臨機応変に引き寄せろ。
引き寄せるものは、時に変更してもキャンセルしても構わない。引き寄せを開始させてしまったキャンセルできないと思っている人もいるかもしれない。だが、考えてみて欲しい。もし、キャンセルできないのであれば、引き寄せに失敗したなどと思う人はいないはずだ。
引き寄せ失敗、と書いたが、これは前にも書いたが、厳密には、失敗ではない。潜在意識レベルで別の何かを引き寄せてしまった可能性がある。引き寄せそのもののパワーは使えているのだ。ただ、引き寄せる何かを間違えただけだ。だから、「コレジャナイ……」と思ったら、遠慮なくキャンセルして良い。そして、改めて、自分は本当は何を引き寄せたいのかを考えてみて欲しい。
人生に失敗があるかどうかは僕にはわからない。僕の人生そのものは失敗の連続に思える。だが、どこかで軌道修正に成功すれば、失敗したと思えたことも、どうでもよくなる。どうでもよくはならないかもしれないが、希望は持ったままでいられる。自分の置かれた状況、価値観の変化に合わせて、引き寄せるものを変えて一向に構わない。僕も、意識していたわけではないが、思い返してみれば、それを繰り返していたことに気が付いた。引き寄せのベクトルを変えると、人生が変わる。最近はそのように思えてきた。
引き寄せのベクトル。
引き寄せの法則を極端に考える人は、すべての出来事も自分が全部、望んだことであり、引き寄せた結果だと思っているかもしれない。だが、証明こそできないが、僕は、人生には不可抗力もあれば、イレギュラーな力がはたらくことも多分にあると思っている。大きな力に飲み込まれそうになったり、流されそうになったりすることも、時には起こる。望んでいなくても、だ。「それは、潜在意識が望んだり、イメージしたことだよ……」なんて、ツッコミは不要だ。そうやってマウントをとっても、誰も得をしない。
たとえば、一年前の自分を振り返ると、たぶん『攻めの力』を僕は欲していた。おそらく、引き寄せに成功したのだろうとも思っている。自分以外の人が当時の僕をどのように見ていたかは知らないが、僕はどんどん前進した。できた、と思っている。自分の『役目・役割』が終わったなと、なんとなく感じ始めると、不思議なことに一気にその力を失ってしまった。たぶん運も悪くなった。だが、それは次のステージに自分自身が移行するためのプロセスだと言い聞かせた。強がってみた。泣いてみた。
でも、そんなものを僕は望んでいない。僕が望んでいるのは安定した平穏だ。僕は革命家になりたいわけではないし、目立ちたいわけでも何でもない。すると今度は『守りの力』を無意識的に引き寄せ始めた自分がいた。一見すると無気力になったとか、モチベーションが下がった人みたいに思えたかもしれない。だが、今更『攻めの力』を欲しているかというと、そうではないのだ。保守的な自分をイメージしたのだ。
情けないかもしれないが、アクティヴに活動しすぎて疲れ切っていたこともあり、たまには受け身の状態で生活をしてみたいと願った。すると、決して『受け身＝無責任＝楽』という意味ではないが、無駄に力混ざるを得ない状況は、なんとなく減ってきた。外に向かう力こそ手放してしまったが、自分自身を守る力は手放した覚えはない。だから、最低限自分の身は守れている。
世相や時間の流れが早く感じられるようになってしまったこともあり、焦りがないわけではないが、力まなくてよくなった分、我を忘れることもなくなってきた。引き寄せというと、どうしてもどこかで瞬時に物事を思い通りにする淡い期待をしてしまう。だが、実際は、そういうものではないと、ある意味、開き直れると、じわじわと引き寄せの力は発動しているのだと思えば、希望の光は簡単には消えない。
とはいえ、守りの姿勢の自分を引き寄せて、一時的な平穏を手に入れても、それが必ずしも満足した状況かと言われると、そうでもない。これもまた現実だ。ここでまた、ベクトルを変える必要性が出てくるのだ。同じ瞬間は二度と存在しない。そう考えると、変化は受け入れられた方が自分にとっても便利だとわかる。
次はどんなステージに行こうか。
なんとなく、強制的であれ不可抗力であれ、自分の立ち位置が変わってしまったり、役目や役割が終わってしまったと感じられたときは、誰しもが経験してきていると思う。そんな時こそ、未来を思い描いて欲しいのだ。少なくとも「私の心は私が所有している！」と自覚できれば、後は、元から存在している自分の心を好きなように引き寄せればいいのだ。元から自分のものなのだから遠慮することはない。
自由に想いを馳せて、自分の明日を想像すると良い。もしかしたら、今日に近い明日が望ましいのかもしれない。今日とは違う明日が望ましいのかもしれない。そのためには、何を引き寄せればいいのだろう。そんなことを考えると、とても楽しい気持ちになってくる。
もしかしたら、そういうのを季節の節目などで考えてみるのも良いかもしれない。年末が近づいてきたら「来年の自分はどんな自分？」「来年の自分は何があれば嬉しい？」などなど。一方で、不要なものは引き寄せるのをキャンセルしたり捨てたりして、新しい自分を手に入れていくと良い。それは、とても楽しいことだと僕は思う。強要はしないが、お勧めだ。
