令和5年8月メッセージ — “生”と“死”が交錯する夏を迎えた私たちは、“たった一つの表情”を見せ合える運命の再会に未来を想う

8月

内閣支持率急落で政局、国民経済に暗雲立ち込める夏に — 二黒土星8月は社会に大きな動揺が走る中で、自らの未来を切り開くために奮闘する時

8月を迎えました。いよいよ夏本番ですが、全国的に35℃を超える異常とも言える猛暑が続いています。ご本人やお知り合いで、熱中症に罹った方もいらっしゃったのではないでしょうか。先月に続き、今月も酷暑が予想されます。しっかりと水分補給して、体調の維持に努めたいものです。また、先月は水遊びによる児童の溺死が、相次いで報道されました。暑さを避けるための水遊びの際は、子供だけで行動させるのは避けましょう。

政治・経済面では、度重なる物価の上昇に加えLGBT法案の強硬採決、そしてマイナンバーカードを巡る未曽有の混乱で、岸田政権が窮地に陥っています。毎日新聞が行った先月の世論調査では、内閣支持率、自民党支持率共に急落し、秋にも想定されている衆院解散・総選挙に向けて暗雲が立ち込めています。本年の正月にこの『TRINITY』誌上で述べた通り、年運が四緑木星の年は首相の交代が多く起きている、政変の年です(『四緑木星癸卯・令和5年のスタートにあたって – “忘れ河”の水を飲み干し生まれた私たちは、ウサギ飛び跳ねる陽気な春に真の“ムスビ”と邂逅する』 参照)。

この8月は、政変に繋がる大きな事件が起きるかもしれません。受験生を抱えておられるご家庭は予備校の夏期講習等の時期かと思いますが、今後は、教育費の増大が家計に重くのしかかりそうです。一般家庭から四年制大学への進学が、これからは厳しい時代となるかもしれません。未来への明るい材料は乏しい状況ですが、なんとか希望を失わずに生きたいものです。

立秋を迎える8月8日、月運が三碧木星から二黒土星に移ります。二黒には“地球、大地、慈愛、貞節、母性愛、迷い”といった象意があります。“土”の星ですので、今月は、目先の困難に果敢に立ち向かい、大切なものを護るために、粘り強く目標を成し遂げようと奮闘する暗示です。

生活苦に喘ぐ市井の人々が、学費や生活費などを賄う為に、投資や副業など二次収入をつくる動きも増えそうです。また、自然災害(地震、津波、噴火)の発生が懸念されます。いつ何時天災が起こっても対処できるよう、枕元にリュックを備え、衣類や簡易トイレ、現金など生活必需品を入れておきましょう。

8月の月運の干支は、“庚申(かのえさる)”。庚は切れ味の鋭い大きな刀、申は稲妻、雷を表します。今月は、闘争心に火が点き、何事も凄まじいパワーで物事を処理してゆける月です。寸暇を惜しんで働く傾向が強まるので、大きな成果を挙げることができるでしょう。金運も上がり、豊かさを実感できる場面が訪れるかもしれません。独善的な行動は慎み、周囲との協調を心がけることで、想定外の収入を得られるでしょう。

二十八宿は“翼宿”。今月は頭脳が冴え、妥協を許さない傾向が強まり、自分に対して厳しい傾向となるようです。自分をあまり追い込みすぎないよう、上手な気分転換を心掛けましょう。旅行先で、思いがけない出逢いがあるかもしれません。心身のリフレッシュに、ツキがある時です。疲れが溜まっている方は、整体やヨガ、サウナ等を利用すると良いでしょう。また、他者のトラブルに首を突っ込むことは、自身の運を下げるので控えましょう。

重要な契約や勝負事に関しては、大安の4日、10日、20日、26日、百事よし、よろづよしの4日、18日、20日、一粒万倍日の4日、7日、18日、22日、そして天赦日の4日、18日に設定すると良いでしょう。特に4日は大安、百事妨なし、天赦日、一粒万倍日が重なる最強デーです。デートや告白、プロポーズを考えている方は、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺は西南ですが、3日から18日までの間は、天一天上となります。この期間は家の掃除さえしっかりしておけば、方位に障りはありません。

逆行する星たちが真実の絆を再び引き合わせる8月 — 強い縁で結ばれた相手に、たったひとつの表情を見せる忘れ得ぬ夏に

西洋占星術の観点で言えば、先月は18日にドラゴンヘッドが牡牛座から牡羊座へ、ドラゴンテイルが蠍座から天秤座へと1年半ぶりに移動しました。社会的には自立心が高まり、自分のやりたいことを貫くことで、生きる喜びを取り戻してゆく一方、恋愛面では心の安らぎを得られるパートナーを求め、探す時期です。

