地面に杭を打ち込むのは呪いだった?

長い杭ではないのですが、「杭によって国の命運が変わる」という話を聞いたことがあるでしょうか?

どんどん騒ぎが大きくなる杭打ち問題

10月に「横浜にあるマンションが傾斜」してしまったのは、「杭打ち作業が不正に行われていたことが原因」として話題となりました。このような不正は日常的に行われており、今回注目されたマンションに限らず、最悪の場合「マンションやビルが倒壊する可能性がある」という説もあるのです。

それだけに影響も大きく、今月に入ってから不正なデータ流用の件数はどんどんと増えていき、1万件の再調査が行われたり、その結果、「マンションの販売数が減る」という事態を招きながらも、まだまだ騒ぎが終わる気配が見えていません。

 

杭打ちは建物を支える命

杭打ちは、地盤が弱い場所に建造物を建てる場合に、「安定した地盤まで杭を打ち込んでから基礎を作る」ことで、弱い地盤でもしっかりと建物を安定させることができるわけです。これは、地震が多い日本で、なおかつ地盤が弱い場所ではしっかりと行う必要があるのですが、外見からはわからない部分であることや、しっかりとした地盤が深い場所にあると、杭の長さによって工賃が変わってくることなどから、「比較的手抜きがしやすい場所」だといわれています。

ちなみに、今回のマンションを初めとして、最近新しく作られているようなマンションは、今まで手がつけられていなかった広い場所に作られるケースが多く、そうした場所は、「従来の建造方法では強度が確保できなかったような地盤」であることが多いのです。つまり、建物のまさに命とも言える部分で手抜きが起きているわけですので、マンションの販売が減るというのも納得できます。

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杭が国の命運を左右する

ちなみに、ここまで長い杭ではないのですが、「杭によって国の命運が変わる」という話を聞いたことがあるでしょうか? これは日本ではなく韓国での話なのですが、韓国では「日帝風水謀略説」が、現在でも根強く残っています。

どんなものかというと、日本が韓国を併合した際に、「韓国の力を失わせる」ために風水でいうエネルギーの流れるルートである地脈、もしくは龍脈に「鉄の杭を打って」、そのエネルギーを遮断したというもの。

中国や台湾ほどではないものの、韓国も比較的「風水の影響力が強い国」なので、このような説が出てきたのかも知れませんが、そもそも、現代でもあまり風水が根付いていない日本が、当時風水の関して詳しい知識を有していたという時点で、かなり眉唾な内容だということがわかります。

 

韓国の国営放送が取り上げた杭の呪い

この鉄の杭は、韓国側の主張によると「300本」以上もあり、これによって「パワースポットを封じたり、偉大な人物が生まれなくするようにしている」という「呪術的」な意味があるのだそうです。2007年には韓国の「国営放送」であるKBSでこの杭に関して、大まじめに取り上げられたことまであります。

では、この恐れられている呪いの杭はいったいどんなものだったのでしょうか? これらの杭の大部分は、併合時代に日本が埋めたことは間違いないのですが、「土地測量用」のものがほとんどでした。当時の韓国には正確な地図がなかったために、新たに日本領となった部分を地図として完成させるために鉄の杭が使われていたのです。

ちなみに、これらの鉄の杭を呪いのアイテムとして抜いてまわった結果、韓国の国土地理情報院が管理しているはずの、特定地点の海抜をあらわす水準点のうち「6割」が紛失しており、これを元に地図を作ると大きな誤差が生じるということがわかってきています。

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ちなみにこの運動は「20年」近く続いており、2010年には日本のテレビ局も「呪いの杭伝説」として取り上げて、前述のように測量用のもであった可能性が高いという結論を出していますが、韓国では未だに、杭を抜くために活動している人たちも存在しているのだそうです。

科学的な作業に使われていたものが、いつしか「呪いのアイテム」とされたり、本来は命綱であるものが、ごまかしによって「致命的な存在」へと変わってしまったりする杭。シンプルで古代からあるものだけに、その取り扱いには真摯な気持ちが必要なのかもしれません。

 

Stakeout is an important element of the architecture.
The curse of the pile?

 

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