わたし、霊能者になりました⑧~地味に「持ってる」男~霊能生活カミングアウト

「持ってる」ってなんだろう。
具体的に言うと、どんなことなんだろう。

全人類誰が見ても「持ってますよねー」な人たちは、わかりやすくていい。けれど、そんな「持ってる」人と同じカテゴリ内にいながら、ある意味対極な人がいる。

それが、うちの息子だ。

 

【そんなミラクル】

息子の名は草太。
「北の国から」というドラマにおける一服の清涼剤ともいえる存在だった、岩城滉一扮する「草太兄ちゃん」からとった名前だ。

が、

息子・草太が生まれたその冬、「北の国から」の草太兄ちゃんは、いきなりトレーラーの下敷きになって死んだ。アーメン。

そんな草太は2年ほど前から先輩霊能者りえちゃんのセッションに通っている。
前回のコラムで取り上げた、伊勢旅の後、その能力がいきなり次元を超えた! みたいになったりえちゃんの、記念すべき初セッションは、草太その人だった。

すごいタイミングとしか言いようがない。

しかし。

そうであるにも関わらず、彼はその日、セッションの予約をしていたことをすっかり忘れ、別の予定を入れていた。

玄関先で元気よく「行ってきます!」と手を振る彼。りえちゃんのセッションが入っているなどとは夢にも思わない私は、笑顔で彼を見送った。さて、仕事の前にFacebookでも見るか、と思い立ち、パソコンを開いた。りえちゃんの新規投稿がある。伊勢旅の分かち合いだった。私も伊勢旅、投稿しよう~! と思い、記事を投稿する。ほどなくして、りえちゃんからコメントが入った。

「凄かったねぇ……。私も一段と引き上がった。そして、必ずこういうタイミングの直後一発目にセッションに来る草太氏。さすがですよね」

え? 今日?
草太は1時間も前に、出かけてしまいましたが?
この時間だともう、目的地についてしまっているのでは?

でも、と思い直し、ダメ元で草太に電話をしてみた。
「もしもし! 草太! 今どこ?」
「え、柏(←うちの最寄り駅)」
「……??? 柏? なんでまだ、柏にいるの?」
「なんとなく、ふらふらしてたから」

そうか、なんとなくふらふらか。よかった。
でも、なんとなく、って何なんだ。なんとなくって。

まあいい。

とにかく、こうして彼は見えざる何かに動かされつつ、無事に、伊勢直後一発目のりえちゃんセッションを無事受けることができたわけである。

 

【「たられば」をしてみるとわかる「持ってる」具合】

もしあの時、私がFacebookを開かなかったら。
もしあの時、りえちゃんが伊勢の投稿をしていなかったら。
もしあの時、私がそれを見て自分も投稿しようと思わなかったら。
もしあの時、りえちゃんがコメントに草太のことを書いてなかったら。
そして何より、
もしあの時、あいつが柏駅で「なんとなく」ふらふらしてなかったら……。

こういう、地味に「持ってる」ところが、草太のなんだかわかんないけどすごいところだ。

旧暦新年一発目のセッションは、草太氏!
とか、
めっちゃ忙しい陰陽師ますじになぜかいつも遭遇し、流れでセッションをしてもらうという恩恵にあやかる草太氏!
とか。

目に見えて誰もがわかるわけではない「持ってる」具合。

はっきり言って、新月だの満月だの、星の動きのタイミングがどうだの、暦の上でなにがどうだのと言いながら、天の流れに沿って生きるというガチなシャーマンというかマニア(りえ氏)がいなかったら、彼がよもや何かを「持ってる」なんて誰にも何にもわからない、そんな人。それが、草太なのである。まぁそもそも、りえちゃんみたいな人に出会える時点で「持ってる」のかも知れないけども。

 

【課題のグラウンディングも結果オーライか】

そんな草太氏だが、見えざる何かには動かされるが、いったん自分で動こうとするといきなり両手両足が同時に出る、みたいになってしまう。要するに、あれだ。スピリチュアルで言うところの、グラウンディングが甘い(というより、全然接地していない)という状態なのだ。

ベチバーをソーラープレクサスチャクラに塗りまくっても、
パチョリを足裏に塗りまくっても、
大地に接地しないし着地もしない。

「持ってる」のに!!!「持ってる」のに、現実でその「持ってる」が活かされない!!!

まあ、ここしばらくそんな風にグラウンディングがテーマの草太氏だったが、ゲームの課金で作ってしまった親への借金を返済するため、週5日、8時間という某食品工場でのバイトをいきなり始めた。するとどうだろう。あんなに何をしても接地しなかった足裏と地球が、ぴたりとくっついたではないか。

 

【仏の力に守られて】

そんな彼の借金が発覚したのは、正月も明けてすぐの、菩提寺のお種まきのその日だった。仏教でいう「種まき」とは、文字通り、人の心に良い種をまき、生きとし生けるものがより良く生きられるようにという意味だが、我が家の菩提寺では毎年正月3日にご住職がお話をくださり、お餅をまくという行事が行われる。

ご住職のお話を聞いているうちに、前に立っている息子の後頭部を思い切りひっぱたきたくなる衝動が少しずつ収まっていくのを感じる。「仏の力はやはりすごいな」と、ぼんやり草太のふたつ並ぶつむじを見つめる私。

すると、お待ちかねのお種まきの時間がきた。ご住職が、威勢よく高台から餅をまき始める。

そのうちのひとつがこちらへすごい勢いで飛んできた。
ヒュ~ン! ゴチッ!!!

草太の脳天でバウンドしたその餅は、私の手の中にすとんと収まった。

爆笑しながらやはり、こう思ってしまうのだ。こいつ、ほんと地味に「持ってる」な。

 

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