●性格がよい動物、悪い動物
イルカ、ゾウ、イヌ、ネコ、オカメインコ……性格がよさそうな動物といえば、そんな意見が大多数ではないでしょうか。
なお、ゴリラは意外に性格がよいと言われます。
以前、ゴリラの柵の中に幼児が転落した際、ゴリラが幼児を抱きかかえて親に返してくれたというできごとが話題になりました。
もしゴリラでなくチンパンジーの柵だったら、その子どもの命はなかったことでしょう。
野生のチンパンジーは性格が最悪です。
いじめやレイプ、殺し合いは日常茶飯事、獲物として狩る他のサルを、トドメを刺さずにわざといたぶったりすることもあるようです。
テレビで話題となった「パンくん」のように、きちんと躾けられたチンパンジーは、ものすごく可愛いのですが……。
●ヒトは性格が悪く、狂暴なのだという自覚をもつべし
そしてヒトに最も近い動物はチンパンジー。
子どもを持つ前に、一度野生のチンパンジーの生態を調べることをお勧めいたします。
身が引き締まる思いがします。
そう、子どもの躾をきちんとしないと「あれ」になるのです。
ヒトの世界からいつまで経っても戦争やいじめ、犯罪がなくならないことも頷けます。
ヒトである以上、チンパンジーに近い狂暴なDNAを持っていることを肝に銘じ、DNAの奴隷にならない強い心を持つ必要があるのです。
●性格がよい最強の動物は、あの世界最大のネズミ!
私が最も性格がよいと考える動物が、南米に住む、世界最大のネズミです。
「世界最大のネズミは体長135センチに達し、体重が70キロくらいにもなる」と聞けば、「げっ、そんなデカいネズミがいるの? きもっ」と思ってしまうかもしれません。
しかし、「聞いて極楽、見て地獄」ならぬ「聞いて地獄、見て極楽」、実際にカピバラさんを見たらみんなメロメロになってしまうのです。
●驚くべし「カピバラ力」
ネットで写真を検索しても、カピバラに様々な動物(サルやカメ、鳥、犬猫など)が集まっている写真が多数見つかります。
こんなにも求心力があり、他種の動物たちに人気がある野生動物は、他に類を見ません。
カピバラの魅力の秘訣は、「スルースキル」にあるのではないでしょうか。
頭に鳥が止まっても気にしない、リスザルの集団に絡まれても気にしない、ネコが乗っても気にしない。
人気度とスルースキルは天下一品。他の動物の追従を許しません。
他者に悉く好かれ、いじられ、遊ばれてしまうカピバラ。
どんなにいじられても、マイペースにヌボ~~~~っとし続けるのであります。
一方で、ヒトなどに可愛がられたり、家族からの愛情を受けたりするときにはそれをスルーしないところが何とも憎いです。
●人のことを気にしない=性格がいい=魂のレベルが高い?
ヒトの場合、「性格がいい」「霊格が高い」と言ってもいろいろな観点がありますが、その一つとして「スルースキル」が挙げられると思います。
性格がいい人、頭がいい人って、他人のことを気にせず、我が道を行く人が多い気がしませんか。
ヒトは社会生活をしながら進化した生物なので、つい他人にお節介をしたり、距離を詰め過ぎたりしてしまいます。
その結果、相手の欠点が見えてしまい、もやもやしたり心穏やかでなくなったりします。
「知らぬが仏」の真逆をいってしまうのです。
●人に興味がないのではなく、人を気にしないのがいい。
なかなか他者をスルーできずに、小さなことでいがみ合ってしまうヒトという動物種……「スルーの先生」としてカピバラさんを推薦するというわけです。
カピバラの凄いところは、親しい家族とのコミュニケーションなど、スルーすべきでないところはスルーしないところです。
「他人を気にしないけれど、興味はある」といったところでしょうか。
ヒトに当てはめても、スルースキル抜群なのに、一生に数回、どうしても譲れない点でだけ、勇敢に自己主張する。
感謝や人情はスルーしない。
そんな生き方が素敵ではないでしょうか。
●監視と束縛から人間関係は腐敗する
「人間関係の悪化」は、互いに目を光らせ、因縁・言いがかり・イチャモンをつける状態から始まります。
ブラック企業をはじめ、ブラックバイト、ブラック校、ブラック研究室……いずれも、他人を過剰に束縛、干渉する社会です。
「他人を放っておいてあげる優しさ」を失ってしまうことが、ブラック化の根源ではないでしょうか。
スルースキルが低下し、監視や束縛が跋扈すると、社会は腐敗し世界全体のレベルが下がっていきます。
「他人なんて分かり合えないのが当たり前だ」と、99%のことは大きな心でスルーする、それが世界を平和にし、人間社会をレベルアップする秘訣だと私は考えています。
(金子 大輔)
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