恋愛や金運を表す金星は、獅子座で逆行しています(~9/4)。この時期は昔の恋人から連絡が来て復縁したり、懐かしい異性の友人と久々に再会して交際がスタートしたり、また新しく出逢った人に一目ぼれするなど、新旧の人間関係が入り乱れ、予想外の展開が起こる時期です。やはり獅子座で金星が逆行していた40年前、1983(昭和58)年の夏は、日本では“愛人バンク”という不倫を売り物にするサークル『夕ぐれ族』が世の耳目を集め、大規模な売春容疑での摘発の後に破綻しました。今年の夏も、政界や芸能界の不倫スキャンダルが、世間に大きな衝撃を与えるかもしれません。

また金銭面では、不動産や金融商品など、大きな買い物は控えた方が良いでしょう。社会では、先月のビッグモーターの不祥事のように、企業の大規模な不正や癒着等の問題が露見し、トップが辞任する等大きな動揺が走る時です。政府・日銀の金融政策にも、何らかの大きな変更が再び発表される可能性があります。2015(平成27)年の金星逆行時は、株式市場が大幅に下落しました。今夏も、金融市場に大きな混乱が起きるかもしれません。

また土星は魚座で、冥王星は山羊座でともに秋まで逆行しています。個人面では過去の人間関係や自分の本心と、徹底的に向き合うことが求められる時です。2日3時32分には、水瓶座で満月を迎えます(スタージェンムーン)。この時期は、これまで蓋がされていた出来事が露見したり、隠していた気持ちが表に出たりと、生活に大きな変化が起きるかもしれません。

社会でも自分の心情にも動揺が走るかもしれませんが、これまでご縁のなかったような様々なタイプの人との新たな交流の中で、価値観をアップデートし、新たな人生の基盤を築くチャンスの時です。 16日18時38分に迎える獅子座の新月は、日々の生活を楽しむことに集中することで、運が開ける時です。この時期は友人とのドライブや音楽フェスに足を運んだり、自分の趣味にお金をかけるなど、とにかく自分にとって“楽しい”と思えることを徹底してやりましょう。

24日は朝方に水星が乙女座での逆行、29日は11時半頃に天王星が牡牛座での逆行を始めます。晩夏はコミュニケーションの行き違いや人脈の整理、株価の乱高下や金融システムの変容についてのアナウンスなどを心に留め、対処しましょう。そして31日10時36分の魚座満月(ブルームーン)は、スーパームーンとなります。この満月では、自身の感情が大きく揺れ動き、過去と未来の狭間で心身が浄化され、それまでの自分と満月以降ではガラッと人格が変わるような雰囲気になるかもしれません。誰に対して自身の“無条件の愛”を注いでゆくかを考えてみるのも良いでしょう。夏の終わり、ゆっくりと休養を取りつつ、秋以降の自分の進むべき道について、純粋な思いで未来を描いてみましょう。

最後に、今月は昨年と同様、相聞歌(互いに安否を問って消息を通じ合う歌)の名手であった歌人・小野茂樹(1936~70)が遺した第一歌集『羊雲離散』から、彼の代表作である夏の一首を引きましょう。

あの夏の

数かぎりなき そしてまた

たつた一つの 表情をせよ


小野茂樹は、17歳で既に短歌を七百首詠む、早熟の天才でした。小野には青山雅子という初恋の女性がいましたが、彼が早稲田大学に進んだ年に、雅子は別の男性と結婚。大きな喪失感に彼は煩悶します。時が経ち、27歳になった小野は別の女性と結婚しますが、早くも翌年、夫婦生活は破綻。そして、同じタイミングで離婚していた雅子と彼は、運命の再会を果たします。初恋は、お互いの再婚という形で、成就されたのでした。

冒頭に挙げた歌は、雅子と運命の再会を果たした際に、お互いを純粋に愛していたあの頃に還ろうという、彼なりの決意と、最大限の愛情表現であったのかもしれません。小野はその5年後、33歳の若さで、不慮の自動車事故によりこの世を去ります。雅子との夫婦生活は僅か5年程度でしたが、彼の人生にとって最愛の女性と一緒に暮らした早すぎる晩年は、何物にも代え難い、宝石のような時間だったのではないでしょうか。

人生は、いつ終わるかわかりません。ある日突然、心臓が止まるかもしれませんし、たまたま乗った車が事故を起こし、そこで命を落とす可能性も、ゼロではありません。真夏は、“生”と“死”が、交錯する季節です。こうして何気なく過ごしている間にも、刻一刻と、私たちは“死”に向かって、進んでいます。小野と雅子がかつて過ごした輝かしい夏、ふたりはお互いに、数かぎりない愛に溢れた、唯一の表情を見せ合ったことでしょう。

たとえ肉体は滅ぼうとも、真実の愛を受け取ることができたその喜びは、魂にしっかりと刻まれ、永遠に生き続けるのです。TRINITY読者の皆様にとりましても、この8月が、最愛の存在との魂の再会に恵まれ、その人にだけ見せる“たった一つの表情”を見せることができる夏となりますよう、祈念しております。




 

(了)

 

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