一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.263「レジェンド&バタフライ」

レジェンド&バタフライ

号泣必至の戦国ラブ・ストーリー!!

信長と濃姫の愛と夢の行方を体感する

泣きました……!!! こんな泣かされるなんてびっくりだあー!! 試写室でなかったら、机に突っ伏して号泣してたところなほど泣いてしまった。織田信長と妻、濃姫(帰蝶)とのすごく切ないラブ・ストーリー巨編。監督が大友啓史なので、アクションあり、メイクもリアル。しかも脚本古沢良太なのではずすことなく、しっかり泣かすポイントは押さえまくり。ギャグもチラホラ。いや~2時間49分という長尺に「大丈夫だろうか?」との懸念もどこへやら。ほぼ3時間、戦国の愛の物語にどっぷり浸からせていただきました~。

レジェンド&バタフライ


大嫌いから変化していく気持ち

王道展開ながら見事にハマりました!!

大河ドラマの「麒麟がくる」では川口春奈が演じていた濃姫。このドラマでは明智光秀を好いていた設定になっていたな。濃姫は歴史的な資料がほとんどないらしく、どのようにでも話を膨らませるのは、脚本家の腕の見せ所。政略結婚により、美濃の国から信長の下へ嫁いだ斎藤道三の娘帰蝶。父の命令で隙あらば信長の首を取るつもりの男勝りで強気な美しい姫。対して帰蝶を迎える信長も興味津々ながら、可愛げのない生意気な態度に反発。初夜は一触即発状態でついにふたりのバトルが始まる。この寝室のバトルが快活で美しくも笑える。

信長をひらりひらりと交わす帰蝶役の綾瀬はるかの身のこなしが綺麗でキレが良くて見てて快感。この不遜なうつけ者をやっつけちゃうのだ。綾瀬はるかはアクションができるからこういうシーンでも映えるなあ。素敵な姫だ。この時信長16歳。帰蝶15歳という。しかも帰蝶は三度目の結婚。かくしてふたりの水と油のようにうまくいかない結婚生活の始まりだったが、鷹狩りで崖から落ちた信長を濃姫が助けたことにより、ふたりの距離は徐々に近づきはじめる。そして濃姫の父、道三の非業の死により、自害しようとする濃姫を信長が止め……。

レジェンド&バタフライ


綾瀬はるかの演技に涙涙……!!

ふたりの「夢」を夢見ながら劇場を後にする

本能寺の変へと向かってふたりの運命が突き進む過程はそのままふたりの愛が揺れ続ける過程でヤキモキさせられる。しかも、濃姫は病に倒れるのだ。これはもうメロドラマ。私が泣かされたのは綾瀬はるかの演技だ。あんなに元気でカッコよく美しかったのに、病を得ての儚げで頼りない様子。それでも信長を待ち続ける。でも、素直にはなれず意地を張ってしまう。なんて可愛い女なのか。繊細な表情と涙目がこちらにも迫ってくる。信長でなくてもこんな顔されたらかき抱くよ。対して木村拓哉の演技も鬼気迫る。いつものキムタク演技なのだが、後半は体重もかなり絞ったのだろう、壮絶な本能寺での攻防アクションを見せてくれる。たぶん、綾瀬、キムタクともに今年の演技賞受賞は確実だろう。

東映創立70周年記念映画ということで、制作費も20億円という。それだけにセットやロケも素晴らしい。細部まで見ごたえがある。あ~。しかし。ラストといい、素晴らしい内容だった。何より、良かったのは、ふたりの夢がかなったことである。たぶん、あの世で。そう思えるラストは、私たち観客に「夢」を見せてくれた。しばし、このロマンチックな愛の物語に私たちはつかの間の「夢」を見れて幸せな気持ちで劇場を後にできるのだ。

監督 大友啓史 

脚本 古沢良太

出演 木村拓哉 綾瀬はるか 伊藤英明 中谷美紀 宮沢氷魚 市川染五郎 和田正人 高橋努

浜田学 斎藤工 北大路欣也 本田博太郎 橋本じゅん 音尾琢真 池内万作 尾身としのり

※169分
©2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

1月27日(金)全国公開


  

  

《一宮千桃さんの記事一覧はコチラ》