恋愛・婚姻関係に見る自他の境界―わたもりのメンタルケア講座

自他の境界はあらゆる人間関係に応用できます。 人間関係でお悩みの方にはわたもりのホリスティックカウンセリングをお勧めいたします。

前回は私がご相談の中でお伝えしているメンタルケアの基本「自他の境界」についてと、形成に重要である子育て・親子関係について書きました。

厳しくしつけされた場合も、全くされない場合も自他の境界が形成されないのです。
そして、大人になった時は人間関係でトラブルを起こしやすいようです。
特に恋愛・婚姻関係は必要以上に困難になるようです。

 

恋愛・婚姻関係が困難になりやすい理由

自他の境界が形成されていない場合、友人・同僚・ご近所関係等でトラブルになったとしても、関係性が濃くないなら社会性が働き、よっぽどでもない限り遠慮、気遣いがあるものです。

ところが恋愛・婚姻関係となると相手を自分の一部のように錯覚し、相手が一個の存在だと忘れ、相手の領域に侵入してしまうのです。

気を使わないのが親しさの度合いのように勘違いしてしまうからです。一緒にいてリラックス出来る関係と、気遣いや思いやりのない関係は違うという事が判らない人も多いようです。

「自分」と言う個があり、相手が好きと言う思いがあり(センタリング)、今ただ一緒にいたくて(グラウディング)、違いさえも愛おしいと思える(裁く心の解放)。自他の境界の両側から自分とは違う相手を受け入れ、お互いの違いをすり合わせて「二人の丁度いい」を増やすことで関係性を深め、二人一緒にカップル・夫婦・パートナーと言う単位になっていく。

そういう関係が築けたら理想的なのですが、大抵が「好きだから」「必要だから」と言う理由だけでカップルになれたと思う人が多いのが現状です。

「好きだから○○して(してくれて)当たり前」と平気で自他の境界線を越えてしまいます。
「好き」と言う理由だけで相手を思い通りにしたくなり、あるいは支配されても断れない。
最初は「好きだから」と思っていても、だんだんと苦しくなり、煩わしくなり、破城してしまうでしょう。

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自他の境界が無いカップルの例

・食生活、人間関係(親戚・友人)、趣味、戸籍、住居、仕事など、「自分のことが好きなら自分に合わせてくれる筈」
→これはどちらかが一方的に合わせるのではなく、お互いに話し合って決めるのが望ましいですよね。

・「自分を好きなら相手は一生浮気しなくて当たり前」
→これは実は相手をコントロールしていることになります。
「好きだから浮気をしたら傷つくし、嫌です」「浮気をした人とは一緒にいられません」と自分の意志表示をする事は出来ても、境界線の向こう側の相手の行動や考えを強制的に変えさせるのは相手の領域に侵入していることになります。
逆に相手が「好きならそれくらい我慢しろ」と言うなら、それはあなたの領域に侵入していることになります。

・「自分には大きな夢や役割があるのだから応援してくれるのが愛の証」
→あなたが「自分はこう生きる」と言うセンタリングを持つのはとても素晴らしいと思いますが、相手にも相手の人生があると忘れ、自他の境界から自分側へ相手を無理やり引っ張り込もうとしています。

相手が「私はそれを支えたい」とセンタリングしてくれるなら良いのですが、そうじゃない場合に「自分を愛していないのか?」と相手を責める人もいます。
逆にあなたが相手を愛しているなら自分とは違う相手の考えを認められる筈ではないですか?

・「自分はこんなに相手を愛しているし、相手の嫌なところも我慢している。気遣いもプレゼントもして、こんなに尽くしているのだから私を愛さないわけがない」
「こんなに好きなんだから私を好きにならない相手が悪い」
→皆さん、お判りですね。はい、これ、ストーカーの言い分です。
「好き・愛している」と言う気持ちも、「我慢する」「気遣いする」「プレゼントしたい」も、自分側の気持ちや行動の選択であり、境界線の向こう側にいる相手には関係ありません。

ストーカーをする人は自分と他人の区別がついていない人が多いようです。
それには生育期の親子関係に問題があると予想されますが、それによって自分勝手な要求をされ、恐怖を感じ、時には傷つけられ、命を奪われる人がいるのはとても痛ましい事だと思います。

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それでも別れない理由

上記の例を読んで、「それでも別れていない人、一緒にいるカップルはいるよね」と思いませんでしたか?

そうなんです。同じことを言われても、されても、別れない人は別れない。
誰が見ても「早く別れた方が良いよ」と言う状況なのに別れない人、いますよね。

その差はどこにあると思いますか?

経済的理由? あきらめ? 子どもがいるから? どうでも良い?
でも、そういう理由があっても別れる人は別れます。
1人になるのが怖いからだとしても、次の相手を見つけることは出来るはずです。

その答えは「愛情があるから別れない」です。

どんな理由があっても愛情があるうちは色々な理由をつけて一緒にいるものです。
浮気をされても、暴力を振るわれても、親に反対されても、自分で駄目な相手だと判っていても別れない。

良好な関係を築くには自他の境界が必要ですが、境界線が無く、良好な関係ではなくても一緒にいる人は沢山います。

大事なのは、一般的なセオリーなど関係なく「自分はどうありたいか?」と言う方針を決め、それを相手に伝える事です。
自他の境界があれば、気持ちを伝えても相手が同意するとは限らないと理解できるでしょう。
意見が違っても、お互いに愛情があるならどうやったら歩み寄れるかを二人で考えればいいのです。

相手が自分をどう思い、どう扱うかを気にする前に「自分の気持ち」を確認しましょうね。

このように自他の境界はあらゆる人間関係に応用できます。
人間関係でお悩みの方にはわたもりのホリスティックカウンセリングをお勧めいたします。
次回もお楽しみに。

 

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