年末年始に試してみたい 『縁起物』で来年を良い年に!〜古都や冬至や恒例の『縁起物』も〜

今年は新型コロナ肺炎に翻弄され続けましたが、いよいよ師走到来。来年こそは良い年にとの願いを込めて、年末年始に利用できる『縁起物』について調べてみました。
縁起物

『縁起物』という言葉はよく耳にしますが、厄除け祈願、開運祈願、商売繁盛、家内安全など、「よいことがありますように」と願い、祝う品なのです。

もともとは寺社の参道、境内などで参拝客に授与されたものが『縁起物』の起源のようです。

『縁起物』は、七福神や招き猫、お守りといった物だけではなく、「神の依り代」となっている力士や、祭りなどで選ばれた福男なども『縁起物』と呼ばれています。

ではこの年末年始に授かりたい『縁起物』にはどのようなものがあるでしょうか?

 

京都に伝わる『縁起物』、「だいこ焚き」、「福玉」

歴史や文化的にも多くの背景を持つ古都京都には、数多くの『縁起物』が存在しています。

12月に入ると、あちらこちらのお寺で大根を炊いた「だいこ焚き」という行事が行われます。

これは大根を炊いて仏前に備えるとともに、参拝者にも配られるものです。

もともとは、法然上人の遺跡を訪ねてやってきた親鸞上人に、鳴滝という村の村人たちが大根を煮てもてなしたのが始まりで、その鳴滝にある了徳寺で以後もふるまわれるようになりました。

寺によってもその意味は多少違うようですが、主に「だいこ焚き」を食べると、一年間無病息災を願えるという『縁起物』なのです。

一方、京都祇園の事始めは12月13日。舞妓さんや芸妓さんたちは、少し早めの新年のごあいさつをするために、お師匠さんやお茶屋さんを訪ねて、この一年のお礼とともに、ご挨拶をする行事です。

この時期には、祇園では「福玉」なる『縁起物』が売り出されています。

この「福玉」はお茶屋さんやご贔屓のお客さんが買い求めて、挨拶に来た舞妓さんや芸妓さんに、一年間の労をねぎらいながら手渡すのが風習です。

この「福玉」は、除夜の鐘の後に割ることになっていて、中からは『縁起物』である打ち出の小槌(お金持ちになる)や、ミニチュアの蔵(蔵が建つほど儲かる)や、三味線(芸が上達する)、干支の置物などが出てきます。

どのような『縁起物』が出てくるかで、新年を占うという楽しみもあるのです。

この季節に京都に出向けば、一般の人でもこの『縁起物』である「福玉」を購入することは可能です。

縁起物

 

冬至の「縁起物」

今年の冬至は12月21日の月曜日となります。

冬至は一年で一番昼が短く、夜が長い日のことです。この日を境に古いものに代わって、新しいものが始まる日であるとも考えられています。

この日に「ん」のつくものを食べると「運」がよくなるので、「運盛り」の食べ物と考えられています。

したがって、れんこん、にんじん、なんきん、ぎんなん、うどんなど食べることをお薦めします。

とくになんきん(かぼちゃ)は、冬至に食べる『縁起物』としてもよく知られていますが、「寒い時期に栄養のあるものをたっぷり食べましょう」ということなのです。

また、小豆を入れた「冬至がゆ」なるものも『縁起物』として食されます。これは小豆が太陽の色を意味する赤色であり、魔除けになるので、食べることで厄除けとなるのです。

もうひとつ冬至の『縁起物』として有名なのが、「ゆず湯」です。
これは柚子の高い香りが厄除け、浄化に役立ち、血行を良くしてくれるからなのです。

これには冬至と湯治を掛け合わせた洒落であるという説もあるようです。

縁起物

 

年末年始の恒例の『縁起物』

年末年始には、たくさんの『縁起物』が登場します。

まず大晦日にいただく「年越し蕎麦」も『縁起物』のひとつ。蕎麦のように長い長寿を願って食べるのです。

年末になると玄関に飾る「しめ縄」は、本来は神の領域と現世を分ける結界です。

年神様をお正月にお迎えするために、我が家を神聖な場所にするために、この「しめ縄」を飾るのです。

玄関に飾られる「門松」は、本来は木のこずえに神様が宿るとされていたところから、「門松」は年神様を家にお迎えするときの依り代となるようにという意味合いがあります。

「おせち料理」は、神様に豊穣を願うとともにお重に詰められた食品のひとつひとつが、おめでたい『縁起物』なのです。

たとえば栗きんとんは金色の財宝をイメージし、数の子は子宝と繁栄を願い、黒豆は、まめに働くという意味などです。

またお正月には欠かせない、「鏡餅」も年神様の依り代であり、一家に健康や幸福を授けてくださる年神様の大切な居場所となる『縁起物』です。

また「雑煮」は、室町時代より新年に初めて火を入れて作り、宴の最初に食べるおめでたい『縁起物』の食事と考えられてきました。

「鏡開き」は、地方によって多少日にちは違いますが、だいたい1月10日前後に、飾っていたお鏡餅を神様に感謝をしながら、一年の無病息災を願っていただきます。

「鏡餅」はこのようにいただいてこそ、開運の意味が出てくるのです。

またなぜ「鏡切り」といわずに「鏡開き」と呼ぶのかというと、切るという言葉が切腹をイメージさせるため、末広がりを意味する「開く」という言葉が用いられるようになったからです。

まだまだ探せば、年始の『縁起物』はたくさん存在していますが、それぞれの意味を知ってから授かったり、いただいたりすることで、運気もずっとアップするはずです。

 

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