こんにちは！　占星術家の木星です。
前回は、神話が教えてくれる
さそり座の変容の力について
お伝えしました。

今回もまた、さそり座さんの
底力について
くわしくお話していきますよー！

まずはさそり座神話第二弾。
オリオンが、大サソリではなく
月の女神アルテミスに殺される物語を
ご紹介しましょうー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アルテミスに頭を射抜かれたオリオン

オリオンは、月の女神アルテミスと、
狩りを楽しむ日々を過ごしていました。

次第に女神に恋心を
いだくようになったオリオン。
アルテミスもまた、
彼に気持ちを許し始めます。

それを知ったアルテミスの兄、
太陽神アポローンは、
処女神アルテミスの操を守ろうと、
オリオンを殺そうと考えます。

巨体のオリオンが海を渡っている
そのときに、
海上を行くオリオンの頭に
金色の光を吹きかけると……。

妹アルテミスに
「いくらお前が弓の名手と言えど、
かなたに漂うあの金色のものを
射ることはできないだろう」
と挑発しました。

アルテミスは怒って
弓矢を手に取り、あっという間に
オリオンの頭を打ち抜きます。

やがて浜辺に打ち上げられたオリオンの
亡骸（なきがら）と、
頭に刺さった自分の矢を見つけた
アルテミスは深い悲しみに陥ります。

女神は、天を行く道すがら
失ったオリオンと
ふたたび会えるように
天上の星座にしたと伝えられています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

モッくま
「いつも思いますが、ホント
ギリシャ神話の神々っていかれてますよねｗ
妹の操（みさお）を守るために兄が
しゃしゃり出てくるのも
めんどくさいですが……

さらにその『殺し』を
わざわざ妹にさせるっていう…。
人だったらこれ
サイコパスのやることｗｗｗ」

木星
「神話分析のお約束。
倫理は持ち込まず、象徴を読む。

太陽神アポローンが出てきて、
月の女神に
オリオンを殺させる。

これにも深い意味があるのよ」

モッくま
「へーい。その意味とやらを
拝聴しましょうか」

木星
「まずね。
この神話を分析してわたしは、
宮崎駿さんを思い出したのよね」

モッくま
「え！　あのアニメ映画の巨匠ですか？」

木星
「そう。
宮崎駿さんって、作品を一つ
作り終えると、たいてい引退宣言をする
んだけど……。
あれって、なぜだか分かる？」

モッくま
「んー……なぜでしょう？」

木星
「アート作品の創作と言うのは、
『自分の新たな月と向き合う仕事』なのよね」

モッくま
「新たな月と……？」

木星
「まあ、『新たな女性性』と言い換えても
いいんだけど。
一つの作品を作り終える作業は
恋に似ていて。

自分の中の、まだ無自覚だった
女性的なエネルギー。
感受性とか、創造性とか、宇宙の
源が教えてくれる普遍的なエネルギーとか。
そういうものを、一つつかんで
顕在意識まで持ってくる。

その作業が、アート作品の創造なのよ」

モッくま
「なるほど……。じゃあ、
オリオンが森でアルテミスと出会い
狩りを楽しんでいるシーンが
象徴するのは……。

人間が、自分の潜在意識にもぐって
試行錯誤してる時間

ってことですか？」

木星
「そう。
そもそも『森』は、
心理学で潜在意識を意味する。
そこで『獲物を狩る』とは

無自覚だったエネルギー　＝　野生動物

を、
自分の手の中にとらえると言うこと。
潜在的なエネルギーを、形にする
作業をあらわすの」

モッくま
「なるほどー」

木星
「オリオンを『わたし達人間の自我』と
位置づけるなら。
『人間の娘に恋をする』とは、
まだ未熟な女性性を、自分に統合する
作業と言える。

そして、女性性をとりこんだ自我は、
今度は真に創造的な仕事をするために、
さらに潜在意識の奥深くへと分け入るの」

モッくま
「それが、
『月の女神アルテミスとの出会い』に
象徴されているんですね」

木星
「宇宙と一体化し、
感受性と思考をともに使い
源のエネルギーを具現化する創造的活動は、
その過程で必ず、一度は
『自我が死ぬ』体験をしているはず。

だからこそ、宮崎駿さんは
作品を一つ作る度、
『もうこれで終わりだ』
と思うんでしょう」

モッくま
「ふーむ……」

木星
「もちろん、これは
わたしの憶測でしかないけれど。

ここで重要なのは
『人が
新たな女性的エネルギーを
獲得する作業』は、
ある意味
死を伴うほど、危険ということよ」

モッくま
「なんだか、マニアックな
話になってきました……。

この神話分析、世の中のさそり座さん以外、
恐れをなして逃げ出すんじゃ……」

木星
「どうかしらね。
わたしもさそり座的ワールドが大好きだから。
つい、深くまで掘り下げちゃった。
次回はいよいよ、
太陽神アポローンの役割について。
分析しちゃうわよ！」

モッくま
「お手柔らかに～。
君の10個の天体も、意外とさそり座さんに
集まっているかも～。
自分の生まれた瞬間の
星の配置（ホロスコープ）を知りたい人はこちら！
http://moccuma.net/wp-content/plugins/horoscope/
」

木星
「みんな、ついてきてね～♪」

文：占星術家・木星
神話の絵：eARTh yukiyo

《木星（もくせい） さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/jupitar/?c=174109