伽座守珊瑚の開運『狼語り狐語り』第12話~長老狐眷族が語る史実にはない平将門についての謎解き……

『将門の首塚』と言えば、祟りの恐ろしさとして有名ですね?長老狐眷族が【平将門の乱と朝廷の呪詛】についてお話しします。

 

長老狐語り……見習い子猫眷属について

「猫の『ちゃ』は何なんだ。鞘から解放されたのは、わたしとグラさんだけかい?。」

「最近覚醒したところを狼に見つけてもらったのだね。どこか将門さま関連の品を埋めた所が再開発の工事でほじくりかえされて術の封印が壊れたか、度重なる地震の影響で封が緩んで偶発的に出れたんだろう。
『ちゃ』は、さっき狼が見せたビジョンの将門さまの側にいた桔梗の花の模様の着物の女達を守る『使い』じゃあないか?
陰陽道・古代の大陸の術は、賢い動物を使いにする。妙見様の行者か巫女から、魔除けの花の桔梗模様の着物と猫が将門様の奥方たちを守るように贈られていても不思議ではない。それが『ちゃの親』で、『ちゃ』も使いに育つはずだったと考えては如何だろう。
現実の動物なのに封じられたのは、使いとして妙見様に仕える証しの紋が霊体に刻印されていたから、妙見様の眷族で将門軍とみなされた。『ちゃ』の額に薄く残るのも九曜紋、九つの星、妙見様のお印だから。」

 

長老の推理に甚六は嫌な想像をしてしまう。

「じゃあ、『ちゃ』の記憶にある『埋めていた布に包まれていた物』とは? ぬいぐるみ事件以来、なんとなく『バラバラ』に関して心に引っかかるようになっていたな。将門様は討ち取られて首だけにされただけではなく、あちこちに体や武具をバラされて葬られているのはこの辺の眷族は周知だ。」
「それを見た記憶? だとしたら、『ちゃ』は将門様が討たれた後も無事だったのかな?」

甚六に質問をかえしたグラウに、『ちゃ』はくっついて「ミュー」と鳴いた。

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長老はその事には答えず、話を続けた。

「将門様の事を書いた『将門記』とかによると、将門様が討たれる前に、妻子たちは親族間の争いで惨殺されている。なのに後に将門様の弱点を敵に教えた側室が桔梗って名だという話もあれば、将門様を供養した生き残りの奥方がいた事にもなっている。」

長老は人間が書いた歴史や伝記を疑いつつも博識だ。

「……それも確かめたいよなグラさん。」

「おう。星宮神社、星神社、第六天神社を将門様がどう封印と気付いて、何を持って封印しようとしたのかも知りたいし。もっと記憶を取り戻したいじゃないか。」

「そうだね。それに長老が昔見た話が本当にわたしたちの事なら、天海さんに助けてもらっていたのに400年もお礼言ってないんだ。神田神社=神田明神はグラさんの依り代がよく行くからついて行ったけど。何も感じなかったよなぁ。」

「今まではね。今日からは何か違う感じがするかもね。江戸と天海さん、将門様にかけられた呪詛、将門様や日本武尊さまが封じようとした呪詛、星の神社の場所に呼ばれた恐ろしい神様……知りたい事だらけだ。」

 

そのとき、甚六とグラウの会話に、長老が割って入った。

「眷族は神様のお使いの役目を逸脱しない範囲ならどう行動しようが自由だ。過去を見に時間に潜るのはいいが、眷族としての仕事が有る時には仕事が優先だよ。盛り上がっているときに残念だろうが、面倒な事が起きたようだ。ほれ、振り返って見てみい。」

「面倒な事?」

祠に集う狐達、甚六とグラウが後ろを振り向くと、空中に巨大な化狐が陽炎のように透けながら大きな口を開けて、まさに祠に集う皆を一口に飲み込もうとしていた。

 

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