前回では、オイルを肌にぬることで餌付けされた肌の上の微生物(肌の見ためや質感を左右する、美肌づくりにかかせない微生物)が増えることにより、
社会生活がスムーズになったりコミュニケーション力が高まるといった、肌のマッサージとはまるで関係なさそうな効果について少し触れてみましたが、
今回はそれが一体どういうことなのか、お伝えしたいと思います。
■肌の上の微生物が増えると、オキシトシンも高まる!
オキシトシンは、別名「愛情ホルモン」、「絆のホルモン」、あるいは「繋がりのホルモン」とも呼ばれているホルモンです。
このホルモンは、出生の時に母親によって解放され、親と子を一生絆で結びつける役割を果たすホルモンともいわれています。
また、感謝すること、寛大さ、奉仕、身体的な接触や抱擁するとき(ハグ)、マッサージするとき、そして感情的な繋がりを持つときに、体のオキシトシンレベルが増加することが証明されています。
オキシトシンのレベルが上がることで、信頼感や安心感が自然に増し、私たちの普段の行動や言動、社会的な態度、他のホルモン、免疫へも影響が及ぶことから、「抱擁ホルモン」あるいは「信頼ホルモン」と呼ばれることもあります。
実際、脳で作られるオキシトシンは、人とのコミュニケーションを活発化させたり、信頼を築く上で重要な働きをするということです。
さらに面白いことに、オキシトシンのレベルは、性行為では急激に上昇し、その後は急激に下降するのに対し、ハグや抱擁といったプラトニックな傾向のある接触の場合では、オキシトシンのレベルは同じように急激に上昇しながら、その後は何時間も上昇したままの状態が続きます。
ところで、インドのアーユルヴェーダでは、伝統的に赤ちゃんをセサミオイルでマッサージすることが定番です。
これをはじめて知った私は当初、インドでは赤ちゃんはそれほどまでに大事に育てられるものなのかと、カルチャーショックを受けたものです。(日本生まれ日本育ちの私にとって、インドへ行くまでは「赤ちゃんの全身をオイルマッサージする」という発想自体、当然無縁でした)
今になって思うことは、この赤ちゃんの時の親からのオイルマッサージが、インド人ファミリーの絆が強固な理由、つまりは強力なオキシトシン効果なのではないかと思います。
インドのファミリーというのは、家族の絆ががっちりとあり、西洋的な社会のように「大人になったら家族を離れて独立」みたいな考え方がそもそもなく、
よほどのことがない限りは血のつながりは愛情のつながりといわんばかりの絆で結ばれ、それは大人になってからも同じです。
そして、絆のホルモンとも呼ばれるこのオキシトシンについて知れば、インド特有とも思えるこの家族の絆も、とても納得できます……。
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というわけで、アーユルヴェーダにおいてボディマッサージや赤ちゃんマッサージには欠かせないセサミオイル。
実は次のような効果もあるといわれています。
★★ セサミオイルのあまり知られていない効果 ★★
次の三つのチャクラ(エネルギーポイント)に有益です。
・ハートチャクラ(他者や自分への無条件の愛、慈悲、世界との繋がりすべてに関係した、体にあるエネルギーポイント)
・ルートチャクラ(世俗で生きていくためのチャレンジ能力に関係しているエネルギーポイント)
・脾臓チャクラ(自己信頼、自己コントロール、知性などに関係したエネルギーポイント)
確かに、セサミオイルで全身をマッサージをした後の体の感覚は、リラックス感とともに、体とメンタル両方がグランディングされ、安定感が増すのが感じられるのが実感できます。
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日本では悲しいことに、衝動的に児童や人ごみをむやみやたらに襲ったり、といった類の事件がすっかり珍しくなくなりました。
こういったニュースが流れると、正直、「またか」と思う人も少なくないのではないでしょうか。
こういった事件をきくと、私はオキシトシンが足りてないことが一番の原因じゃないかと思うことがあります。日本にはハグの習慣もありませんし……。
そういう意味でも、普段からオイルマッサージでお肌の微生物を餌付けしておくことが役立つのでは、と思います。(美肌も保てますし)
◎次回パート3では、ドイツの大学で実施されたという研究(美女が男性を誘惑する実験)からわかった、「オキシトシンと浮気度の関係」について、お伝えしたいと思います。
《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
https://www.el-aura.com/writer/%E6%9D%91%E4%B8%8A%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A3/?c=73188
(トップ画像/オキシトシンが増えると、コミュニケーション力もアップ?)