米国先住民の知恵「誰にでも親切に」~10 pieces of Native American wisdom that will inspire the way you live your life (6)

米国先住民の知恵の第6話です。今回はブラック・エルクからのメッセージ「あらゆる人に親切にしなさい」です。 Today I will tell you the 6th episode of Native American wisdom. Today’s message is “Show kindness to all”.

「誰にでも親切にしなさい」というメッセージだけ聞くと、当たり前すぎて道徳の授業のようです。
英語の原文はそれ以上の説明をしていませんので、今回は私が尊敬する米国先住民文化の研究者、阿部珠理先生の著書「聖なる木の下へ アメリカインディアンの魂を求めて」を引用しつつ、このメッセージの背景を補足させて頂きたいと思います。

草のように互いに優しい顔で接しなさい。それが全人類の祖先の願いです
~オグララ・ラコタ族の長老、ブラック・エルク

これまたシンプルだけれども、非常に力強いメッセージです。
他人に親切にしなさい。
これほど簡潔なメッセージはありません。

余計な説明を加えてもややこしくなるだけなので、これ以上の説明は控えます。

著者紹介〈マット・バレンタイン〉
マインドフルネスと瞑想の指導者。作家でありクリエーターでもある。
禅を学び、プライベートでは夫と父親の役割も果たす。

 

ラコタの行動指標の1つはワチャントンナカ(寛大)

ラコタには行為の指標となる4つの美徳があり、その1つ目がワチャントンナカ(寛大)です。
ラコタにおいては、精神の寛大は物質の寛大は同義で、心の広い人は決して物惜しみをしません。
ものを与えるにしても、どうでもいいものではなく、自分にとって大切なものをどれだけ気持ちよく手放せるかで、その人の価値が決まります。

ラコタの人々の食生活は、狩りの獲物の有無にかかっていたため不安定でしたが、バッファローが首尾よく捕獲できたときも、聖なる食物である獲物に深く感謝をささげた後、キャンプに戻るとまずは稼ぎ手を失っている家族に食物を気持ちよく分け与えました。

ラコタの社会では、昔から「けち」と言われるのは「人殺し」と言われる以上の侮辱です。
ちなみに第2の徳は「勇気」、第3の徳は「敬意」、第4の徳は「智恵」です。

 

与え好きの人望厚い人物がリーダーに

イタンチャンと呼ばれるリーダーは、誰が困っているのかに常に目を配り、まずはそういう人に食料や物資を補給します。
イタンチャンには人望の厚い人が選ばれましたが、物を独占したりため込んだりするようでは、人望は獲得できません。
ですから、イタンチャンには金持ちはいません。

 

ラコタの美しい風習「ギブ・アウェイ」

また、ラコタには「ギブ・アウェイ(与えつくし、持っているすべての物を人々に与えること)」という美しい風習があります。
困った人がいれば、何も言わずに助けの手を差し伸べます。
物を持っていない人には、気持ちよく自分の持っている物を差し出します。

もらう側も、その行為に甘えているわけではなく、物品を提供できなければ、労働なり、技術なり、時間なり、自分が人に与えられるものを差し出します。
将来、余裕ができたときにはお返しします。

全員がこの心がけをもって生活していれば、つまりギブ・アウェイの精神が生き続ければ、物が人々の間を循環し、ラコタ流互助システムは円滑に機能していきます。

ギブ・アウェイの特徴は、品物がある限り、赤の他人でも品物をもらえることです。
時には、かつて自分が提供した物に再び出会うこともあります。
ラコタでは、品物も「聖なる輪」を巡り巡って、人々に共有されているのかもしれません。

出典元:https://buddhaimonia.com/blog/native-american-wisdom
参考:阿部珠理「聖なる木の下へ アメリカインディアンの魂を求めて」

第1話:https://www.el-aura.com/trinity_tomoko12/
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