一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.234 「ハチとパルマの物語」

ハチ

空港で飼い主を待ち続けたロシアのハチ公!
少年と犬の感動実話ストーリー!!

これ、実話だそうです。
ロシアにも忠犬ハチ公みたいな話があったんだと驚き。
そして、もちろん犬の話ですもん、号泣でした。
すごくイイ話。
人の情も犬の情も同じだと改めて思わせてくれる佳作。
観終わって心が洗われたような爽やかな気持ちにさせられ、今の世の中の状況でそんな気持ちにさせられることは貴重で感動がいや増した。

テレビで秋田犬のニュースを見ながら、ロシアの空港で働くコーリャは自身の少年の頃の犬との出会いが甦る。
ジャーマンシェパードを連れて旧ソ連の空港からプラハに出国しようとした男は、書類の不備でしかたなく犬を滑走路に放ち、なんと置き去りにしたまま一人飛行機に乗る。
犬は空港に住み着き、飛行機が発着するたびに駆け寄り飼い主の顔を捜す。
そんな犬と心を通わせたのは、母親を亡くし、嫌っていたパイロットの父親に引き取られた9 歳のコーリャ。
その犬はパルマと名づけられ空港の人気者になるが、2年もの間飼い主の帰りを待ち続けた。
コーリャはパルマを飼い主の元へ返したいと行動を起こすが……。

ハチ

 

パルマの悲しげな佇まいにうるうる
クライマックスは涙炸裂の号泣!!

ずっと飼い主を待ち続ける犬……。
もうそれだけで死んでしまった飼い主の教授を渋谷駅で10年も待ち続けたハチとだぶって、その健気にうるうるする。
パルマの茶色い瞳が悲しげでその佇まいに涙がしとどに流れたりして困った。
また飼い主は搭乗口から降りてこなかった……。
くう~んとうなだれるパルマ。
ひどいっ。置き去りにするなんてなんちゅう飼い主か! と怒りがこみ上げる。
犬は猫と違っていつも悲しげで、胸がキュウとなる。
コーリャ少年とパルマの愛が炸裂するクライマックスは分かっちゃいるけど、やっぱ号泣!!
パルマのファンになる空港の人々の人間模様が多彩でコミカルな要素もあり、飽きさせない。
また当時の70年代の空港の様子や、政治事情、スチュワーデスの衣装など興味深い。
ロシアの映画なんて久々で、映像でロシア人を観れるのも楽しい。
パルマ役のリリアの演技も素晴らしく泣かせる。
秋田犬やスケート選手のアリーナ・ザギトワも出演してて、ご愛嬌だ。

ハチ

 

犬は人間を慰めるために神様が創った
だから犬と人間の絆は特別なのだ!

犬は人間に寄り添い、人間を慰めたり力付けたりするために神様が創ったそうで、だから犬という字は天という字に似て、また、てん(、)が付いている、ということを本で読んだことがある。
ものすごく納得した。
犬は猫と違ってより身を捨てて人間のために生きるように作られた生き物なのだ。
だから犬の話はどれも心揺さぶられ感動させられるのだろう。
私は猫派だけど、犬の佇まいには魅かれる。
忠義をいつも感じるからだ。
犬と一緒に寝るとストレスが無くなるそうだ。
犬は人間に近い生き物だと思う。
そんなことを思いながらこのレビューを書いているとまた涙が……。
是非とも本作を観て、号泣して免疫力を高めていただきたい!!

ハチ

 

監督・脚本 アレクサンドル・ドモガロフJr.
脚本 村上かのん
出演 アレクサンドル・ドモガロフ レオニド・バーソフ ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ
ヴァレリア・フョドロビチ ヴィクトル・イリン 渡辺裕之 藤田朋子 壇蜜 山本修夢

※120分
Ⓒ2021 パルマと秋田犬製作委員会
※5月28日(金)から全国ロードショー(一部変更あり)

 

《一宮千桃さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/ichimiyasentou/?c=26311