16ヶ月で13倍になる金融商品、欲しいですか?〜感情美人への道Vol.85

17世紀にオランダで起こったチューリップバブルも、「球根は永遠に値上がりする!」という実に偏狭な考えが増長して人々は投機を繰り返し、崩壊しました。

皆様こんにちは。
前回は「金融庁がおすすめしない投資商品」で、①アクティブファンドと②毎月分配型投信は、長期資産形成には余り有利ではないとご紹介しました。

投資をするとなると、少しでも利率が高い商品を買いたくなるのは人情ですが、今回はそこに潜む落とし穴について解説します。

もしあなたが「16ヶ月で13倍になる投資商品があるんだけど、興味ない?」と持ちかけられたら、何と答えますか? ちょっと怪しいと思いつつ、つい話だけなら……と思ってしまいそうですよね。
これはサギでも何でもなく、実際そういう増え方をするモノがあるのです。

それが「ビットコイン」。

 

先日、NHKのニュースでも「ビットコインの暴騰」が取り上げられていました。

ある美容関係の女性が16ヶ月前にビットコインを買った所、現在「13倍」の195万円ほどになっている! という内容です。
およそ15万を投資したと考えられるので、175万ほどの利益を得た、という計算になりますね。
こういうニュースを見たら「オレも! 私も!」と、ビットコインを所有したくなるのではないでしょうか(ピーク時には、年初から見て3倍の値上がりを記録していました)。

でも、ここで投資の本質をお伝えします。
それは「リターン」と「リスク」は常に「イコール」だと言う事です。
つまり、16ヶ月で13倍のリターンを叩き出すという事は、逆もまた然り。

16ヶ月で同等のマイナスが出る可能性もあるという事(ビットコインは追証がかかる訳ではないので価値が0に近くなるという事)です。
実際7月19日付けの朝日新聞では、ビットコインの引き出しや受け入れなどの取引が、国内13の取引所で8月1日から一時停止される事を受けて、先月中旬に1ビットコイン=3000ドルだった相場が、一時2000ドルを割ったと記事が出ていました。
たったひと月で、33%もの下落です(更に興味がある方は、実際にビットコインのチャートを見てみましょう)。

先日ニュースで大もうけしたと紹介されていた方は、美容関係の女性。
他にも金融や投資の事をよく知らない多くの人が、ビットコインの取引をしていると考えられます。
ただ、投資の世界というのは本当に厳しい世界で、特にビットコインという「投機」に近いものを、利益が出る様に売り買いするのは至難の業です。

なぜならそこには様々な心理バイアスが絡み、売るべき時に売れず、買うべき時に買えなくなるのが人間だから。
ビットコインは変動幅(プラスとマイナスに触れる幅の事)がかなり大きいので、判断に迷っているうちに取り返しがつかないミスを犯す可能性が高くなります。

 

ビットコインの値上がりに期待するなら、同等の値下がりも覚悟して買いましょう。

更に、投資の世界に「絶対」はありません。
もし投資説明会などで「絶対に値上がりする」という文句を言うセールスマンがいたら、要注意です。

また「ローリスク・ハイリターン」という言葉は実際の世界には存在せず、投資の本質を無視していますから、この言葉にも気を付けて下さい。

17世紀にオランダで起こったチューリップバブルも、「球根は永遠に値上がりする!」という実に偏狭な考えが増長して人々は投機を繰り返し、崩壊しました。

ボーナスが出て、少しでも儲かる商品に投資したいと考える方。美味しい儲け話や金融商品のうたい文句が出てきたら、自分の「リスク許容度」は何%なのか、しっかりと理解した上で商品を選んで下さいね。

 

《柊 りおんさんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/2012102201/?c=17188