発達性トラウマって知ってる?~毒親の呪い~「なりたい自分になれない」原因を幼少期からみると~

江口

前回は、「なりたい自分になかなか近づけない」理由を脳のしくみからお話しさせていただきました。

では、どうして自分に制限をかけてしまうようになるのでしょうか?
恋愛も仕事もうまくいっている人がいる一方で、満たされない毎日を悶々と過ごしている人がいる、その違いはどこにあるのでしょうか?

 

今回は、その「元」になるところを、あなたの幼少期にさかのぼって見ていきたいと思います。

トラウマ

この世に生を受けたあなたは、おっぱいを飲ませてもらったり、お風呂に入れてもらったり、おしめを替えてもらったりして親に育ててもらいます。

また、心身ともに健やかに育っていくためには、優しく話しかけてもらったり、歌を歌ってもらったり、微笑んでもらったり、身体を撫でてもらったりすることが不可欠です。

こうしたやり取りの中で、「自分は愛されている」「ここは安全な世界だ」と認識して、安心してすくすくと成長していくことができますね。

ところが、お腹がすいたり、おしめを替えてほしくて泣いて知らせても、ほったらかしでなかなか欲求を満たせてもらえないとき、赤ちゃんはどう感じるでしょうか?

怒りでしょうか? 無力感でしょうか? 絶望感でしょうか?

「自分は歓迎されていない」と感じるかもしれませんし、1人では生きていけない赤ちゃんは、動物脳の「生存危機」にスイッチが入って不安や恐怖が刻み込まれるかもしれません。
このように、子どもの成長の過程で起きてくるトラウマを発達性トラウマと呼びます。

発達性トラウマになる原因としては、虐待、自然災害、家族の病気や死などがイメージしやすいと思います。ですが、先に述べた例のように、成長の過程で親から不適切な関わりがあると、こころ(脳)に深い傷を負い、生きづらさを感じてしまうのです。

もう1つ例を挙げると、
綾子さん(仮名)のお母さんは、いつも「赤ちゃんだから何を言ってもわからない」「どうせなんにも覚えていない」というのが口癖でした。また、「もうちょっと寝ててくれたらいいのに」「また泣いてる……? 少しは休ませてよ」と綾子さんがいるところで口にしていました。

大人になった綾子さんは、もちろん赤ちゃんだったころの記憶はありませんが、自分に自信がなく、どこにいても居場所がないような感じがしています。

赤ちゃんは、言語は理解できません。ですが、お母さんの表情や声のトーンから、自分は愛されているのか、歓迎されているのか、それとも邪魔な存在なのかを脳の深いところで感じることはできるのです。

そして、その体験をもとに、自己像や世界観を構築していくのです。

トラウマ

 

いかがでしょうか?

こうしてみてくると、「なりたい自分になれない」のは、決してあなたの勇気のなさだけが原因じゃなさそうですよね。

次回は、発達性トラウマを自律神経の成長という視点から、もう少し詳しく見ていきますね。

 

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