令和6年2月メッセージ  — 年初から続く不穏な社会情勢の中、そっと春を告げる頭上の太陽に私たちは悲しみの涙を拭い前進を決意する

2月

元日から能登を襲った巨大地震、航空機炎上、切りつけと不穏な空気が世を襲う中で  — 五黄土星2月は、強い心をもって未曽有のカタストロフィーと対峙する時

2月を迎えました。旧暦に於いても正式に新年となり、文字通り気持ちも新たにスタートを切る時期ですが、今年は残念ながら、新年のスタートから、日本列島には大きな衝撃が走りました。元日の夕方、石川県能登半島がマグニチュード7.6の大地震に見舞われ、200名以上の方が犠牲となられました。また2日は羽田空港で航空機と海保機が衝突し炎上、3日にはJR秋葉原駅で切りつけ事件発生と、世間を震撼させるニュースが続きました。

激動の甲辰三碧木星を予感せざるを得ない、暗い雰囲気が世を覆っています。能登では現在もなお多数の方が、余震の恐怖に怯えながら、厳しい寒さの中で避難生活を余儀なくされています。どうか一刻も早い復興をと、願わずにはいられません。

立春を迎える2月4日、月運が六白金星から五黄土星に移ります。五黄の“黄”は黄金、黄帝という言葉がある通り、気高く尊い、崇敬、崇拝といった象意があります。
九星で最も、周囲に多大な影響を与える星です。

人に例えれば支配者、王、首相といった世の中心人物、一方で犯罪組織の首領、盗人、浮浪者といった象意があります。また、強欲、戦争、崩壊、破産、自然災害(地震、台風、暴風雨)といった意味もあります。また、交通標識では、黄色は“危険”を知らせる色として知られています。

年初の日本では、昨年来の裏金疑惑に揺れる自民党が、岸田首相の主導で主要派閥の解散を決め、党内外に大きな動揺を齎しました。この決断が自民党の存立基盤を大きく揺るがせ、党内抗争や野党も巻き込んだ政界再編に発展する可能性もあります。西洋占星術の観点(詳細は後述)でいえば“風の時代”入りの影響もあり、ここが日本の統治機構、パラダイムの大きな転換点と言えるかもしれません。この時期は、市井での大規模な強盗、詐欺、傷害犯罪の発生や企業倒産の増大、自然災害の発生等の可能性がある点にも、注意したいところです。

2月の月運の干支は、“丙寅(ひのえとら)”。春に柔らかい陽射しを届けてくれる、暖かな太陽のイメージのような月です。今月は、誰もが朗らかで愛嬌に溢れ、組織や仕事面でも先頭に立ってやる気が漲る月となるでしょう。悩みを抱え意気消沈している人にやさしい声をかけ、助けてあげると、大きな“徳”を積むことができるでしょう。生活面で余力のある方は、被災地や慈善事業に寄付などをすると、後々、自分に大きな幸福となって返ってきそうです。

二十八宿は“心宿”。今月は、会社の設立登記や開業、移転、家の新築に適した月です。また、今月はヨガや滝行、整体などの精神鍛錬や身体のリフレッシュをすると、運が上がりそうです。また、知人から持ち込まれていた、気の進まない案件なども、キッパリ断るのには良い月と言えるでしょう。

重要な契約や勝負事に関しては、大安の3日、9日、14日、20日、26日、一粒万倍日の7日、12日、19日、24日に設定すると良いでしょう。デートや告白、プロポーズを考えている方も、上記の日を選びましょう。なお、今月の暗剣殺はありません。14日までは天一天上ですので、方位に障りはありません。有給休暇や連休を利用し、帰省や初詣を兼ねた旅行をするのも良いでしょう。

冥王星水瓶座入り、牡牛座天王星順行の激動期に在って  — 生きるとは、先に死んでいった人々の“思い”を引き継ぐこと

西洋占星術の観点で言えば、先月はことし最大の天体イベントとも言える破壊と再生の星・冥王星が、水瓶座に移動しました(~9/2)。昨年は、いわゆる “地の時代”に繁栄を謳歌した芸能界、大学、宗教団体、政党など各界の権威、権力ある組織の“闇”が露見し、社会に大きな動揺を齎しました。この流れが今年は更に強まり、各界の頂点に君臨してきた指導者の相次ぐ退陣/引退、大規模な粛清等が進むでしょう。

