神へと祈りを捧げる正座とエネルギーを循環させる楽座

日本人らしい座り方として「あぐら」「正座」があります。現在ではあぐらは、あまり行儀がいいものと考えられていませんが、元々は「安座(あんざ)」と呼ばれていました。こちらは「楽座(らくざ)」という、「貴族の座法の基本」が出来ない人のため考えられたものです。
神へと祈りを捧げる正座とエネルギーを循環させる楽座

【日本人の礼儀作法の大元】

日本人は「礼儀や作法にうるさい民族」であるといわれています。現代ではそのような教育も失われてきていますが、宗教的なモラルがベースとなることが多い海外に比べると、日本人のモラルや礼儀というのは、宗教ではなく様々な要素が組み合わさって生まれてきたものといえるでしょう。そのベースとなっているのが「礼法」。

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(画像・ウィキペディアより)

 

こちらは、「宮中で貴族達が使っていた儀礼の作法が根本」となっています。当時の貴族というのは、かなりスピリチュアルな人々であり、暦の吉凶や占いの結果、さらには日常での出来事などすべてに意味を感じており、なにか悪いことがあった場合はすぐにお祓いをするというのが当然でしたので、そういった「日常的な儀式」、さらには現代でも行われているような「宮中儀礼」に参加するときの仕草が礼法の根本となっています。

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(画像・ウィキペディアより)

 

【今と昔で異なる座り方の名称】

たとえば、日本人らしい座り方として「あぐら」「正座」があります。現在ではあぐらは、あまり行儀がいいものと考えられていませんが、元々は「安座(あんざ)」と呼ばれていました。こちらは「楽座(らくざ)」という、「貴族の座法の基本」が出来ない人のため考えられたものです。

座る時の正式な姿勢といえば、現代の私たちは「正座」をイメージしますが、古い時代は現在のような正座はほとんど行われませんでした。これは現代まで残っている「戦国武将や貴人の肖像画を見るとわかる」と思います。ぱっと見はあぐらにも見える「楽座」を使っているのです。これは、足を組まずに、足の裏と裏を密着させるようにするもので、威厳を感じさせることから、好んで使われました。

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(画像・ウィキペディアより)

 

【昔の正座は正座ではなかった】

陰陽師として有名な「安倍晴明」の肖像画もこの安座をしています。下記の動画をご覧になってみてください。こちらは、肖像画を元に作られた銅像ですが、袖の中に手を隠しているように見えることから、おそらくなにかの「儀礼を行っている」ところを描写したと思われます。つまり、平安時代にはスピリチュアルな儀式を行う時には、正座ではなく安座が基本だったのです。このことからもわかるように、当時は「安座こそが正座」でした。「安座なのに正座???」と思うかもしれませんが、そもそも正座とは、読んで字のごとく「正」式な「座」り方をあらわしています。つまり、その時代の最も正式な座り方が「正座」であって、作法自体をあらわしたわけではないのです。

 

【今の正座は神仏を対象にしたものだった】

では、なぜ今のような正座が一般的になったのかというと、言葉自体は明治時代頃から使われ始めたようです。ただし、形自体は古くからあり、特に「かしこまったときの礼法」だとされていました。つまりは、「神様や仏様といった高次の存在を前にする」ときに行っていたのです。こちらは、一説によると「僧侶が膝をついて祈願する」姿勢がベースともいわれています。