ココロセラピストが語る!『コトバノナイフ&コトバノキズ~見えない傷がうずくとき~』

コトバノナイフ

言葉は『言の葉』と言います。
『葉』には裏の意味があって、『刃』が隠されているという話を聞いた事があります。

『言の刃』、コトノハ……。

言葉には『言霊』という不思議なパワーが込められていると言います。
だから、余計な事を言うと、それが現実になってしまうからむやみやたらと口にしない方が良いという人もいます。
ポジティヴシンキングやプラス思考の人は、嘘くさくても良いことしか言わないですよね。
少々気持ち悪いですが、それはまさに言霊の力を意識しているに他なりません。

僕は必ずしもネガティヴなワードが有害であり、人生にとって意味がないとは思っておらず、それはそれで大事だと思っています。
要は、使い方とその先の意図だと思います。

たとえば少女マンガなどでは「バカ……」と言いながら、涙を流して喜びながらイケメンな男性に抱きついたりしますよね。
言葉はどうあれ、ハッピーエンドになるのです。

それはそれとして。『言の刃』を剥き出しにしたまま安易に使ってしまうと、それこそ悪い意味で言霊パワーが影響力を与えてしまうのです。本当に誰かを傷つけてしまうのです。

だから誰かを傷つけるような言葉を『言葉のナイフ』とか『言葉は刃物』とか言ったりしますよね。
これこそが『言の刃』なのです。

だからこそ『刃』を『葉』で優しく包んで『言の葉』、つまり言葉を紡ぎだす必要があるのです。
だって、お互いに剥き出しの『言の刃』で傷つけあっていたら、人類なんてあっという間に滅んでしまいますから。

 

心の傷

心の傷というと、精神疾患をイメージするかもしれません。
しかし、心の傷は誰しもが大なり小なり持っています。
心に傷があると病気というわけではありません。

私たちは通常、心の傷を意識しながら生活をしているわけではありません。
心の傷は癒えますし、忘れることもあります。
気にならなくなることもあります。

ただ、心の傷が必ずしも消滅したかどうかはまた別の話で、ときどきひょっこりと顔を出す場合もあるのです。

トラウマという言葉がありますが、嫌な体験が心にこびりついていると日常生活に支障が出て来たりするわけです。
ちなみにトラウマというのは厳密には意識しづらい場所にその体験が埋もれて入るものの、わかりやすく出てこないので何らかの不具合として、症状として現れる事が多いです。

逆に言えば、ハッキリと認識できる程度のものであれば、刺激が強い体験であれ厳密にはトラウマとは少し違います。

なんだかわからない気持ちの悪さ。
なんだかわからない心身の痛み。

どうにもならないから気にしても意味がないのかもしれないけれど、やっぱり落ち着かないし、気になってくる。
簡単に言えば、これがトラウマです。

トラウマ体験は、犬に噛まれたことがあるとか、海で溺れかけたとか、出来事をイメージするかもしれません。
しかし、『言葉のナイフ』がぐさりと心に深い傷を残してしまったら、表面上は癒えていても、やはりときどき傷が顔を出すこともあるのです。

「チビ」「デブ」「ハゲ」「ブス」etc……。
まず大人は口にしない言葉ですが、有名どころの例としてはわかりやすいと思います。

冷静に考えれば、そのような言葉を使う人は幼児性が抜け切れておらず、精神的にも未熟な人です。
だから、そんな言葉にハッキリ言って説得力はありません。

しかし、だからと言って実際に言われると理屈抜きで『言の刃』がグサリと心に突き刺さってしまうという人も多いのです。

おそらく自他とにも「大したことない」とか「子供の頃の記憶だ」とか軽くあしらおうとすると思うのですが、人によっては根深く残っているのです。

「子供の頃、デブと言われたから……」とハッキリと、それを記憶していて心の傷が時々、不具合になって浮かび上がってくるのではなく、四六時中思い出しては愚痴っている人もいますが、それはそれでわかりやすいから対処しやすいと言えば対処しやすいのです。
もちろん深入りしたくはありませんが。

頭ではそんなに大したことではないと理解しています。
日常生活に忙殺されて記憶からも薄れて行きます。

だから、これで解決かというと、そうではありません。
そこがまた問題なのです。