ココロセラピストが語る!? 叱れない大人たち ~褒めるだけが人材育成ではないッ!?~

叱れない大人

叱れない人たちが増えた!?

叱れない人たちが増えたなって思います。
それって良い事じゃないかと思うかもしれません。
だって、叱る必要がないから仕方ないって思いますものね。
もしそれが本当ならば、良い時代になったものだと思えるかもしれませんね。
しかし、実際は、決してそういうことはなく……。

 

叱らない美学!?

もしかしたら、『叱らない美学』を持っている人も多いかもしれません。
恐怖で人をコントロールすることは本質的には間違っているとかなんとか言って。

本質的にどうこういうのも確かに大事です。
しかし、勘違いしないで欲しい事があります。
『叱ってくれる人』というのは、恐怖で人をコントロールしようとしている人ばかりではないということを。
脅せば言うことを聞くだろうというチンピラ的な考えの人ばかりではないのです。

論理的に間違いを指摘して、理解させることも勿論大事です。
しかし、状況によっては無駄に時間だけかかって危険度が増す場合だってあるのです。

叱れない大人

 

ちょっと脱線してヒーローの話……。

叱る、というテーマからは少し外れるかもしれませんが、イメージしてみてください。
たとえば、善良な市民が悪党に襲われているとします。殴る蹴るの暴行を受けています。

そこに、ヒーロー(?)が颯爽と登場。

「えーっと、君たち、何をしているんだい? 今、人を殴ったり、蹴ったりしているね……。わかるよ。きっと、イヤなことがあったんだろう。ツライ事があったんだろう。そういうときもあるよね……。でもね、暴力では何も解決しないんだよ。聞いて欲しいことがあるなら私が聴いてあげようじゃないか。いったい何があったんだい……?」

これで、問題が解決すると思いますか。
軽くスルーされて、暴行が続くか、火に油を注いで事が荒立つか、ヒーロー(?)も道連れに殴られるか……だと思いませんか。

「いや……。君たちの気持ちはわかるんだよ。だから、ゲホッ……。私の話を……グハッ……」って、意味ないですよね。
その隙に被害者を逃がしてあげるとかが目的なら別ですが。

「えーっと、君たち、何をしているんだい?」と現状を理解しようとするのは構わないです。
ただ、明らかにトラブルをストップさせなければならない状況だった場合は四の五の言っていられないんですね。
「まずは相手の感情に寄り添って……」とか「相手の感情を抑えて……」とか、言っている場合ではないのです。

決して暴力を肯定している訳ではないので誤解しないで欲しいのですが、悠長なことを言っている場合ではないから、共感的理解をして……なんて言わず、戦いの中に身を投じて止めるなりするのです。
それでもダメなら、力づくで止めるか、逃げるかなんですね。

 

『叱らない人』と『叱れない人』って違うんですよ!?

『叱らない美学』を語るなら、『叱らずに話を円滑にする方法』を、いくつも知っている必要があります。

勘違いしている人が多いですが『褒める』だけでは、人は育ちません。
だからと言って、褒める必要なんてない……ということもありません。

叱るにしても褒めるにしても、タイミングや方法ってあるんですね。
それが分からない人っていうのは、『叱らない人』でもなければ『叱らない美学の人』でもなくて、単に『叱れない人』、空気が読めない人なんです。そして、洞察力が乏しい人なんです。

もっというと、嫌われたくないから叱れないとか、逆効果だった時に責任が取れないからとか、保身に走っている可能性もあります。
それはそれで気持ちはわかりますが、それってやっぱり『叱れない人』なんですよね。

ちなみに『叱る』っていうのは、叱ることを目的にしているのではなくて、その先に、相手に反省して貰って、同じ過ちを繰り返さないで欲しいって願いながらするものですからね。先のことを考えながら叱るんですよ。

『叱る』と『怒る』は似てますが、違いますからね。勘違いしないでくださいね。
自分の感情を相手にぶつけることを目的としているなら怒っているだけで、叱っている訳ではないですからね。

「馬鹿かお前は……!」っていうような言い方だけで終わらせてしまう人は、それこそ怒りをぶつけているだけですよね。ただの人格否定ですから、それ。

仮に、そんなふうに思ってしまっても「もう少し賢くなってもらえないだろうか?」という方に意識をフォーカスして、そのためにどうするかを考えるように心がけてください。

 

叱れないとナメられるよ……?

叱れない大人

ちなみに、叱れない人ってナメられますからね。
叱らずして物事を円滑にできるスキルがある人以外は。「叱られないってことは、そんなにダメじゃないってことなのか……? この程度なら、大丈夫ってことか……?」って思われたら、その悪事や間違いは改善されませんし、定着してしまう危険性があります。

周囲の人の見る目も変わってきますからね。
然るべきときに注意できない人っていうのは「あの人は、頼りにならないのね……」って思われてしまうこともあります。見て見ぬふりをするタイプと思われるか、無関心か……、はたまた他力本願か……。

ちなみに、叱り方で失敗してしまったらどうするかって思ったことあると思います。
相手を必要以上に傷つけてしまったら、それこそ、タイミングを見計らって、素直に謝れば良いと思います。
また、叱ることに限らずですが、何事にも失敗はつきものです。経験値をアップさせてレベルアップしていきましょう。

そして、叱っても効果が無かった……とすぐに決めつける必要もありません。翌日か、あるいは10年後か、「そういえば、あの時、叱られたのって、こういうことだったのか……」なんて、時を超えて理解できることだって現実的にありえるのですから。

もちろん、叱らずに物事が円滑に行くのが理想ではありますけどね。

 

補足……。

叱れない人で、過去の経験が邪魔をしている人もいるかもしれません。
めちゃくちゃ怖い親に育てられて、思い出しただけで震え上がってしまうようなキレ方をされ続けた人もいるかもしれません。怒鳴りつけられたり、半殺しにされたり。

個人の受け止め方もあるし、過剰な叱責な場合、あるいは虐待的な場合もあるとは思いますが、自分の受けた経験が必ずしも『叱る(叱られた)』と言えるかどうかは微妙です。

でも「だから、私、叱れないんです……」というのは、少し違いますからね。
そういう経験で、ツラかったのであれば、もっと良い叱り方を考えれば良いと思うし、わからなければ、信頼できる仲間に相談してみるのも良いと思います。

『叱る』という言葉に過剰反応してしまうくらいトラウマになっているのなら、それこそ、まずは自分の心の傷を癒す必要があります。

最優先事項として、適切なケアを受けてください。

 

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