『手の内の気づき~⑥鍼灸指圧は快癒治療~気持ちいいから治る』

鍼でも灸でも指圧でも 気持ちいい治療をすると、 患者は眠ってしまう。

「鍼灸指圧は快癒治療」

鍼は痛い?

灸は熱い?

指圧も痛い?

と一般的には思われている。

だが実際は

鍼は気持ちいいし、

灸も気持ちいいし、

指圧も気持ちいい。

そう鍼灸指圧はすべて気持ちいい。

なぜ鍼灸指圧はすべて気持ちいいのか?

それは、鍼灸指圧をすると

オキシトシンというホルモンの産生量が高まり、

オキシトシンに連動してβエンドルフィンという

脳内オピオイド、つまり脳内麻薬的な

鎮痛ホルモンが誘導産生されるからだ。

この本来的に身体が生み出す天然のモルヒネである

βエンドルフィンが鍼灸指圧をすると出てくるのだ。

βエンドルフィンが出てくると鎮痛作用も効き、

また快感を感じる。

鍼灸指圧をするとβエンドルフィンがよく分泌されて

快感のなかで痛みや苦しみが和らぐ。

鍼灸指圧はまさに快癒治療なのだ。

 

「快癒治療の現場」

先日もうちの治療院の常連さんが、

こんな事を言った。

「ほんと、おかしいね。

な~んで、痛いはずの鍼を打ってるのに、

気持ちよくなって眠っちゃうのか?

普通は鍼を打てば痛いから、

眠るなんて絶対に出来ないと思うのに。

どういうわけか、鍼を打たれてると、

いつも気持ちよくなって眠っちゃうんだから。

ほんと、笑っちゃうよね」

これまで大勢の患者に私は鍼を打ってきたが、

気持ちいい鍼を打つと、患者が眠るのは

日常茶飯事だ。

こんな事もあった。

ある患者は日頃、重いものを持ち運ぶ仕事を

しているせいで慢性腰痛を抱えていた。

ところがその時は慢性腰痛が悪化して、

腰から脚にかけて痺れを伴う激痛の腰痛にさいなまれていた。

整形外科を受診し鎮痛剤のブロック注射を腰に何度もしたが、

まったく痛みが去らない。

それでどうにかしたくて我が治療院へと訪れた。

腰の最圧痛点に鍼をする。

指先の気が鍼を通じて全身に波及する手応えを得た。

鍼が効くいい感触だ。

治療後にこの患者はベッドから起き上がりながら、

「アレッ、だいぶ軽い!

ええっ、ウソみたい!」

来たときは腰に手を当てて、這うように来院したが、

帰る時は軽やかな足取りで帰路についた。

それからほどなくして二度目に来院してその患者が言うには、

「あの時の1回の治療で、ほとんど八割方、治っちゃった!

ほんとウソのように今、痛みはない。

でも仕上げにあと1回やれば完全に症状が消えそうだから、

また今日もこのあいだみたいに鍼をやってほしくて」

この患者も鍼を打っているあいだに、

グッスリと眠り、起きた時には、

痛みがあらかた消えた。

これが快癒治療の鍼灸指圧の現場だ。

 

「気持ちいいから治る」

鍼でも灸でも指圧でも

気持ちいい治療をすると、

患者は眠ってしまう。

βエンドルフィンの作用で夢心地の治療から

目覚めた時、患者の痛みが消えて、

身体がよみがえる。

痛いや苦しいの反対が、

気持ちよくて楽しい。

痛みや苦しみを忘れるためには、

その反対の気持ちよくて楽しい治療をすればいい。

ツボが冷えていれば温める。

凝りが固ければほぐす。

ツボに気が滞っていれば

気を通す。

いまあるフリーズした凝りを

フレッシュにもどせば、

凝りはまた生きかえる。

身体には再生する力が備わっている。

その身体の再生力をうまく引き出すのが

最上の治療だ。

鍼灸指圧の気持ちよさに身をゆだね、

凝りがほどけて再生する。

鍼灸指圧は気持ちいいから治るのだ。

 

《今村 光臣 さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/imamuramitsuomi/?c=88528