脳科学で証明された瞑想の効果〜感情美人への道Vol.95

皆様こんにちは。感情美人デザイナーの柊です。

前回の記事『瞑想で自分の中にある叡智を見つける』では、瞑想を行うときの注意点と、「自分の中の叡智に気付く瞑想」の方法をお伝えしました。
今回は、近年解明されている瞑想の効果を、脳科学を元にご紹介します。

まず、瞑想を行うと、リラックス効果以外にも、心理面で下記のようなメリットがあります。

・ 幸福度や自尊感情のアップ
・ 集中力の向上
・ 不安やイライラ、ストレスの減少
・ 認知柔軟性の向上
・ 衝動性の減少
・ 鬱や摂食障害、睡眠障害の改善

次に、主立った所を脳科学の側面から解説しますね。少し専門用語も出てきますが、軽く読んでみて下さい。

 

①幸福感のアップについて

脳科学的に「幸せな人」を定義すると、それは「左前頭前皮質」という部分が活性化している人です。
幸福感や気力の充実を感じ、肯定的な気持ちを持つ人はこの部分が活性化しており、そしてこの部分は「慈愛の瞑想」を行うことによって活動が高まります。

 

②不安やイライラ、ストレスの減少について

うつ病の治療に関しては、瞑想は抗うつ剤より効果があるとも言われています。私たちがストレスにさらされると、記憶を司る「海馬」という部分と、感情の中枢である「扁桃体」という部分が活性化されます。ここが活性化すると、ストレスホルモンである「コルチゾール」が分泌される訳ですが、ほんのわずかなマインドフルネスの実践が、扁桃体ハイジャックに対して大きな抑止力になる事が分かっています。マサチューセッツ総合病院の研究によると、8週間の瞑想を行っただけで、扁桃体が縮小したそうです。つまり扁桃体が暴発するのを防ぐことで、刺激に対して過剰に反応したり、怒りに身を任せてしまうことが防げるのです。

また、瞑想は感情をコントロールする「前頭前野」を活性化させるので、冷静な判断をする事も可能になります。

 

③認知柔軟性の向上について

「前頭前野」が活性化することによって、成績にも良い影響が出てきます。なぜなら瞑想によって、ワーキングメモリと海馬の「灰白質」の密度が上昇するからです。1日30分弱、8週間の瞑想をした被験者の脳の画像を見てみると、学習・記憶・自己認識の中枢となる海馬部分で灰白質の密度が増加していました。米国の大学院進学適性試験では、瞑想をしたグループは、そうでないグループより文章力読解テストが高得点になりました。

なぜこのような事が起こるかというと、脳には「トレーニングによって変化する」「鍛えた部分が強くなる」という「可塑性(かそせい)」があるからです。1990年代まで、脳は基本的な構造が固定され、神経経路の接続は一生涯変わらない、変わるとすれば、脳の退化だけだと考えられていました。しかし現代はfMRI技術の進歩などによって、脳の神経経路は生きている限り発達し続ける事が知られるようになっています。

例えば2009年にロンドンのタクシー運転手を対象に行われた実験では、最難関の資格である「ブラック・キャッブ」に合格した運転手の脳には、ある共通の特徴がありました。
それは「海馬の灰白質(記憶と空間認識に関する部位)が、人よりはるかに厚い」ことです。
またヴァイオリン奏者の場合、弦をネックに押し付ける動作に使われる左手の運動機能に関する部位が、一般人よりかなり発達しています。
つまりこれらは「脳のその部分を使い続けることによって、その回路が強化された」成果です。

よりよく生きるために、私たちは「どんな感情を、何を、自分の中で成長させたいのか」敏感に感じる必要があります。
集中の回路を鍛えれば集中力が身に付き、怒りの回路を頻繁に使えば、より怒りっぽくなります。
良くも悪くも、脳のパターンを作るのは自分自身なのです。

瞑想は、脳の回路をより理性的に、かつ平穏で愛に満ちたものにするのに最適なプラクティスです。

心理面だけでなく、免疫力の向上に伴う様々な身体疾患の改善の報告も上がっています。
無理をしない程度に、瞑想を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献
『脳はいかに治療をもたらすか 神経可塑性の最前線』ノーマン・ドイジ 紀伊国屋書店
『マインドフルネスストレス低減法』J・カバットジン 北大路書房

 

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