一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.224 「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」

ネクストドリーム

下っ端付き人の野心と行動力の美しさよ!
大感涙の女性サクセス・ストーリー!!

久々に試写室でボロ泣きしました。

洋画でサクセスもののストーリーというのも久々で、またコロナ禍の中、あまり洋画の試写もなかったし、なんだか最近重い作品ばかりでうつうつ気味で。
しかし、ストレートに映画で感極まる気持ちを思い出しました。
ハリウッド映画はやっぱりこういうテーマがうまいなぁ、と再確認。
アクションものばっかじゃなくて、複雑でもなくて、こんな夢ある作品こそ今、必要なのだと思う。
ほんとに元気がでる作品です!!

マギーは大物歌手グレースの付き人として早や3年。
毎日衣装のチェックや飲み物の手配、送り迎え、話し相手、はたまた衣装の断捨離の手伝いと、グレースが心地良く日々を過ごすために心も身体も砕く日々。
しかし、マギーにはグレースの曲をプロデュースする音楽プロデューサーになりたい、という大きな野心がある。
だからニューアルバムを何年も出していないグレースに何かと進言し、彼女の過去のアルバムを密かにリミックスし、隙あらばグレースに聴いてもらおうと機会を伺っていた。
グレースも、新曲を出したいが、周りは過去のヒット曲で充分儲かると新しい挑戦に難色を示す。
マギーのグレースへの進言を快く思わないマネージャーは「人のものじゃなくて自分でクライアントを探せ!」と言い放ち、マギーは最近知り合った歌の巧い青年のことを思い出す……。

ネクストドリーム

 

きつい言葉に嗚咽し、落ち込み、反省し、
野心復活していくマギーに共感しかない!!

女性の音楽プロデューサー(それ単独の仕事で)って日本でもアメリカでもあまり聞いたことがない。
それだけ女性が進出していない分野なのだろう(音響機械関係に強くないと、というのもあるかもしれない)。
マギーはさすがアメリカだけあって、売り込みが凄い。
さりげなくに見えるけど、根回しや努力は怠らないし、また、がんがん言いたいことを誰であろうと言う。
でも、それだけきつい売り込みを下っ端でやると、当然快く思わない人はいるもので、マネージャーやグレースにまで「分をわきまえろ」的なことを言われてさすがの強気のマギーもへこたれてしまう。
そして、思わず仕事中に涙してしまうのだけど、ここは私も共感涙!
こういうこと私もありました。
もうけっこうきつい言葉言われたりとか、私のやってること間違ってるんか? とかいろんなことで一杯一杯になってどうしたらいいのか分からんって気持ちが首まで一杯になって……信頼できる人の前で嗚咽と。
分かる分かるよマギー。

それから、より泣いたのは、マギーが大失敗をやらかして全て失ってからの周りの人の反応。
マギーがいかに自分に必要だったのか気づく。
そして、マギーのためらいながらの再生の第一歩を踏み出すくだり。
ボロボロ泣きましたー!
あなたはそれだけの才能があり努力した。
あなたは素晴らしい! 復活できる。
もうマギーは私、状態(笑)。

ネクストドリーム

 

キャストの好演がより感動を高める
皆が笑顔になって前向きになれる映画は傑作!

女性脚本家、女性監督による快作。
マギー役のダコタ・ジョンソンは第二のジュリア・ロバーツ、アン・ハサウェイになれる。
グレース役のトレイシー・エリス・ロスは歌巧いし美女で誰だろう? と思っていたらなんと、ダイアナ・ロスの娘なんだと!
しかも、歌声を披露するのは本作が初めてだと!
なんともったいない!
今から歌手デビューしてもいいのでは?

本作の原題は「The High Note」という。
意味は快活で明るい様子。
マギーの快活で前向きな姿勢は全てを上手くいかせる秘訣だ。
彼女のように私も自分を信じて自信を持って前にがんがん進んでいきたい。
すっかりコロナ禍の陰鬱ムードで大切な生きる姿勢を忘れていました。
やるぞぉ! となれる、皆が笑顔になれる、いや、傑作でしょう!!

ネクストドリーム

 

監督 ニーシャ・ガナトラ
脚本 フローラ・グリーソン
出演 ダコタ・ジョンソン トレイシー・エリス・ロス ケルヴィン・ハリソンJr.
ビル・プルマン ゾーイ・チャオ ジューン・ダイアン・ラファエル アイス・ギューブ

※114分
©2020 Focus Features, LLC. All Rights Reserved
※12月11日(金)から全国ロードショー

 

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