死後の世界を量子力学が定義する

私たちの肉体や脳が意識を受信するだけの装置であると考えた場合、私たちの主体は意識であり、さらに人間の性格を成り立たせるのは記憶ということになります。

【かつての予想を覆す量子力学】

「死後の世界が実在するのか否か」というのは、人類にとって遙か昔からの命題といえるでしょう。
少し前の時代には、「科学によって死後の世界は否定される」という考え方が一般的でした。

多くの宗教が死後の世界を肯定しているために、科学が高度に発達した未来では宗教が消えるという予想がされていたほどです。
しかしながら、最先端の科学といえる「量子力学」はそうした予想を覆しつつあります。

量子力学は、現在最も注目されている科学分野であり、研究が進めば限界を迎えつつある現在のコンピューターの性能を飛躍的にアップさせることのできる「量子コンピューター」や、情報や物質を一瞬で遠隔地に伝達する「量子テレポーテーション」などといった、まさにかつてはSFの世界にしか存在しなかったものが産み出される可能性を秘めています。

ノーベル物理学賞を受賞し、世界中で高い評価を得ている『ファインマン物理学』の著者として知られる「リチャード・フィリップス・ファインマン」は、今から30年以上も前に、そんな量子コンピューターの出現を予言したことでも知られていますが、そんなファインマンが「量子力学の精髄」と呼んだ実験があります。

 

【量子力学の精髄と呼ばれる二重スリット実験とは?】

(画像提供/ウィキペディア)

その実験とは「二重スリット実験」。
この実験は、粒子と波動の違いを示すために考案されたものです。
粒子がふたつのスリットを通り抜けた場合、後ろの壁には「スリットと同じ形の2つの線」が表示されます。
これが波動だった場合は、スリットを抜けた後で相互が干渉するために「濃淡のある干渉縞」が表示されるのです。

しかしながら、電子を使ってこの実験を行ったところ、電子は粒子であると考えられていたにもかかわらず、なぜか「干渉縞が表示される」という結果が生じたのです。
あまりにも小さな粒子であるために、多量に照射することで、それらが混じってしまった可能性があると考え、1度に1つの電子を照射するという手法をとってみても同じ結果がでるために、次は、「スリットを通過する時に電子がどのような状態になっているのか観測する」ことにしたところ、突然、「粒子と同じ結果」がでたのです。

これによって電子というのは通常は「波動でも粒子でもありながら、なおかつ、そのどちらでもない存在」であるが、「観察者が存在することでその性質が固定されてしまう」という量子力学の特徴的ともいえる現象が確認されたのです。

 

【世界はすべて人間の意識が創り上げたものである】

この現象を多くの量子物理学者たちは比較的すんなりと受け入れました。
なぜならば、ノーベル物理学賞を受賞した「ユージン・ポール・ウィグナー」が「意識に言及することなしに、量子論の法則を定式化することは不可能だった」と語っていることからもわかるように、量子力学を解き明かすためには、どうしても「意識」が重要になってくるからなのです。