一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.183 「アベンジャーズ/エンドゲーム」

アベンジャーズ

ラストは号泣必至の意外展開!!
彼らの永い戦いに敬意を表す!! ありがとう!

アメリカ人はヒーロー映画が大好きだ。

多民族国家で、それらを束ねてくれ今の自分たちを救ってくれる救世主的存在の登場を常に渇望しているのだろう。
日々の暮らしが過酷だから夢見る傾向が強いのかもしれない。
アメリカに右へ倣えの日本もその傾向は年々強くなっていると感じる。

で、「アベンジャーズ」のシリーズもどれも大ヒットである。
2008年から続いたこのシリーズもついに本作で完結となる。
全22本。すごいなあ。
私はどうも、アメコミのヒーローものって苦手で、22本の中には「……」という作品も少なくなかった。
しかし、最後の本作は、私は全力で推す!
アメコミ作品の中で初めて号泣した作品となった。

「キャプテン・アメリカ」のシリーズを観てきた人でないと分からない胸キュンラストは、壮大かつ愛に満ちたラストでやっぱり「愛」を選んだキャプテンの純情には大拍手としみじみ落涙……。
ラストだけあって、アベンジャーズメンバーのいくつかの辛い犠牲と選択があり、けっこう無防備に観ていた私は「えっ!」とうろたえ自分でも意外なほど涙が止められず久々に映画館で泣き濡れるという経験をした。
さて、どこがそんなに泣けたのか? 紐解いていこう。

アベンジャーズ
©Marvel Studios 2019

 

家族を守る、仲間を救う、愛を貫く
これ、生きる指針だよね!

お話としては、前作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」で最強の敵サノスによって何人かの仲間と全世界の生命の半分を失うという最悪の状況からの反撃となる。
メンバーは悲しみの底から、消えた仲間を取り戻すためにサノスが指を鳴らして世界を消し去ったその瞬間の前の時間に戻ることを思いつく。
そこで6つの石を手に入れるのだ。
過去へ戻るメンバーたち。
しかし、そこでは様々な障害が待っていた。

良く出来ている脚本だ。
10人以上いるメンバーそれぞれの過去のエピソードや人間関係を過不足なく描き、シリーズで描かれた伏線を回収していく。
だから、壮大な円環を描いたドラマをラストには実感できる。
プロデューサーは1作目から22作目のラストまで話を作って製作したのか? そうとしたら素晴らしい偉業だと思う(まあ原作あるけどね)。
しかし、メンバーは多いものの、結局このシリーズの主役はアイアンマンとキャプテン・アメリカなのだな、と分かる。
それゆえ、彼らが一番カッコよく、ラストは涙なのだ。
また、彼らふたりのキャラクターは「これがアメリカ!」の明るい部分と暗い部分を体現してるように思う。
両面あってアメリカなのだ。

またメンバーたちの、家族を守る、消えたメンバーを救う、愛を貫く、という闘う理由は私たち人間の一番欲するところなのだ。
拠り所ゆえに、私たちの深い部分を揺さぶってくる。
だから、それを達成した姿に感動してしまう。

アベンジャーズ
©Marvel Studios 2019

 

大好きキャラ、キャプテン・アメリカの選択
個人の愛は人類愛に通じるのだ!

3時間を越える長尺ながら、メンバーそれぞれの事情や壁を描いていて、なかなか物事が上手く行かずハラハラさせられ、苦にならない見ごたえありの3時間だった。
私は一番好きなキャラクター、バッキーがあまり出てなかったのでちょっと「ブーっ」だったけど、メインのキャラで一番好きなキャプテン・アメリカが素晴らしかったので、満足。
そして、女性キャラで一番好きなナターシャも本当に素晴らしかった……!

あと、真田広之がちょい役で出ていて驚いた。
そのシーンは残念なシーンだったけど、ものすごくアメリカ的で面白かった。
剣と刀で戦うシーンなんだけど、普通日本映画だと無言で戦うけど、「なぜ俺を襲う?」とか、「殺してやる」「死ね」とかやたら真田さんが日本語でしゃべるのが違和感ありで「なるほど」だった。
刀アクションはさすが、殺気があってちょい出演でもすんばらしかったけど。

アベンジャーズ
©Marvel Studios 2019

 

静かに固唾を呑んで見入る観客たち
アメコミ作品も侮れないね!

今回、試写がなかったので劇場で見せていただいたのだけど、ほぼ満席。
けっこうギャグシーンも多かったんだけど、笑い声を上げていたのは約女性1人? 皆固唾を呑んで画面を見守っていた印象だ。
でも、静かすぎたような。

私はアメリカンギャグ苦手なので全然笑えなかったけど、アメリカじゃここ、大爆笑だよね? ってシーンでも、ほぼシーン。

私の観た回だけだったのかな?? ラストに鼻をすする音はいくつか聞こえました。
久々の劇場だったけど、一般客の反応の控えめさに少々驚いた。
これじゃ試写室の方が反応派手だよ。

さて、アメコミも侮れないと実感した本作。
次のシリーズは? と思う。
ヒーロー好きのアメリカ人はちゃんと次のシリーズも用意していることだろう。
その前に、本作はアメコミものでは、一級品である。
泣けます。

 

アベンジャーズ
©Marvel Studios 2019

 

監督 アンソニー&ジョー・ルッソ
脚本 クリストファー・マルクス&スティーヴン・マクフィーリー
出演 ロバート・ダウニーJr. クリス・エヴァンス マーク・ラファロ クリス・ヘムズワース
スカーレット・ヨハンソン ジェレミー・レナー ドン・チードル ポール・ラッド ブリー・ラーソン
ジョシュ・ブローリン

※181分

※4月26日㈮~全国公開中

 

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