元気が出ない時に飲む魔法の紅茶~シャリマティとある紅茶専門店の物語~

元気が出ない時に飲む魔法の紅茶~シャリマティとある紅茶専門店の物語~

だから誰も出ないと知っていても電話をかけ続けていました。
「どうせでない」でも、電話が繋がっているうちは、いつか誰か出るかもしれないと、気がつけば、電話を鳴らす事、また誰も出ないことが日課となっていました。
出ない電話にここ半年いつもかけ続けていました。そして、今日も当たり前のように、電話をかけました。

でも出ないことは分かっていました。

電話を切ろうとした瞬間「はい、もしもし?」と電話からママの声がしました。
声が震えて、今から行きますといってすぐにお店にいきました。
お店にopenがかかっていました。
ドキドキして扉を開けたら、ママがいました。

笑ってくれたママの顔をみたら涙が出ました。

それからママがお婆さまを呼んでくれて、久しぶりに魔法の紅茶シャリマティーを飲みました。
美味しくて暖かくて幸せでした。心の絆創膏がとれた瞬間でした。
お店は急に事情があって、急遽休むことになり、でも私の連絡先を知らなかったから、連絡ができなかったことを伝えてくれました。

「このお店のことを忘れないでいつも電話をかけてくれてありがとうね。」と言われた時に涙が出てきました。

でもそれは悲しい涙ではなくて、嬉しい涙でした。
このお店の人たちや常連さんは、みんな赤の他人です。
でも私のことをみんなで応援してくれて、愛犬のことも親身になってくれています。

 

●どんな絶望が来ても人の本質は「光」

人に絶望し、心を閉ざした私がまた人の温かさに心を救われました。
人の本質は「光」だと、魔法のシャリマティーが教えてくれました。
そこにいつもあると思っていたら、ある日なくなった時に深い悲しみを覚えます。
いつもママたちに感謝を伝えられてなかったことを後悔しました。
だからこの日は、たくさんのありがとうを伝えられて、やっと連絡先をみんなと交換しました。

毎日は奇跡の連続で、今いる人との出逢いも奇跡なのだと改めて思いました。
でも、人生嫌なこと、苦しいこと、つらいことがたくさんあると思います。
でもどうかその時は、このお話を思い出して、魔法のシャリマティーを飲んでもらえたら嬉しいです。

 

●魔法のシャリマティレシピと由来

❁魔法のシャリマティレシピ❁
・紅茶(茶葉)・・・・ティスプーンで山盛り1杯
・お湯・・・・・200ml
・オレンジ輪切り・・・2枚
・ハチミツ・・・お好みで

❁シャリマティーの由来❁
「シャリマ」は北インド、カシミール地方にある花園の名前。
オレンジの豪華な香りがまさにこの花園のようだ、という言い伝えから、シャリマティーと呼ばれるようになりました。

「花園のような紅茶」がシャリマティーの由来です。
私の荒れた心にママが花の種をまいて、それをいつもママや常連のお婆さまが芽を育ててくれました。
心に咲いたのだと思っています。

 

上野ユリ

ALL PHOTO by YURI UENO

 

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