一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.252 「バブル」

バブル

取り残された都市・東京での
パルクールアクションと切ない恋物語!!

日本のアニメはやっぱ、すごいなあー!! と見終わって新たに感心した。
「人魚姫」の話からパルクール!? こんな斬新なアイデアで新しい話が作れるなんて、一流のクリエーターの仕事ぶりに感動、驚愕した。
企画・プロデュースの川村元気、凄いよ(彼は東宝入社当初、大阪難波の映画館でもぎりをやってて、その頃から脚本を書いてたそうで、知り合いは「そのうち世に出る」と言ってました。もろ出たね~)。
彼が集めたクリタエーターたちは監督「進撃の巨人」の荒木哲郎、脚本に「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄、キャラクターデザイン原案に漫画家の小畑健、音楽に澤野弘之と、すごいメンバー。これらの才能がうまくマッチして開花した幸運で稀有なアニメだろう。
「すっばらしいっ!!」とその世界に耽溺した。
たぶん、世界が夢中になると思う。

バブル

 

映像の美しさに目を奪われる
そこへ流れる海の底から聴こえるハミング……

原因不明の泡によって世界が覆われ、重力が壊れた東京。そこでは家族を失った若者たちがパルクール競技によって、食べ物を確保するというバトル場となっていた。
強豪チーム、ブルーブレイズのエースながら、寡黙でチームから浮いているヒビキは、バトル中に落下した海で少女に助けられる。その少女ウタは、喋らず小動物のようで正体不明だが、ヒビキに懐きチームと暮らすことになる。ヒビキとウタにしか聴こえないハミングがきっかけでヒビキもウタに心を開くのだが……。

いやーっ開巻のパルクール(ビルからビルへと駆け巡る)バトルがアニメならではの人間離れした動きで目を奪われる。これはアニメで描くのも大変だろうけど、見てる分には快感だ。
もっと見ていたくなる。
そして、小畑健の作ったキャラのキュートさ、異様さ、美しさ。そのキャラが縦横無尽に画面を動き、カメラもくるくる廻る。
また、映像が素晴らしい。幻想的な海の中、人魚の姿態、秘密のお花畑、泡に覆われた都市、クライマックスの東京タワー……どれも見逃したくない美しさで瞬きしなくて目が痛いよ(笑)。
そこで繰り広げられるウタの切ないヒビキへの想い。幻想的なウタのハミングが神秘的な世界観をいや増す。

バブル

 

日本のアニメの真骨頂!
今後より霊性を求めるようになると期待!!

お話としてはおとぎ話であまり残らないが、この世界観にたゆたうだけで充分だろう。
ロマンチックな想像力が爆発した世界。
日本のアニメはすでに頂点を極めているけど、これから一体どこへ行くのだろうか? とも少し思った。
技術は凄まじい。でも……。
たぶん、内容がより、メンタル寄りに根源的な真理を追究するものになるのだろうな。それが、楽しみだ!!
あっ、ヒビキ役の志尊淳の声、セクシーで密やかで、絶品でした!!

 

監督 荒木哲郎  脚本 虚淵玄 大樹連司 佐藤直子
声の出演 志尊淳 りりあ。 宮野真守 梶裕貴 広瀬アリス 畠中祐 千本木彩花 逢坂良太
三木眞一郎 井上麻里奈 羽多野渉

※100分
©2022「バブル」製作委員会
※5月13日(金)から全国劇場ロードショー
※4月28日(金)からNETFLIX版にて世界配信

 

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