛いですね」と褒めて貰っても、『言の刃』によって傷つけられた傷が疼いて、その言葉を素直に受け取れず「からかっているのか?」「バカにしているのか?」と折角褒めてくれている相手を警戒したり、敵視してしまったりするのです。

あまり考えないかもしれませんが、これは本当に恐ろしいことです。
知らず知らずに人生の質を低下させてしまっているのですから。

意識できていないのなら構わないではないかと思うかもしれませんが、本来ならばもっと輝ける可能性があるのに、見えない心の傷で制限がかかってしまっているなんて恐ろしくありませんか。

人は誰でも、ふと急に心が不安定になることがあります。
僕もあります。

特に特別な何か出来事が合ったわけでもないのに、急に忘れていたはずの『言の刃』の傷が疼きだすのです。

具体的に列挙して行けばキリがないのですが、子供のころに遡れば塾の先生に呼びとめられて「どうしてそんなに成績が悪いんだ?」と言われたことを思い出すと本当に具合が悪くなります。
これは今でこそネタとして話していますが、その感情だけは今もハッキリ思い出せますし、かなり時々ではありますが具合が悪くなったりします。

ちなみに、僕は特に数学が苦手でした。
勉強しなかったわけではなく、はやり苦手を克服したいという気持ちもあったので、それなりに頑張っていたつもりです。
でも、人は得意不得意もありますので、ある程度は仕方のない部分もあります。
ただ「やればできる子」という話ではなく「やったけどできなかった……」というのはかなり意味合いが違います。

結果こそすべてと言われればそれまでですが、当時の自分の苦悩や努力を一瞬で否定されてしまうと、その破壊力は計り知れないのです。
それ以降、元々素質がななった上に、心に傷ができてしまい、癒えなくなってしまったからか、本当に数学が出来なくなってしまって現在に至っています。
大人なので無理に数学を使わなくても良いのでそれだけが救いです。
ちなみに、その塾の先生を恨んでいるとか、そういうことではありません。
名前も思い出せません。

よく「心は痛まない」「心は折れない」「心というものが幻想なのだから傷などつかない」という話を耳にすることがあります。
確かにその通りなのですが、幻想だろうと何だろうと苦しいものは苦しいのです。
もしも苦しみが幻想なら、優しさだって愛だって幻想かもしれません。
そこまで割り切ってしまったら、もはやただのサイコパスです。

だから、心の傷があろうとなかろうと、苦しいものは苦しいのです。
だから、楽しくはありませんが苦しんで良いのです。
自分の心を否定するともっと苦しくなってしまうのです。
場合によっては、カウンセリングやセラピーを受けてみるのも良いかもしれません。
その必要が無ければ、自分自身でその感情を、そっと優しく認めてあげればいいのです。
くれぐれも、その感情に支配されて自分の周囲に悪影響を及ぼしたり、自滅したりしなければ大丈夫です。

 

言の葉

今までの話の流れでは、自分自身が『言の刃』で傷ついた古傷がときどき顔を出すという話をして来ました。
しかし、考えてみれば、自分の発した言葉が相手をグサリと深く傷つけている可能性もあるのです。

「○○さんが××と言ったから、私は不幸になった!」という具体性を帯びたものでは無くても、言葉のパワーだけが感情となって残ってしまうと、やはり生き辛くなってしまうのです。

僕もカウンセリングの時は別ですが、一個人として話しをする際は、素で話してしまうのでもしかしたら、誰かを知らず知らずに傷つけてしまっているかもしれません。
だからこそ、相手を思いやる気持ちを常日頃から持つ事が大切なのです。

 

おまけ:カウンセリングの話

よくカウンセリングのクライエントさんが、カウンセリングではない時間帯にその件で僕に意見を求めてくる事が多いのですが、徹底してお断りしています。

カウンセリングは「クライエントVSクライエント」なのです。
つまり、自分と自分の対話なのです。
カウンセラーやセラピストは、その仲介に過ぎないので、本来意見を求めるべき存在ではないのです。
自分の中で、自分の気持ちと向き合うことに価値があるのです。

だからカウンセリング中ではない時間にカウンセリングで語るべき内容を言われてしまうと、無料カウンセリングするわけにもいきませんし、自分の意見をガツンというわけにもいかないのです。

クライエントさんに対し、個人的な意見を聞かせてくれと言われても安易に言ってしまうと、無意識の中ではカウンセリングの延長としてカウンセラーやセラピストが言った発言(模範解答)と認識されてしまうと、すべてが台無しになってしまうのです。
図式が「カウンセラーVSクライエント」になってしまったら、それはカウンセリングの失敗を意味します。

カウンセリングを受けようと思っている人は、このことをぜひ頭の片隅に入れておいてください。
「お金を払っていない間は冷酷無慈悲で私の事なんか、どうっだっていいんだ。結局はお金のことしか頭にない」とくれぐれも解釈しないで下さいね。

個人的なお願いでした。

 

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