個人レベルに於いては不健全な人間関係の清算が強まるので、仮面夫婦の離婚や長く交際したカップルの別離、上辺だけの友人関係の解消などが促進されるでしょう。また、これまで沈黙していた“無告の民”がprotest(抗議)の声を上げ始め、そのマグマの如く溜まった不平不満は、火山の噴火や大規模な地震といった天災の形で表出する可能性もあるでしょう。 “カリスマ”が表舞台から消えると同時に、国家や会社、組織の縛りが溶解してゆき、個人はネットを媒介として国籍、門地を超えた緩やかなfederationを形成し、各々の得意分野を活かしフラットに協力し合う流れが社会に大きな影響を及ぼしてゆく気配です。

また先月末には、牡牛座で逆行を続けていた天王星が150日ぶりに順行へと転じました。天王星はウイルス、ネットワーク、変容、解放を象徴し、2026年春まで、“五感”を表す牡牛座に滞在します。これからの3年間は、ITの進化によりテレワークによる在宅勤務の定着やノマドワーカーの増加、副業/複業による収入革命、電子マネーの更なる浸透が促されるようです。

10日7時58分には水瓶座で新月が起こります。転職や転居など、自分を取り巻く状況が大きく変わり、人間関係もアップグレードされてゆく暗示です。春が近づいていますが、新年度に自分が“こう在りたい”という、理想のイメージの具現化に努めましょう。先月の4日には火星が山羊座に入り、23日に金星と同室しました。火星は男性性を、金星は女性性を表しますが、近い距離で移動し続けるこの二つの星は、まさに男女のダンスにも譬えられます。

14日のバレンタインデーを前に、自分から積極的に行動することで、今月は運命の異性との出逢いや、情熱的な恋愛が始まるかもしれません。この恋愛は遊びではなく、生活の安定を目的とした、地に足の着いたものとなるでしょう。24日21時30分には、乙女座で満月を迎えます(スノームーン)。旧年度の終わり、学校では卒業式も迫るこの時期は、次のステージを迎える前に、旧くなったモノ、感情を手放すタイミングです。様々な意味でしっかりと“整理整頓”をすることで、新しい幸運を呼び込みましょう。

本稿を書き終えた1月30日は、非暴力主義を掲げ、幾度も投獄されながらも祖国インドを独立に導いた政治指導者、マハトマ・ガンジー(1869~1948)の命日に当たります。今回は、そのガンジーが遺した、不滅の名言をご紹介しましょう。

“束縛があるからこそ、 私は飛べるのだ

悲しみがあるからこそ、 私は高く舞い上がれるのだ

逆境があるからこそ、 私は走れるのだ

涙があるからこそ、 私は前に進めるのだ”

79年の人生を闘いに捧げ、最期は兇刃に斃れた壮絶な最期を遂げた彼だからこそ、胸に迫ってくる言葉です。

また1月は、私が師と仰いだ文学者・堤玄太(1966~2010)先生の、生誕月でもありました。東大の大学院生であった師がアルバイトをしていた予備校で、講師と生徒として出会い、大学に入った後も、萩原朔太郎の研究者であった師のお手伝いに研究室へ何度も足を運ぶなど、大変親しくさせて頂きましたが、惜しくも平成21年末、44歳の若さで、クモ膜下出血で急逝されました。

いつの間にか私も、師の享年を超える年となりました。昨年末には引っ越しをしましたが、師が眠る墓所と、師が導いてくださった母校・早稲田大学のちょうど間に位置する辺りに、居を定めました。ガンジーも師も、命数は違えど、与えられた生涯を精一杯燃やして、この世を去ってゆきました。

生きるとは、先に逝った人々の想いを引き継ぐことでもあります。私たちは残りの命数で、これから誰と出逢い、何を成し遂げるのでしょうか。逆境があるからこそ、私たちは走ることができ、涙があるからこそ、私たちは前に進めることが、できるのです。正式に年が改まるこの2月、皆様の魂が、それぞれにとって最善の場所で更なる輝きを増すよう、祈念しております。


(了)

 

 

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