出生前診断と自分の人生を大切にする選択〜ダウン症だけ何故出生前に診断が可能なのか?

こんにちは、よいぼしのなぎうたのkinaです。
この間「出生前診断でお子さんにダウン症の確率があることで人工妊娠中絶をした夫婦は98%に上る。中には子供を中絶したが、その選択を後悔している女性がいる」という報道がありました。

もしかしたら、このコラムをお読みになっている方やその周囲の方でもそんな思いを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。
今回は出生前診断のお話を、知的障害の兄を持っているkina流にしたいと思います。
立場上結構きつく感じることもあるかもしれませんが、その点はご容赦下さい。

 

ダウン症だけ何故出生前に診断が可能なのか? ダウン症の特徴あれこれ

いきなり中学や高校の理科の授業っぽくなりますが、人間の染色体は2n=46ですが、これが2n=47となるのがダウン症です。
このため、数ある先天性の障がいの中でも、出生前に染色体の検査をしたらダウン症を持っているかどうかが判断できるわけです。

ダウン症の方は独特な風貌を持ち、性格は穏やかながら時折頑固さを発揮する場合があり、知的障がいを併発しやすいです。
なお、発生原因は現在のところ不明です……というか、不明じゃなかったらわざわざ「出生前診断」なんてやらない気もしますが^_^;
ダウン症は染色体上で問題がある状態なので体が丈夫でない方が多いと言われていて、現在は医学の進歩でそんなことはなくなりましたが、以前は「20歳まで生きられない」なんてことも平気で言われていました。

このことだけでも出生前診断の結果で人工妊娠中絶をするご夫婦の決断を尊重することはあっても非難することは出来ないと思いませんか?
このことに加え、普通のお子さん以上に健康に気をつけなければいけないところに養護学校の手配から将来の身の振り方、それに伴う不安のことを思ったら……ダウン症と診断されて人工妊娠中絶をしたご夫婦の割合が98%に上ったとしても、それはむしろ当然とさえいえるのではないでしょうか。

 

出生前診断を受けても安心してお子さんを産める社会にしたいなら……まずこの前時代的な知識を

本当であれば、出生前診断でダウン症と診断されても、安心して出産・子育てができるのであれば、少しは「産む」という選択肢を取る方も増えるのでしょうけれど……その前に、この21世紀を生きる時代に、「20世紀初頭でもあるまいし」と言いたくなるような知識を持っている人達がおりまして、この人達の知識というか偏見を何とかしないといけないと思ったりします。
その知識・偏見とは

ダウン症が遺伝する

という、現代の科学を完全無視するもの。

冒頭でも書いた通り、ダウン症の原因は染色体の異常です。
染色体が一本多いため、通常の染色体とは絡めないんです。
つまり、

ダウン症は遺伝しない

ということです。
信じられないかもしれませんが、本当にこう思っている人がいるんですよね……。

kinaは先天的な障がいを持って生まれたお子さんの親を見てくることが多かったので、「出生前診断で異常が見つかった子供でも大切に育てるべき」とは絶対に思いませんが、そのご夫婦がどのような選択をしたとしても、それは尊重するべきだと思っています。
いや、その前に「出生前診断で異常が見つかった子供でも大切に育てるべき」という人が、実際にそういうお子さんを持った方の手助けをしないことが多いんですけど、あれってホント何なんでしょうねー。

 

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