一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.144 「星空」

こういう展開大好きです。うるうるしてしまった。

少年少女の繊細な心を描くファンタジー
同時にリアルな人間の心も描写

ラストのクライマックスで、一挙に胸が締め付けられるような気がした。
ため息とともに、この映画では描かれないラストの物語を想像して安堵し、また、ロマンチックな気持ちになって私は試写室を後にした。

本作は台湾の有名な絵本を映画化したという。
少年少女の繊細な心と幻想世界を描いたファンタジーである。
しかし、同時にリアルな人間の真実を描いた映画でもある。
そのシビアに人間を見つめる視点が深い、妙に心に残る作品だった。

13歳のシャオメイは学校でも家庭でも孤独な少女だった。
特に家では両親が離婚寸前。大好きだった田舎のおじいちゃんも亡くなってしまい、シャオメイは空想の世界に逃げ込む日々だ。
そんなところに、転校生のシャオジエが現れる。
シャオジエも孤独な少年で、彼はクラスでいじめられる。
それを助けたシャオメイは彼と仲良くなっていく。
しばしふたりで楽しい時間を過ごすが、とうとうシャオメイの両親の離婚が決定。
傷ついたシャオメイはシャオジエと街を出ておじいちゃんが住んでいた山奥のアトリエを目指すのだが……。

ふたりがやっとアトリエにたどり着き、ふたりで見上げた星空。
少年少女の頃の思い出というのは、幸せな夢のように心に刻みつけられるものではないだろうか?

 

誰も誰かのことを本当には理解できない
人は人の心が分からなくなった

シャオメイはアトリエから帰ってきて一人になる。
シャオジエは彼女の前から姿を消す。
シャオメイはそれを受け入れ、学校の友だちも出来、高校生になり、楽しい日々を過ごす。
シャオジエのことも忘れたかのように。
時はすべてのことを許し、解決してくれる。
でも、誰も私のことを理解していない。でも、それでいいのだ。
とシャオメイは自分の周りをすり抜けていく時間に身をまかせ、成長していく。

この、シャオメイの達観が寂しいのだが、真実だろう。
誰も誰かのことを本当には理解できない」。
理解したいと思う気持ちが大切なのだが、結局他人の心の中なんて分かりはしないのである。
でも、私たちは「理解したつもり」
「分かるわ」「理解したいの」と軽々しく口にする。
「よく分からない」けど、一緒にいる。
「さっぱり分からんわ」けど、まあええか。の方がしっくりくる。

私たちは肉体を持つことによって、人の心が良く分からなくなった。
魂だけの時は以心伝心なんでもツーカーだったのに。

私も肉体を持ち今生で修行している身だけど、時々人の心を忖度(笑)するのがめんどくさくなる。
シャオメイみたいに山奥に行きたくなる。

 

私の心は神様が理解してくれる
そう思えば楽になる

映画は、シャオメイがシャオジエのことをすっかり忘れた頃にサプライズが用意されている。
それが分かっていても、ドキドキした。
こういう展開大好きです。うるうるしてしまった。
シャオメイとシャオジエはきっと魂レベルでの結びつきがあったんだろうな。
シャオメイの心を理解してくれるのはシャオジエだけなのかもしれない。たぶん、お互いに。
そう考えると、人間て、寂しいな。
私の心を理解してくれる人はたぶん、いないんだろうな。
でも、神様だけは理解してくれてる。そう思ったらなんか安心した。
そんなことを思わせられた一本。
見方によるととても、スピリチュアルな視点がある作品だった。

シャオメイ役の少女が髪型もあるんだろうけど、パヒュームのかしゆかそっくり。
でも、この子が「ミラクル7号」のチャウ・シンチーの息子役の子役だったとは、驚き桃の木でした。

 

監督・脚本 トム・リン
原作 ジミー・リャオ
出演 シュー・チャオ リン・フイミン レネ・リウ ハーレム・ユウ
ケネス・ツァン ジャネル・ツァイ シー・チンハン グイ・ルンメイ
※99分

※11月18日(土)~大阪 シネ・ヌーヴォにてロードショー
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