■身近なものでヘルスケア&美容。 第四回 ~キッチンにいつも置いておきたい、アーユルヴェーダの ヒーリングフード15品。part.2~インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol. 172

ターメリック

前回から、「がんになる人が世界で一番少ない」といわれるインドの人たちのパワフルな免疫の素となっている、一般家庭のキッチンに常備されている食品アイテムをご紹介していますが、

今回はその13番目のアイテム、ターメリックについてお伝えしたいと思います。

ここ数年、日本や西洋においてアーユルヴェーダが注目を浴びていることもあり、カレー料理に欠かせないこのスパイスが以前にも増して定着しつつある感がありますが、

このスパイスの薬効を最大限に生かし、私たちの体がそのメリットをたっぷりと享受するためには、ちょっとしたコツがあります。

そのコツについては後半の方で触れますが、まずはターメリックを活用することのメリットをお伝えしたいと思います。

 

★活性成分「クルクミン」の治癒力

ターメリックに含まれる有効成分「クルクミン」は、抗酸化作用、抗炎症作用、抗がん特性などを含めた150以上の潜在的な治癒作用を示す主な活性成分として、科学的に証明されているポリフェノールのひとつで、主に次のような効能があるといわれています。

抗炎症性/抗酸化物質/消毒殺菌防腐剤/鎮痛剤/免疫力を高める/抗発がん性/
コレステロール値の正常化/消化系の健康促進/肝臓解毒/代謝と体重を調整する/
記憶力と脳機能を高める/神経障害/中性脂肪値(トリグリセリド値)を低下させる

ターメリック

(ターメリックと黒コショウを組み合わせる)

 

★食べるとインテリジェントになる?
腸と脳を橋渡しするスパイス「ターメリック」

私たちの腸の中に棲む微生物たちは日々、腸内で特定の化学物質を生産しています。
その化学物質は、私たちの脳にも多大な影響を及ぼすことが、ここ数年の研究で明らかになっていますが、

アーユルヴェーダにおいてはすでに何千年も前に、腸は「神経系の居場所」と考えられていました。

そしてインド料理に欠かせないターメリックは、腸と脳の繋がりにおいて、重要な役割を果たしています。

現代は、腸関連のトラブルがある人たちは今や世界中の人口の約10~15%をしめるといわれる時代です。

こういった一般的な腸関連の不調は、ストレスが原因の気分の不安定さなどの要因と一緒に存在していると考えられています。

私たちは強いストレスが引き起こされる出来事を体験した後、セロトニンや他の脳化学物質が減少してしまうことがあり、この減少が私たちの気分や腸機能にも影響を及ぼすのです。

そんな中、ターメリックは、腸の内膜にある食べたものを消化吸収する細かい毛を健康にし、胆汁やリンパの流れを高めて消化機能を向上させる形で腸の健康状態を支え、ストレスによって減少した脳化学物質を増加させるように働き、落ち込みや気分のダメージで不安定になっている精神状態をサポートします。

また、ターメリックに含まれる芳香成分「ターメルン」なる物質は(なんかかわいい名前ですね)、脳幹細胞増殖を増加させ、脳細胞を保護することも発見されています。

 

★ターメリックの薬効を最大限にするコツ

ターメリック

(まずはスパイスをオイルで炒める)

さて、魅力的な薬効がたくさんあるターメリックですが、ターメリックの有効成分「クルクミン」だけがカプセルになったものなどもありますが、アーユルヴェーダがすすめるのは、そのようなサプリではなく、ターメリックそのものと黒コショウを組み合わせる方法です。

これは、ターメリックに含まれるほんの一部の成分クルクミンだけをとっても、体には吸収されにくいということと(クルクミンはターメリックに含まれる他のさまざまな成分と一緒にとってはじめて、体にスムーズになじみます)、ターメリック自体が「脂溶性」のため、水に溶かすよりもオイルに溶かしてから体に取り入れたほうが、私たちの体にすんなりとその成分が浸透するからです。

実際、ターメリックに黒コショウを加えた時点で、黒コショウに含まれる成分、ピペリンの「加熱特性」ゆえに、クルクミンの効率が1000倍まで高まり(!)、さらにはターメリックの体への吸収率がなんと2000%にもなる(!!)ことが明らかになっています。(これは1988年、インドのバンガロールにある医大で確認されています)

インド料理では、まずはスパイス類をギーのようなオイルで炒めて風味を出しますが、オイルにスパイスの成分を溶け込ませるというこの方法で作られた料理は、完璧な薬膳となります。

そんな料理を毎日食べているインドの人たちの免疫が強いのは、当然といえば当然なのかもしれませんね……。

タイもターメリックをよく食べる国のひとつですが、タイのカレーはインドカレーよりもかなりさっぱりしていて食べやすいですが、何気に味の素や砂糖がどっさり入っていたりするので、カレー自体の薬効はどうかなと思います。

が、タイは伝統的にバジル系の生の葉っぱ(免疫強化と抗ストレスのための最強ハーブ)をボリボリ食べる食習慣があるので、全体的に見た場合は、薬効は同じくらいかもしれません。

というわけで次回は、14番目のアイテム、免疫強化と抗ストレスのための最強ハーブ「ホリーバジル」についてお伝えしたいと思います。

 

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https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188

 

(トップ画像/インド料理はターメリックがたっぷり)