感情美人への道Vol.27 〜風に向かって飛び立て〜

世界で初めて有人飛行実験に成功したのは、ライト兄弟ですが、世界で初めてプロペラ飛行実験に成功したのは、何と!!日本人だったということをご存じでしょうか?

有人飛行機の設計図作り~忠八28歳~

人を乗せるには強力なエンジンが必要です。
しかし当時の二宮には発動機を買うお金がなく、軍を退役して薬品会社の営業マンとしてお金を貯めます。(軍の上層部に何度も飛行機制作の上申書を出したものの「外国でさえ飛ばした事がないのにできる訳がない」と却下されていました)

そして営業マンとしてめきめき頭角を現し、会社で大出世した二宮は、飛行機を組み立てるため家を買い、人生の時間もお金も全て捧げて飛行機作りに打ち込みました。
そして両翼9m、鉄製の骨組みが機体をしっかり支え、あとはエンジンさえ搭載すれば人が飛ぶ!という段階まで来た時、新聞を読んだ二宮は地獄の底に突き落とされます。

ライト兄弟が、37mの飛行に成功したという記事が掲載されていたのです。

ライト兄弟や二宮の他にも、空を飛びたいという願いは人類共通で、ドイツのリリエンタール、アメリカのラングレー、イギリスのヘンリー・ファーマン、フランスのブレリオ・フェルベといった人達が、懸命に夢を追いかけていました。

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「もしあの時、軍が自分の研究をサポートしてくれていたら」

「自分に十分な資金があったら」

世界で初めて空を飛んだのは、自分であったはず。

目標を打ち砕かれた二宮は、ショックのあまり完成間近な飛行機をたたき壊してしまいます。

しばらくは何も手につかない日々が続いたそうですが、晩年、飛行機事故のニュースを見るにつけ心を痛めていた彼は、空の犠牲者を弔うために私財を投じて「飛行神社」を作りました。
そして彼の功績も、多くの人の手によって後世に語り継がれる事になったのです。
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うまく行かない時、頑張ったのに思うような成果が得られなくて落ち込んだ時、私は二宮の人生を思い返します。

彼と比べて自分は何の努力をしてきたのか。
超えられない壁を超えようとしているのか。

全てがうまく行く事は、確かにラクで幸せな事かもしれません。でもそれは、自然の摂理に反すると思うのです。

追い風では、飛べません。

投げた石が川面をはねるのも、水の抵抗と、その時生まれる波が風を生んで上に上がるのです。

だから、自分の正面に風が吹き付けてきた時、背を向けるのではなく、前に一歩踏み出してみましょう。

そしたら、今よりもっともっと高く飛べるはずです。

[参照] 二宮忠八・伝 生駒忠一郎 KTC中央出版