【人体を健康な状態に導いてくれるアダプトゲン】
「アダプトゲン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
英語で表記すると「adaptogen」となります。「adapt」というのは「適応させる」という意味をもっており、「-gen」は「~を生じる」というような意味となります。すなわちまとめると、「適応を促進させるもの」というような意味合いとなります。より正確に説明すると、人体の適応能力を高める物質のことを「アダプトゲン」と定義しているのです。
【アダプトゲンの定義とは?】
アダプトゲンが定義されたのは、「1947年頃」だといわれています。
ロシアの科学者である「ニコライ・ラザレフ博士」が「身体に悪影響を与える物理的、科学的、または生物学的なストレッサーを、非特異性の抵抗力を高めることによって撃退するもの」と定義したのが最初だといわれています。
その後、同じくロシアの薬理学者である「イスラエル・ブレクマン教授」が「生体にとって無害である」「各種の要因による生体ストレスに対する適応能力や抵抗力を高める」「異常を起こした身体を正常化させる」という「3つの条件を満たす物がアダプトゲンである」と定義しました。現在では、こちらのブレクマン教授の定義がベースになっているようです。
【数千年前から使われていた補気薬】
このように定義自体は比較的新しいのですが、アダプトゲンとされている物質は、どれもが「数千年前からインドや中国で使われていたもの」。すなわち「漢方薬やハーブ」を示しています。
天然の薬であるハーブには多くの種類がありますが、その中でも、上記の定義を備えている「万能薬に近いもの」だけが、「アダプトゲン」とされているわけです。漢方ではこうした働きを持つハーブを「補気薬」などと呼んでいました。これは名前の通り、「気」を「補」うための薬であり、私たち人間の「生命エネルギーである気を高める」ことで、免疫力や治癒力を高めて、問題を解消するために使われていたのです。
つまり、「古来からあった叡智」を新たに定義し、「西洋医学的な判断基準でも充分に有効である」とされたものがアダプトゲンとなります。アダプトゲンだと認められるためには、上記の3つの定義を満たすだけでなく、きちんとした「統計学的な判断基準によって、有意な効果が出る必要もあります」ので、なかなか厳しい基準であり、現在のところ、アダプトゲンと認められたハーブは「20種類」に満たない状況です。
【代表的なアダプトゲン】
では、どんなものがアダプトゲンと認められているのか? 代表的なものをいくつか紹介しましょう。
まず最初に紹介するのは非常に有名な漢方薬であり、食材としても使われる「高麗人参」。こちらは、前述の補気薬としても代表的なものであり、「滋養強壮、老化防止、精神賦活作用」などがあるとされています。最近では「がん細胞の転移や増殖を抑制」したり、「放射線による副作用を軽減する」効果なども確認さていることから、がん治療の新たな可能性としても注目されているようです。
次に紹介するものは「ホーリーバジル」。こちらは、アーユルヴェーダでは「トゥルシー」と呼ばれ、インドでは「最も神聖な植物」とされていたハーブです。「神への捧げ物」として使われたり、「エネルギー的な浄化」に使われたりとスピリチュアルな面も多いのですが、「風邪やインフルエンザなどに効果的である」だけでなく、「気管支炎や喘息といった喉の疾患に有効」だとされています。もちろん、ストレス耐性や免疫強化もある立派なアダプトゲンです。
「ストレス軽減効果が高く、ストレスに強い体質にしてくれる」といわれているアダプトゲンとして「マカ」があります。
こちらも比較的ポピュラーなハーブであり、今から「3000年以上前」から使われていたといわれています。原産地であるアンデス地方では「薬草の女王」と呼ばれ、古代には王族しか食べることを許されなかったのだそうです。こちらは、成長ホルモンを増加させたり、ダイエット効果をもち、さらには、エストロゲンを増加させる効果があり、現代人にとってはかなり嬉しい力をもっているものといえるでしょう。
他にも比較的名前が知られたものとして「冬虫夏草」「甘草」「霊芝」といったものから、日本ではほとんどなじみのない「アシュワガンダ」「ロディオラ」「チャーガ」「シラジット」などといったハーブもアダプトゲンであるとされています。
【自分にあった万能薬を見つけよう】
アダプトゲンは基本的に無害であり、ストレスに強くなり精神的に安定させてくれるだけでなく、身体全体を健康に保ち、免疫力を強化してくれるわけですので、ある意味で「万能薬」といえます。
しかしながら、いくつか紹介したことからもわかるように、そういった万能薬的な効果にプラスして、それぞれの「得意分野」というものもありますので、ハーブを選ぶ上で、「アダプトゲンであることを確認してから、今の自分に必要なものを見つける」というのは、ハーブを選ぶ上でひとつの指針となりますので、機会があったら、是非活用してみて下さい。
It is a panacea “adaptogen”.
Adaptogen to guide when selecting herbs.