幸福の国のブータン便り・第一稿「あ」~あそび

昨年11月にブータン国王ご夫妻が初来日され、「ブータンを初めて知った」、「なんだか日本人に似ている」とブータンとの距離は私たち日本人とグッと近くなったのではないでしょうか。

このコーナーでは現地スタッフとのコンタクトや滞在経験から、まだまだ情報が少ないブータンの癒しや日常の情報を、毎週50音で楽しく皆さんにお届けできればと思っています。よろしくお願いいたします。


第一稿「あ」~あそび

“あ”の癒しといえば世界共通、「あそび」ではないでしょうか。

ブータンに一歩足を踏み入れると、あちらこちらで文字通り大人も子供も、「遊び」に興じています。まず空港のあるパロに入るとなにやら大の大人が日用雑貨店の前や広場などに出された半畳ほどの大きさのテーブルに群がっています。これは「カロム」。アジアのゲーム、ブータンでもよくみられる遊びのひとつです。チームを組み、玉を弾き、隅のポケットに落とす……そうビリヤードみたい!

時々小さな子供も夢中になってやっていることもありますが、子供、特に学生の男の子の遊びといえば「バスケットボール」が大人気です。もちろんスポーツシューズを持っている子も都市部以外はそんなには多くいませんし、ユニホームなんてものはありません。みんな放課後や休日に校庭や広場でサンダルやクロックスに民族衣装のゴ(男性の衣装をこう呼びます)やシャツでバスケットボールに興じます。

学生にとってはスポーツが一種の遊びになる、そう、ブータンでは「体育」というものが授業になっている学校がほとんどありません。近年、海外からのボランティア講師によりようやく「体育」という概念がブータンの教育に入ってきたばかりです。ですから学生にとって日本人にとってのスポーツはあそびに近い意味合いを帯びているかもしれません。

歴代国王様もバスケットボールが大好き。国王様の練習姿を一目みようと連日たくさんの女性が練習のコートを訪れます。「国王様の練習姿が見られるの?」……そう! 誰でもその場所に行けば見ることができます。そしてみんなが使うコートを国王様も利用します。これがブータンです♪

小さな子どもは木登りしたり、女子学生は読書したりするのが一般的です。子供たちが野原でキャッキャッと走り回って遊んでいる姿をよく見かけました。都会の子どもたちはたくさんの輸入のおもちゃを持っている子もいます。そんな姿は日本の子どもとあまり変わらないかと思いますが、まだブータンには個人がゲーム機を持っているのを見かけたことは私はありません。

大人が広場で「仕事の休憩中なんだ。だから遊びの時間さ」と言い、数人で歌を歌ったり、踊っているのを見ると、「ああ、ここは次元の違う国、ブータンなんだ」とほのぼのした牧歌的な気持ちになり、こちらがとても癒されます。