一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.246 「フラ・フラダンス」

フラフラダンス

フラガールを目指す5人の少女たちにエール!
丁寧に気持ちを描く東北応援感動アニメ!!

福島県いわき市にある「スパリゾートハワイアンズ」のことは、2006年の「フラガール」という映画で初めて知った(でも「フラガール」はこの施設が出来るまでの話)。
その後、テレビで施設のことを少し観たことがある程度で詳しくは知らなかった。
そこは1966年開業の「東北のハワイ」と言われる温水プールや温泉、ホテル、ゴルフ場を構える大型レジャー施設。
そこのステージで毎日2回行なわれるショーで踊っているのがフラガール(正式名称はスパリゾートハワイアンズ・ダンシングチーム)たちだ。
本作は施設に2年以上の取材協力を得て、この施設のフラガールとして入社して働く少女たちの現在の物語だ。
それゆえ、私はこのアニメで初めて「スパリゾート~」がどういうところか理解した。
なんと、施設の細部まで再現してるとのこと。
へーっという驚きとともに、少女たちの奮闘に涙してしまった。

フラフラダンス

 

主人公の日羽を中心に多感な少女の喜怒哀楽
それぞれの悩みや喜びに共感!!

かつて歳の離れた姉がダンサーとして勤めていた「スパリゾートハワイアンズ」。
高校卒業後の進路に悩む日羽は、ダンスの経験もないのに、今はいない姉のことを思い、採用試験を受け見事合格する。
同期入社の4人とともに、日羽はダンスの訓練を始めるのだが、個性的な仲間たちはそれぞれの事情があり、なかなか調和がとれず、日羽もダンスの下手さとドジぶりにみんなの中で浮いてしまう。
しかも、日羽への会社の評価は最下位で……。

5人のバラバラ加減が絶妙。明るいんだけど、おっちょこちょいで努力はするが、どうもそれが裏目に出てしまうヒロイン、日羽。
彼女が亡き姉の不在をいかに乗り越えて行くのかも本作の見所だ。
他の4人のバックボーンも丁寧に描き、さすがオリジナル脚本を担当した吉田玲子の手腕だ。
なんのことはない、新入社員たちの悲喜こもごもなんだけど、彼女たちの悩みや喜び、頑張りが普遍的でリアルで胸にくる。
私は特にダンスが上手くてしっかりものの美人、環奈が、入社を反対していた母親と和解するシーンで思わず、涙。
そうやって、多くの母親と娘が和解して欲しい。

フラフラダンス

 

美しく目を奪われるダンスシーンの興奮!
スパリゾートに絶対行きたくなる!!

また、ダンサーたちのダンスは3Dで描かれ、モーションキャプチャーによるダンスシーンはすべらかで美しく興奮するリアルさ。
そして、劇中で日羽たちが観にいくアイドルたちのステージも素晴らしく流麗で楽しく、目を奪われた。
このステージは彼女たちのダンスに生かされるのでお楽しみに。
それから、少女たちの普段の服の可愛さ、リアルさ、またフラダンスの衣装や化粧の華麗さ、美しさも特筆だ。

さて、東日本大震災によってこの施設も多大な被害を受け、現役ダンサーたちはステージに立つこともできず、復興に向けて全国を出張公演行脚していたという。
その数125箇所、計247公演。韓国ソウルも含む。
東北の人たちの粘り強さ、頑張りってたぶん日本一だよね。
見終わって、「スパリゾートハワイアンズ」絶対行きた~い!! となりました。
それくらい、魅力的な施設であり、フラダンスのステージであったのだ。

総監督 水島精二
監督 綿田慎也
脚本 吉田玲子
声の出演 福原遥 美山加恋 富田望生 前田佳織里 陶山恵実里 山田裕貴
ディーン・フジオカ

※108分
©BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ
※12月3日(金)から全国ロードショー

 

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