「きゅうりには栄養がない」は嘘
きゅうりは1年を通して手に入りますが、本来の旬は夏です。大体6月頃から9月にかけて、旬を迎えます。みずみずしく、シャキッとした食感が美味しい、夏野菜の代名詞でもあります。旬の野菜って、低価格で栄養価も高いと言われています。そして、美味しい時期でもあると言われています。旬の食材が美味しく感じられるのは、その時期に必要な栄養素を含む食材を本能的に必要としていることを理解しているからだと言われています。
とはいえ、きゅうりには栄養がほとんどないと言われています。また、そのように思っている人も多いようです。まず、この誤解から解いていきますね。栄養がないと言われているのは、「Least calorific fruit」(最も低カロリーな果実)としてギネス世界記録に登録されたからです。「最も低カロリーな果実」という意味で、それがいつの間にか「世界で最も栄養が少ない野菜」と誤解され、広まってしまったからです。
きゅうりは可食部100gあたり14キロカロリーと低カロリーですが、カリウムやビタミンなどの栄養素を多く含みます。低カロリーだからといって栄養素が少ないという意味ではありませんよ。約95%が水分というのも誤解を生んだ理由かもしれませんが、とても栄養素が豊富な野菜なのです。というわけで、今回はきゅうりの栄養について詳しくお話しますね。
きゅうりの栄養
きゅうりには、健康に必要な栄養素が豊富に含まれています。特に、夏に必要不可欠な栄養素であるカリウムが豊富です。夏は汗をかくことが多く、水分とともに体調管理に欠かせない栄養素であるカリウムなどのミネラルが失われてしまいます。そのため、夏が旬のきゅうりがおすすめなのです。水分やカリウムを多く含むきゅうりを食べることで、夏に不足しがちな水分とカリウムを補うことができます。カリウムはナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果的です。利尿作用もあるので、むくみの解消にも効果的です。夏の暑さで熱を持った身体を冷やしてくれる働きもあります。
また、ビタミンC、ビタミンKも多く含まれています。ビタミンCには抗酸化作用があります。しわ、たるみの原因となる活性酸素を除去してくれる作用があり、肌の張りや弾力を取り戻してくれるため、美肌効果が期待できます。さらに、動脈硬化予防や老化防止も期待できます。ビタミンKには骨を丈夫にする働きや出血を止める働きなどがあります。
きゅうりはダイエットにも効果的
きゅうりにはダイエット効果が期待できる栄養素、ホスホリパーゼ、ピラジン、シトリンも含まれています。まず、「やせ酵素」と呼ばれるホスホリパーゼは脂肪を分解する作用があります。きゅうりに含まれるホスホリパーゼはその効果がより強く、体内の老廃物や毒素を排出して、脂肪を分解し、代謝を高めてくれます。食前にきゅうりを食べることで脂肪分解が活性化されるとして、ダイエット界隈でも注目されているそうです。
次に、香りや苦味成分のピラジンは血流促進作用があります。血流が良くなることで代謝も良くなり、運動をしてダイエットをする人には効果が期待できます。さらに、シトリンには血管拡張作用があり、運動のパフォーマンスを高める効果があります。ちなみに、血流が改善する効果で新陳代謝も活発になり、肌のターンオーバーも促進できるので、美肌効果も期待できます。ただし、ダイエット効果が高いからといって、きゅうりだけ食べるといった極端なダイエット方法はおすすめできません。
当たり前ですが、きゅうりだけでは栄養が偏ってしまいます。栄養が偏ると、体調を崩しやすくなったり、痩せにくくなったりします。きゅうりは1日1〜2本が目安です。食べ過ぎは利尿作用による冷えにもつながりますので、気をつけてください。鶏肉などたんぱく質を豊富に含む食材と一緒に食べるなど、バランス良く取り入れましょう。
きゅうりの選び方
きゅうりを選ぶ際、なるべくイボが残っていて、チクチクするくらいのものがおすすめです。また、果肉が硬く、しっかりとしているものを選びましょう。形は特に気にしなくても大丈夫です。曲がっていても味は変わりません。まっすぐに伸びた綺麗なきゅうりも良いですが、直売所などですと曲がったものなどが安く売っていることもありますので、おすすめです。
きゅうりの保存方法
きゅうりを冷蔵庫に保存する際、野菜庫に入れましょう。冷やし過ぎるとかえって傷みやすくなるので、気をつけてください。ラップや袋に入れて、野菜庫に入れてください。どうしても長期間保存したい場合、鮮度の良いうちに冷凍すれば、約3週間も保存できます。あらかじめ下ごしらえして冷凍保存する方法もありますが、簡単なのは丸ごと冷凍です。
水でよく洗って、ペーパータオルで水分をよくふき取り、1本ずつラップで包みます。きゅうり全体をラップで覆い、ぴったりと包んでください。塩もみなどの下処理は不要です。そのまま冷凍してください。ラップに包んだら、冷凍用の保存袋に入れて口を閉じ、冷凍庫に入れてください。冷凍庫で2~3週間程度保存可能です。
解凍する際は、流水で解凍します。ラップに包んだまま、3分ほど流水に当てて解凍します。解凍しすぎると食感が悪くなるため、芯にかたさが残る半解凍状態でOKです。半解凍状態になったら、ラップを外して手でぎゅっと水気を絞ってください。芯が凍っているので、ぐにゃぐにゃにならず、切りやすいです。
食べやすい大きさに切って、さらに水気をよく絞り、好きな料理に使いましょう。冷凍したきゅうりは、そのまま食べるより、ポテトサラダや酢の物、和え物などがおすすめです。
旬の食材で元気に夏を乗り切ろう
旬の食材は、季節ごとに私たちの身体に必要な栄養を届けてくれます。また、旬の食材はその時期に身体が欲する食材なので、とても美味しいのです。きゅうり以外にも、いまが旬の食材はたくさんあります。ぜひ、旬の食材を楽しみながら食べて、元気に夏を乗り切りましょう。