印は人間の精神に影響を与える? 一流選手や忍者のルーティンに見る効果

日頃から瞑想をしているという方は、「深い瞑想状態や、自分が理想的な精神状態に入ったときに、特定の動作を行う」という癖をつけてみるといいでしょう。

【著名スポーツ選手に必須のルーティン】

ラグビー日本代表の「五郎丸歩選手」が行うことで、話題となった「ルーティン」。テレビなどで解説を聞いたことがあるという方も多いと思います。ルーティンとは「決まった手順」のこと。練習の時から常に一定の動作を行うことで、試合などの「本番でも練習と同じだけのパフォーマンスを発揮できるようにする」のです。

五郎丸選手はキックを行う前にルーティンを取り入れていますが、メジャーリーグで長らく活躍してきている天才野球選手の「イチロー」も、打席でルーティンを行うことで知られています。イチローの場合は17種類の動作をルーティンとして行うことで、多くの記録を生み出してきたわけです。それでは、どのような動作を行っているのか? 一流スポーツ選手のルーティンを見てみましょう。

いかがだったでしょう? 基本的にシンプルな動作でありながらも、それを組み合わせることで、自分の中で「特別なものとしてプログラム」しているわけです。これは「脳や身体を緊張状態から、安定した状態へと導き、最大のパフォーマンスを引き出せる状態へと切り替えるスイッチ」といえます。

 

【印は古のルーティンだった】

しかしながら、このような技法は実はスピリチュアルな世界では古くから使われてきました。その中でも、物語や映画などで最も有名といえるのが「忍者が使う印」でしょう。忍者が精神統一をするときに「臨・兵・闘・者・皆・陳・裂・在・前」と唱えながら、それぞれの文字にあわせて、指を組み合わせて「印」を作ります。これは「九字」と呼ばれる技法であり、本来は「魔除けの技法」です。

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【医学部教授の研究によって明らかになった九字の秘密】

この九字について、「三重大学医学部の小森照久教授」が九字を行っている状態の脳波を調べるという研究を行いました。そこで、忍術修行をしたことのある人と、修行をしたことのない人にたいして、ストレスを与えたあとで、リラックス状態を調べたところ、九字を行うことで、「リラックスするだけでなく、集中力も維持された状態」、すなわち戦いに望むための心構えが出来るということがわかりました。これは、まさに「戦国時代に忍者たちによって使われていたルーティン」といえるでしょう。

 

【九字と印のスピリチュアルな秘伝】

ただし、忍者の使い方は現代科学からするとわかりやすいものですが、本来の九字からすると「スピリチュアルな要素が抜けて落ちているもの」ではあります。九字というのは、道教の「六甲の秘呪」がベースになったといわれています。こちらは山に入る前に、その「山にある邪気や、魔物、悪い獣や虫から身を守るためのもの」でした。道教のものは、印を結ぶのではなく、独特の歩き方と組み合わさったりしましたが、それが密教や修験道で行われるようになって、印と結びつきました。

密教で使われる印というのは、仏様それぞれに対応した独特の指の組み方であり、これを使うことで、そのような「高次の存在からの御利益、すなわち力を得られる」とされていました。ただし、秘伝としては「印を単に結ぶのではなく、そのときにある特定のイメージを想像することが必要」とされています。このイメージは当然想像力、すなわち脳を活用します。スポーツのルーティンは、精神状態を落ち着かせるのが最大の目的ですが、スピリチュアルな場合は、「精神を特定のエネルギーにあわせる」という意味合いで使われているわけです。

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【印と催眠療法のアンカリング】

これをごくごく単純化すると、催眠療法で使われる「アンカリング」というテクニックにもなります。こちらは、催眠によって特定の精神状態へと誘導した状態で、一定の動作を行うことで、「催眠から覚めたあとでも、その動作を行うことですぐに特定の精神状態に戻れる」というもので、パニック障害や恐怖症といった人にたいして精神を落ち着かせるために使われることが多いものです。

 

【スピリチュアルなルーティンを作り出す】

このようなことを念頭において、日頃から瞑想をしているという方は、「深い瞑想状態や、自分が理想的な精神状態に入ったときに、特定の動作を行う」という癖をつけてみるといいでしょう。それは、スピリチュアルなルーティンとなって、あなたを助けてくれるはずです。

【参考サイト】
忍者ポーズに落ち着き効果 三重大教授、脳波など測定(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG12H34_U6A310C1000000/