天、人、龍が織りなす神秘の音楽~雅楽は世界最古の合奏音楽

雅楽の主旋律を担当する楽器である「篳篥(ひちりき)」は、雅楽で演奏されるほとんどの楽曲で使われるほどのものですが、こちら男性が普通に出せる声の範囲とほぼ同じ高さを出せることから、「人の声」を表現する楽器だといわれています。

【由緒正しい日本古来の音楽】

「雅楽」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 「神社の儀式」などで聞くことの出来る音楽というイメージが強いかもしれません。多くの人が、あまりじっくりと聞いたことがないかもしれない雅楽ですが、1200年以上前から存在していた由緒正しい「日本の音楽」なのです。

本来、雅楽とは、「雅正の楽」という意味合いであり、日本独自のものではなく、外来の音楽と舞でした。これを司るために、西暦701年に「雅楽寮」という「国家機関」が作られており、それによって管理されていたために、俗の音楽に対する「宮廷音楽」というような意味合いもありました。

 

【現存する合奏音楽としては世界最古】

それから、1200年以上が経過し、今では日本古来の音楽や、舞、平安時代に作られた曲など、すべてひっくるめて雅楽と称されるようになり、外来のものというよりも、「日本独自の音楽としての地位を築き上げています」。ちなみに、「現存する合奏音楽としては世界最古」といわれており、世界的にもその評価が高いのです。

 

【雅楽で使われる楽器はスピリチュアル】

「合奏音楽」ということからもわかるように、雅楽ではさまざまな楽器が使われますが、どれもがスピリチュアルな意味合いや逸話をもっているところが特徴的です。

その中でも、管楽器は特に特徴的といえます。雅楽の主旋律を担当する楽器である「篳篥(ひちりき)」は、雅楽で演奏されるほとんどの楽曲で使われるほどのものですが、こちら男性が普通に出せる声の範囲とほぼ同じ高さを出せることから、「人の声」を表現する楽器だといわれています。

同じく「管楽器」である「笙(しょう)」と「龍笛」があります。笙は主に和音を奏でるものですが、その姿形自体が「鳳凰が翼を立てて休んでいる姿」を表しているとされ、音色も「天から差し込む光」を表していると言われています。

さらに、笙にはスピリチュアルな点がほかもいくつもあり、パワーストーンであるマラカイトを、リードに塗る必要があったり、火を象徴する鳳凰そのものであるかのように、演奏前に必ず炭火などで温める必要があるのです。

最後のひとつである「龍笛」ですが、こちらは基本的には「横笛」と呼ばれているものの一種です。もっとも広い音域をもちますが、特に龍笛は「空を舞う龍の鳴き声」を表しているとされています。

 

【3つの音色が宇宙を産み出す】

この3つの管楽器が合奏されることで、産み出される音は、たんなる旋律が調和したものというだけでなく、「宇宙を表現し、そこに宇宙を創り出すことができる」とまでいわれているのです。

 

【昔の雅楽はテンポが速かった】

こうした思想や、基本的に「宮廷音楽であった」ということもあり、「雅楽は儀式的なもの」というイメージが強いものです。

曲調もゆったりとしており、近代の音楽を聞き慣れていると違和感があるかもしれませんが、最近の研究だと「古い時代の雅楽はもっとテンポが速かったのではないか」ということがわかってきました。

それによると、現代の雅楽というのは、平安時代のものに比べると曲によっては「10倍以上もスローテンポになっている」というのです。これは、当初は外来の娯楽目的だった音楽が、徐々に儀式的なものとなり、技巧よりも心や旋律が重視されたために、必然的に遅くなったのではないかといわれています。

まさに、世界に類をみないスピリチュアルな要素にあふれた音楽である「雅楽」。

古くさいものと思わずに、機会があるときには、是非一度聞いてみて下さい。音楽によって「宇宙が創造されていくエネルギーを感じる」ことができるかもしれませんよ。

 

“Gagaku” Japan own music.
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