誰でもふわっと楽になる じぶんにかえる お片付け ~蕎麦屋の女将、大掃除を語る 第二回

前回は機械的にやることを書きましたが、今回は頭を使うことです。
移動時間とか、休憩時間とか、ちょっとした隙間時間を活用して考えてみて下さい。

 

■今叶えなくてもいい夢もあります

どういう部屋に、家にしたいのか? ゴールのイメージはとても大事です。
まずは自由に、現実的な都合や事情をはなれて、妄想してみて下さい。
自分が本当に住みたいうちは、部屋は、どんな感じだろう?

突然そんなこと言われても……という場合は「部屋 おしゃれ」などで検索すると、すごい量のビジュアルを見ることができます。

インテリア本、海外のおうちを紹介した写真集、建築家を特集した展覧会の図録、などを見て妄想するのもいいです(本は買っていただきたいのはやまやまですが、これらは高価ですし、まずは図書館を活用するのがおすすめです)。
家具屋さんのカタログもかなり参考になります。

と、これだけ力説しておいてアレですが、沢山の素敵な部屋を見て自分の好みが見えてくる場合もあれば、ひたすら混乱することもあるでしょう。
混乱するなら、無理にイメージはしなくていいです。

片付けのいいところは、手をうごかしていると、自分の「あるべきやう」がだんだん見えてくること。
すぐにではなくても、片付けているうちに自分らしさが視覚化されます。

あと重要なのが、もし理想の状態を思い描けたとしても、それは何歳の自分にふさわしいか……ちょっと冷静になって下さいね。

私は断捨離のやましたひでこさんを大変尊敬しており、本は全部、テレビも見られる限りすべてチェックしています。
公開されているやましたさんのお部屋はすっきりしているだけでなくセンスがよく、ちょっとしたユーモアもあり、一言でいえばものすごく素敵です。

しかし、ですが、やましたさんは1日12時間以上蕎麦屋に拘束されませんし、経済的な状況も異なります。
私が安易に真似しても(真似できませんが)、私が暮らしやすい空間にはならないでしょう。

例えば30代、夫多忙、子ども1人、あと1人も考え中、やりたいことは沢山あるし、ママ友や姑がしょっちょう訪ねてきて要る物も要らない物も沢山持ってくる……みたいな方の部屋を、どこまですっきりさせる必要があるのか。
どの程度まで物を減らすべきか。
そのあたりは現実的に判断しましょう。

 

■九龍城をご存知ですか?

つまり片付けも掃除も頑張りすぎなくていいのです。
適度な散らかりはかわいいです。

日本が世界に誇る「カワイイ」アーティスト、増田セバスチャンの創る空間が散らかっていなかったことなどあるでしょうか。
九龍城が整然としていたら、名作ゲーム「クーロンズ・ゲート(KOWLOON’S GATE-九龍風水傳-)」はあれほど魅惑的だったでしょうか?

私は若い人々の「いろいろ不安で、方向性が定まらなくて、やり場のないエネルギーと日々の疲れでごちゃごちゃした部屋」が好きです。
知り合いの画家の部屋はいつも雑然としていますが、そこに住みたいくらい心地良いです。
「片付けなきゃ!!!」とギスギスするくらいなら、散らかりはポテンシャル、くらいにポジティブに捉えることをおすすめします。

ただ、しかし、とはいえ、散らかりはうっかりすると不潔や不衛生につながります。

数日洗っていない靴下……はまだ許せますが、積み上がる雑誌やマンガに降り積もるハウスダスト、たたまない布団に潜むかび。
捨て忘れたゴミから漂う異臭。
散らばったお菓子のかけら付近には、何か動くものが!

これらは確実に健康を害します。

多少の混乱はいいけど、不衛生はダメ。
とりあえず自分が健康でいられ、心地悪くなく、額に汗して頑張らなくてもメンテナンスできるところまで持っていく。

手始めはこのくらいの目標で十分です。
(とは言っても、かなりやり甲斐はあります)

 

——次回に続く——

 

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