統合医療のカリスマ! 女子医大附属青山自然療法研究所クリニック所長 川嶋朗先生インタビュー「本当のホリスティック医療とは?」 ~後編~

TRINITY vol.44で、東洋医学の見地から見た感情と内臓のつながり、そして五臓や感情に対してのホリスティックケアについてお話をしてくださった、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長の川嶋朗先生。

「QOD(クオリティ・オブ・デス)=死に方」を考えることは、「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)=生き方」を考えることになると仰る川嶋先生。お話には、本当の意味での統合医療、患者の在り方、医者の在り方など、皆さんにぜひお伝えしたいお話が詰まっています。本誌には掲載しきれなかったお話をご紹介させていただきます。

―病気は自分からのメッセージ―

編集部:川嶋先生のクリニックでは、ホメオパシーや気功などさまざまなホリスティック治療を取り入れていらっしゃいますね。最初のカウンセリングはどのように進むんでしょうか?

川嶋先生:私は、病気になった方には、「病気はあなたの身体からきているメッセージだから、応えてあげさえすれば、止まるか引っ込むかするはずですよ。病気をつくっているのは自分なんですよ」とお話します。そして、もし思いつかない方がいたとしたら、まず始めに、「朝は何時に起きますか? 起きたらまず何をしますか? 朝食は何時に食べますか? 食べたら何をしますか?」……と、細かく24時間どんな風に過ごしているか聞いていくんです。そして起きてから寝るまでではなくて、寝た後も、「夜は何回起きますか? 夢はよく見ます? どんな種類の夢を見ます?」……と聞いて、「24時間、あなたの生活はパーフェクトですか?」っと尋ねると、パーフェクトだという人はまずいません。「そうすると、病気は100%ではない生活習慣からきているメッセージだという可能性はありますよね? では、正せるところはどこでしょうか?」と詰めていくんです。間違っていることを継続していては、どんな治療をしても治らないですからね。

編集部:西洋医学と代替医療ではやはり、その人の個人を診るというところに大きな違いがあるのでしょうか。

川嶋先生:そうですね、たとえば同じ胃炎でも漢方では体質が強い人とそうでない人、また胃炎でも神経性ならば処方が変わることもあります。けれど、西洋医学は胃炎という症状だけで対処していく。西洋医学というのは、病気という敵があってはじめて戦える医療。東洋医学のように未病の段階でケアができるものではありません。だから、苦手な分野があるんです。たとえば、血糖値や血圧が高いからといってやっつけてしまうと死んでしまいますよね。メンタルの問題もそうです。敵ではないので駆逐できません。

ところが、自然界というのは、何か不都合が起こった時に、それを調整するようなものが身近にあるのです。アスピリンだって、もともとはドイツの湿地帯に生える柳からとれたもの。湿地帯に多い身体の痛みに対処できるものがあるのは当然な気がします。柳は単一な成分ではないので身体にやさしいのです。

フラワーエッセンスだって、そもそもはなぜ花が感情に効くかはわからないけれど、花をよく見ているとわかる時があります。たとえば過去のしがらみにとらわれやすい場合に使用するハニーサックルはすごく蔓が絡む植物。そういうところから、エドワード・バッチ博士は気づいたのかもしれません。ホメオパシーのことをプラシーボ(偽薬のこと。例えば薬ではない錠剤を、薬だと言って渡しても効き目が出る治療効果のこと)だという人がいるけれど、実際効くのです。私は、それで症状がよくなったのなら、プラシーボでもいいのではないかと思います。ただし絶対に法外な報酬を要求してはいけません。

編集部:性格などが病気と関連することはあるのでしょうか?

川嶋先生:まだ学術的には確立されていないのですが、同じ病気になる人は性格も似ているということはあるかもしれませんね。でもやはり、過剰なストレスは病気につながります。そして、同じストレスがかかってもアレルギーになる人と、胃潰瘍になる人、腰に来る人などがいますよね。その辺は受け取り方が影響しているということもあるでしょう。

編集部:先生は催眠療法も取り入れられているんですよね。

川嶋先生:カウンセリングなどをしていると、どうしても病気の原因が掴めない時に催眠療法を行います。そうすると、親からの愛が不足していたとか、もしかしたら前世が今の病気の原因かもしれないと紐解いていくことができます。たとえばご主人を亡くされてずっと落ち込んでいた方が、催眠療法のイメージのなかでご主人と再会を果たしたことで元気になるということもありました。この世の中はわからないことだらけだから。科学だってちっぽけなものです。

編集部:だからこそ、どう生きていくかをしっかり自分で考えることが大事なんですね。

川嶋先生:はい。病気でも健康な人はいます。健康でも病気の人はいると思います。身も心もパーフェクトな人はまずいません。病気になったら、まず自分の生活やメンタル面を見直してみることです。自分や自分の生活を修正しつつ、今の状態が危険だと思ったら、頼るべき所に頼るのもありです。最終的には死ぬときに幸福であればいいわけです。そういう自分を考えて欲しいなと思いますね。

ただ長生きしたい、死ぬのが怖い、ではなく目的を持って何歳まで生きると決める。そうしたら、健康でいるためにはどうすればいいのかを考えるようになる。その時に医者に頼ろうという人のために私たちがいるんです。

川嶋朗先生
東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所 自然医療部門 准教授。 東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長。気功、ホメオパシーを取り入れた治療を行っている。予約はなんと3年待ち。西洋医学では腎臓病、膠原病、高血圧などが専門。
http://www.twmu.ac.jp/AWNML/N/top/

 

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