タイパとは。
タイパという言葉があるらしい。僕自身はあまり使わないが、タイム・パフォーマンスのことのようだ。そういえば、最近、時短という言葉も微妙に流行っている気がする。
時は金なり。
「時は金なり」とは昔からよく言われているが、それに近い意味合いなのかもしれない。時間は有限だ。だからこそ、できるだけ有効に使いたいものだ。コスパもそうだが、タイパも大切だ。浪費はよろしくない。
たとえば、サービス残業なんて、本来必要ない。だが、せざるを得ない状況があるから、やむなくやってしまう。建前としては、よくないと言いつつも、本音としてはサービス残業してくれないと、コスパが悪くなるから、自己責任で、組織に迷惑がかならないように配慮しつつやってくれないかと思っている会社も少なくないかもしれない。
こういうのは、言うまでもなく、すぐにでも解決にむけて話し合いをした方が良い。「時間内に仕事が終わらない方が悪い。すなわちそれは無能の証拠だ！」的圧力をかけてくる会社もあるかもしれないが、それこそパワハラである。とはいえ、本当に仕事の効率が悪くて、無駄に遅い人も一定数はどこの組織にも存在するので、なんでもかんでもハラスメント扱いにするのは、それもまた違う。僕自身、仕事をテキパキとこなして、なんでもスピーディでハイクオリティにできるわけではないので、なんともいえない。だが、明らかに、人件費を抑えることだけを最優先して、従業員に無理難題を押し付けているのだとしたら、それは酷い話だ。
ハラスメントうんぬんの話はさておき、そうやって社畜を大量生産したとしても、結果的に仕事としてのパフォーマンスは低下するだろう。その愚かさに気づいた優秀な人材は直ぐにでも逃げてしまうだろう。モチベーションを無駄に下げてしまうのであれば、業務の見直しが必要なのだ。コスパもタイパも問題アリなのだから。
なので「定時に帰りましょう！」は、理想的だが、「定時に帰ったら仕事が終わらないが、本当に帰っていいのか？」と思う人も多いことだろう。素直に残業代をきちんと支払って働いてもらうか、タスクを減らすか検討した方が良い。という具合に給料に直結する視点で見ると、本当に時は金なりだと思う。
時間と業務内容に見合った賃金を、と思う。できるだけ、定時に帰れるように時間を効率よく使って仕事をして、できるだけプライベートに時間を避けるようにしたい。きっと誰だって、そう思っているのだから。
動画を倍速で見る人たち。
ところで、最近、動画を倍速で見る人たちが増えているらしい。本当だろうか。YouTubeで、動画を倍速で見られる機能が実装されていることからも、一定数のニーズはあるのだろう。じゃあ、自分はどうなのか。そう問われたら、正直に言えば、倍速で動画を見ることはある。あるにはあるが、なんでもかんでもというわけではない。
アニメや映画、ドラマなどは、倍速で見たら、個人的には勿体ないと思っている。もしかすると、これは大きく個人差がでるのかもしれない。僕は『余韻』が好きなのだ。じっくり堪能した方が、結果的にタイパ的に良いと思う。確かに時間は費やすことになるが、その間、もっといえば、その後も、しばらく楽しい気分でいられるのだ。
特に物語系は感情を動かすものが多いので、きちんと作品の世界観や登場人物のキャラクターの心情、あるいは自分の感情、感想の変化を受け止めるのも時間がかかる。少なくとも、僕は。
なので、そこで時短することを僕は特にメリットが感じられない。食事に近い感覚なのかもしれない。美味しい料理が出てきたとする。一瞬で食べ終わってしまったら、なんか勿体なくないだろうか。じっくりと匂いを楽しみ、口の中で歯ごたえや味を楽しんで、飲み込んだ後も、余韻に浸りたくないだろうか。
「食事？ そんなの単なる栄養摂取だよ。味わうとか、意味が分からない！」と思えてしまうと、なんだか悲しい気持ちになる。それこそ、お昼休憩も取れないほどブラックな仕事をしているのであれば、食事を時短するのではなく、業務改善か、転職に時間を使った方が良いと思う。
デートも似ているかもしれない。せっかく恋人とデートのアポを取り付けても、「じゃ、今日は５分早く切り上げようか」なんて言う人はいない。なんでもかんでも時短すればいいわけではない。僕が動画を主に倍速で見るのは情報系が多い。感情を伴う必要が少なく、余韻も必要がなく、どちらかというとインプット目的の時だ。
たとえば、学習系なら倍速も役立つ。倍速にすることで緊張感が出てくるので、聞き逃さないようにしようと思える。ちょっとボーっとしていると、話が進んでしまう。もちろん、そうなっても聞き直せば良いのだが集中力がない僕は、その緊張感が地味に大事だったりする。なので、僕は動画の倍速機能は決して批判していないし、なんて素晴らしい機能なんだろうとも思う。
「タイパ＝時短」ではないのだ。時間は大切に有効に使って欲しい。価値ある時間を作り出し、堪能して欲しいと思う。そして、無駄な時間はできるだけ短くして欲しい。
今は超情報社会だ。とにかく情報量が多い。情報処理に必要な時間も半端じゃない。だからこそ、時間が必要になってくるのかもしれない。だが、無駄な情報も多いのだ。情報を詰め込めば人生の勝者になれるというわけではない。情報を大量消費することが必ずしもカッコいいわけではないのだ。あなたにとっての、ステキな時間、大切な時間。こっちに、時間を存分に費やしてもらいたい。
と、偉そうなことを言っているが、あなたには、この記事を読むために大切な時間を使ってくれて本当に感謝しています。この記事が、あなたの人生にとって少しでも有意義でありますように。
