子育て・親子関係に見る「自他の境界」―わたもりのメンタルケア講座

しつけのバランスは難しいところですが、まずは親御さん自身が自他の境界をしっかり持つことが重要です。 常識やマナーを教える必要はありますが、従わない時に子どもの領域に侵入してしまわないようにです。

前回までに私がホリスティックカウンセリングの中でお伝えしているメンタルケアの基本「自他の境界」と、それを持つために必要な3つの要素について書いてきました。
今回は改めて「自他の境界」についてと、自他の境界を形成するうえで一番重要な子育て・親子関係についてお伝えいたします。

 

「自他の境界」を知識として知っているだけじゃダメ

自分と他者の間に境界線を持つことで心が揺れにくくなり、揺れても元に戻せるようになります。
人の心を揺らす大きな要因は人間関係ですが、この自他の境界を身に着けると人間関係での悩みが少なくなります。

「自分はこう生きる」と言う明確な自分の芯=センタリングがあり、過去の出来事にとらわれず、未来を心配することなく今ここに生きること=グラウディングで明確な「自分」が存在でき、「自分」を良しと出来るからこそ、他者も良しと出来、簡単に良い悪いと裁けなくなります=裁く心の解放

自分を明確に認識できるから、自分とは違う他者との間に境界線が引けるのです。
他者の領域へ侵入してあれこれ非難・批判・支配することなく尊重でき、他者が境界を越えて来ても自分を守ってNOという事が出来ます。

これは私が自分の問題を解決し、様々なクライアント様のお話をお伺いする中で見出してきたことなので、本などで学んだことではありません。だから、他の方も同じように考えるかは判りません。

クライアント様は私のカウンセリングを繰り返しお受けいただく中で少しずつ理解され身について行くと、人間関係のトラブルに遭いにくくなり、遭っても対処できるようになっていかれます。

ご相談の中では最初にこの自他の境界についてご説明させていただきますが、これは知識として頭の中で理解しているだけでは役に立ちません。また、自分自身に自他の境界が身についていない人が知識だけで説明しようとしても無理があります。

この自他の境界を形成するうえで重要なのは親子関係にあります。
では、実際の例をあげて自他の境界について学んでいきましょう。

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しつけに厳しい親は自他の境界が無い?

近年「しつけか? 虐待か? 」と言うニュースがよく取り上げられるようになりました。
しつけを厳しくするという事は、子どもの領域に親が侵入するという事であり、自他の境界が形成されない原因となります。

小さくても子どもにはこうしたいと言う気持ちがあり、それを尊重することでセンタリングが出来るのですが、親が「普通は」「常識では」「自分はそれが嫌」などの理由でそれを全否定し、自分のいう事を無理に聞かせる=境界線から侵入すると、自他の境界が形成されず、大人になった時に自分の芯が無い人になってしまいます。