一宮千桃のセンスアップ☆シネマレビューPART.268「バービー」

バービー

バービーで遊んだ少女たちよ目覚めよ!!

意外なフェミニズム映画の快作は感動を呼ぶ!!

バービー人形の世界を実写化。オシャレでハッピー。見たらテンション爆上がりの楽しい映画。だけど、楽しいだけじゃなくて、ちょっぴりうるうる。本作は紛れもないフェミニズム映画の快作なのだ。そこが素晴らしい!!! 女性は物凄く共感するし、後半のバービーたちの本音発言に溜飲が下がるはず。笑いながら、泣きそうになるのだ。これは男性諸氏にも是非見ていただきたい!! バービーはビニールの人形だけど、ここでは現代の女性そのものなのだ(理想だけど)。

ピンクが基本のバービーランドでは、今日もバービーたちとケンたちがパーティー、ダンス、ドライブ、サーフィンと、完璧な毎日をなんの疑問もなく繰り返していた。だけど、ある日突然「死ってあるのかしら?」と妙な疑問が湧いてくる。そして身体に異変が起き始める。原因を探るためにバービーのお局さまにお伺いにいくと、人間世界でバービーの持ち主に問題があるとのこと。それを解決するためにバービーは人間界に行くことに(なぜかケンもついてきて)。

バービー
BARBIE

バービーのピンク衣装、髪型、アクセサリー

全て超可愛くてチェック!! ダンスも素晴らしい!!

人間界で浮きまくるバービーとケンが笑える。でも、とまどうバービー役のマーゴット・ロビーが可愛すぎる!! 彼女が着たおすピンクの超可愛いお洋服の数々も素晴らしくて中にはシャネル(マーゴット・ロビーはシャネルのアンバサダー)のビンテージものがあったりと、目をサラのようにしてチェックしました。髪型も靴もアクセサリーも着せ替え人形そのままにキュートで全部チェック!! 音楽も超豪華な布陣で、サントラは大ヒット驀進中とのこと。ダンスシーンも見もの。俳優たちの統制されたダンスは見入ってしまうカッコよさ。

バービー


バービーたちは理想の女性たちの雛形

美しい老女になるために何をすればいい?

でも、女性監督・脚本(製作にマーゴット・ロビー)だけあって、前述したようにフェミニズム視点がいたるところに。バービーが人間界にやってきて、ベンチで年老いた老女を見て、「あなた綺麗よ」と言い、老女が「知ってるわ」と言うシーンなど、女性監督しか書けないシーンだと思う。歳をとらないバービーは人間の老女の美しさに気づくのである。またバービーは度々泣く。人形が人間の心をだんだんと持っていくのだ。私も一緒にうるうるした。

人間界からバービーランドに戻るクライマックスでは、バービーたちが男社会について矢継ぎ早に文句を連発する。それが的を得すぎててしばし唖然としながら、全部メモっておきたかったよ!(笑)それくらい現代の男社会を辛辣に揶揄していて凄い凄い! その通りだよ!! と共感しきり。そして、そういう社会で私たち女性は生きているのだ、と痛感と諦観。でも……その社会でこれからも生きていく。少しでも変わっていくように声を上げたい、と覚悟も。たとえ小さな声でも。少しずつ。

意外に骨太なメッセージが込められた本作。バービー人形や、リカちゃん人形で遊んでいた少女たち、目覚めよ!! 女性は老いてもいつまでも美しいのだ!!美しい老女になるために、どういう人生を送ればいいのか、今何をすればいいのか、この映画は教えてくれる。

監督・脚本 グレタ・ガーウィグ

脚本 ノア・バームバック

出演・製作 マーゴット・ロビー

出演 ライアン・ゴズリング アメリカ・フェレーラ ウィル・フェレル ケイト・マッキノン

デュア・リパ シム・リウ マイケル・セラ

※114分

ワーナー・ブラザース映画
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※8月11日(金)大阪ステーションシティシネマ他 全国ロードショー




  

  

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