ジョン・タイター(ティーター)は本物のタイムトラベラー?

こちらの世界線では2000年問題が軽くて済み、その後の歴史も大幅に変わってきた可能性があります。

前々回の、パラレルワールドと時間に関する原稿を書いてから、私はジョン・タイターを知りました。

そして、彼のタイムトラベルに関する説明が、私の説明モデルにあまりに合っているのを見て、ちょっとびっくりしています。

アメリカ人ジョン・タイターは2000年10月から2001年3月まで、インターネットのチャットや掲示板に現れ、自分は2036年からタイムトラベルしてきたと主張し続けました。
なお、彼に関して英語で紹介しているYouTubeの動画を見ると、その名前は「ティーター」と発音されていますが、ここでは従来からの「タイター」を用いることにします。ちなみにこの名前は、本当の名前ではないようです。

 

タイターがこの時代に来た理由

タイターがインターネットに書き込んだことをまとめると、彼が過去に来た理由はこんな感じになります。

○Unix時間というシステムを使ったコンピュータは2038年に問題を起こす。
○それを避ける鍵が、1975年に現れたIBM 5100のコンピュータにある。
○そのコンピュータの開発に祖父が関わっていたため、タイターはタイムトラベルをして、そのコンピュータを持ち帰る任務を与えられた。
○1975年に行ったタイターは、そのコンピュータを手に入れるだけでなく、祖父に頼んで、その機種に何か微調整をしてもらった。
○彼はその変更による影響を見たいのと、過去の家族に会いたかったというのがあって、一旦1998年に行った。
○家族は彼を受け入れ、まだ幼いタイターと一緒に、未来のタイターも一緒にしばらくその家で過ごすことになった。

Unixというのは、コンピュータの中でも一番最初の、実用的な汎用システムです。そこで採用された時間カウントのシステム「Unix時間」が、現在、Unix以外にもWindowsやさまざまなコンピュータシステムで使われています。これがそのままでは2038年に問題を起こすというのは、現代においては周知の事実で、「2038年問題」で検索すると詳しい情報が手に入ります。

Unix時間では今が何年何月何日というのを、1970年1月1日から何秒経過したかで判断しています。これが2038年になると、秒数が大きくなりすぎてカウントできなくなり、問題が起きるというのです。

この問題のためにさまざまなコンピュータで動いているプログラムに修正をかけなければならないのですが、その中には非常に古くからのシステムもあり、そこで動くプログラムの修正には、古いコンピュータが必要だとなったわけです。

IBM 5100は、現在一般に広まっているコンピュータ言語よりもさらに古い、特殊な言語で組まれたプログラムまで解読できる「隠し機能」を持っていました。タイターはこの機能のために、IBM 5100を手に入れたと言っています。この「隠し機能」の存在について、IBM社は正式コメントを避けています。しかし、2004年にIBMの元技術者ボブ・デュービッケがインタビューを受けた際、この機能が実際にあり、IBMは他社がその機能を使うのを恐れて隠していたことを認めました。このインタビューで彼は、タイターがこの企業秘密をどこで知ったのか、不思議がっていました。