知っているようで知らない? 意外と深いあくびの秘密

誰もが一度はしたことがありながらも、まだすべての謎が明らかになっていないあくび。人体の不思議というのは、科学がどれだけ発達しても完全に明かされることはないのかもしれません。

おそらく、今まで生きてきて「あくび」をしたことがない人というのは、少なくともこの記事を読んでいる方にはいないでしょう。あくびとはそれだけ身近なものであり、生理現象であるわけですが、その詳細については意外と知られていません。

 

なんで、あくびっていうの?

そもそも、あくびは、なぜ「あくび」というのでしょうか? はっきりとした語源はわかっていないものの、おそらくは「あくぶ」が変化したものではないかといわれています、これは「口を開いている状態」を示しています。ちなみに、漢字で「欠伸」と書いた場合は、「口を開いて背を伸ばしているところ」を表しているのです。他にも、退屈な時にあくびがでることから、「飽息」や「飽吹」などが変化したのではないかという説もあります。

 

あくびで魂が抜け出す

人間の生理現象でありながらも、語源がはっきりしないというのも面白いのですが、「あくびをすると魂が抜け出る」という言い伝えもあります。私たちがあくびをするときに、自然と口を手で押さえてしまうのは、「魂が身体からでないように抑えている」というのです。

これは古代ギリシャの言い伝えなのですが、西洋では同じように「口から魂が出る」という発想があったために、中世では「あくびは悪魔によって引き起こされるもの」で、しっかりと口を押さえないと魂を取られてしまうと考えられていました。このとき、宗派によっては口を押さえるだけでなく、「十字を切ったり、指を鳴らしたりもした」とされています。

 

あくびがでる理由

では、実際にはあくびはどういう理由で出るのでしょうか? 「脳の酸素不足」が原因といわれていたのですが、「1987年」に「酸素濃度が異なった部屋であくびの頻度を観察する」という実験を行ったところ、「酸素濃度によってあくびの頻度は変わらない」ということが明らかになりました。

このために、現在では「脳の血流をスムーズに循環させる」ためではないか、もしくは「脳を活性化させる」のが目的ではないか、などという説が有力視されてきています。酸素を取り込むのが目的ではなく、口を大きくあけることで、顔の筋肉が刺激され、緩んでいた意識が引き締まるという説もあります。

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ただし、顔の筋肉説ではイマイチ説明できない現象もあくびにはついて回っています。それは「あくびはうつる」というもの。誰かがあくびをしたのをみると、自分もあくびをしてしまった、という経験は誰しも一度はしたことがあるのではないでしょうか? これについてもきちんとした研究が行われています。