■味の効用part.11~「苦味」の効果 ~ インド生活『村上アニーシャのアーユルヴェーダ』vol.127

さて今回は、「苦味」についてお伝えしたいと思います。

苦味はどちらかというと、避けられがちな味。
日本は伝統的に緑茶が好まれて飲まれてきた国ということもあり、苦いものがわりと抵抗なく食べられている稀な国なのではないでしょうか。

インドのようなほとんど一年中暑い国では、体を冷やしてくれる効果のある甘い味がよく好まれるというのも、自然なことなのかもしれません。

ところで、インドの人たちに、日本の緑茶を何の説明もせずにそのまま出そうものなら(もちろんもてなしの意味で)、おそらくインドの人たちは「早く帰れ」という意味にとるかもしれません。
日本でいうところの「玄関にホウキを逆さに立てる」、と同じ意味ですね。

というのも、苦い味をそのままとる、ということはインドではほとんどしないからで、実際この味が苦手な人が多いというのも事実。

アーユルヴェーダの苦いハーブの代表に「ニーム」(インドセンダン)がありますが、インドで売られている「ニームティー」はたいてい、他のハーブがたくさん混ぜられ、ニームの苦味がほとんど感じられないほどになっています。

アーユルヴェーダでは、ハーブ単体を使うよりも他のハーブと混ぜたほうが相乗効果により薬効がアップするという考え方があるので、これはわからなくもないのですが、おそらく苦味がきついとインドの人たちは買わないから。というのが真相なのではと私は睨んでいます(笑)。

ちなみにタイでも、ニームの新芽部分や花のつぼみ部分を茹でて食べたりしますが、苦味たっぷりのそのままの状態では食べず、甘いこってりとしたタレにつけて食べるのが定番のようです。

さて、暑い国ではやや敬遠されがちな印象のこの苦味ですが、適切に使えば無数の治療効果があり、まさに苦味のものは「妙薬口に苦し」のことわざそのまんまなのです。

 

★苦味の効能

苦味には、たくさんの薬効があります。
まず、脂肪と毒素をこすりとる効果があり、体の余分な水分を減らし、熱を下げ、ネバネバ・ベトベトした体内毒素を乾燥させ、詰まりや淀みを掃除し、体を深く浄化します。

また、乾燥した軽い性質により、消化の炎をおこし、健康的な食欲を刺激する消化強壮剤となった後、腸内ガスを取り除き、蠕動運動を促進します。
あるいは、病原菌を殺し、消化管から寄生虫を追い出し、血液浄化や肝臓のサポートなどもやってのけます。

美容面では、皮膚のかゆみを和らげ、肌のトーンを整えて艶を出す効果が有名です。

(インド時代に飲んでいた市販のニームティー)

 

《もたらされる効果》

*構成要素は「空間」+「空気」
*ピッタとカファのバランスをとる
*ヴァータを悪化させる
*ヴィルヤ(温度) →冷却する(冷却する味の中でも最も冷たい)
*ヴィパカ(消化後の効果) →辛味/刺激性
*特質 →冷たい、乾燥、軽い

*関連するポジティブな感情
→明確さ、内観、自己認識、世俗的なものからの健康的な距離感

*過剰になったときの感情 →皮肉、拒絶、退屈、孤立、分離、孤独

*舌の場所 →舌の前方と後方交わる部分、左右部分を横切る中央部

*器官への親和性 →膵臓、肝臓、脾臓
*最も影響を受ける組織 →血漿、血液、脂肪、神経組織、生殖組織
*動きの方向 →下降する

*その他の作用
→神経系を刺激する、脂肪を減らす、骨髄を減らす、性的エネルギーを
抑制する、 解熱剤(熱を減らす)、抗炎症性、抗菌、抗ウイルス剤、
胆管(胆汁の健康な流れを促進する)、下剤、駆虫、代替、利尿作用

(アーユルヴェーダの苦いハーブ代表「ニーム」)

 

★苦味を示す食材例

では具体的に、どんな食品がこの味なのでしょうか。

野菜: ニガウリ、ゴボウ、ケール、芽キャベツ、タンポポ、ナス、
アーティチョーク

その他: コーヒー、ダークチョコ
スパイス類: サフラン、フェヌグリーク

などになります。

 

★取りすぎると……

薬効が高い、魅力的な苦味ではありますが、とり過ぎにはご注意! 過度に使用されると、オージャスが枯れ、悪心を誘発し、腎臓と肺を弱め(乾燥の質が非常に高いため)、身体組織を枯渇させ、口の乾燥や体の衰弱、骨損失、骨粗鬆症、精子産生を減少、昏睡、過剰な悪寒、極端な乾燥、便秘、倦怠感、混乱やぎこちなさ、めまいなどの原因となるといわれています。

特にもともとヴァータタイプの人や一時的にヴァータが乱れている人、そして妊娠中の人は、この味をとり過ぎることがないよう、ごく少量のみに抑えることで最適な薬効が得られるということです。

◎次回は「渋味(収斂味)」についてお伝えしたいと思います。

 

《村上アニーシャ さんの記事一覧はこちら》
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(トップ画像/芽キャベツは苦味のある野菜のひとつ)