一宮千桃のスピリチュアル☆シネマレビューPART.119 「MERU[メルー]」

たとえ、他人には理解されなくても、頭がおかしいと思われても、自分の 直感に従って人は生き、したいことをすべきなのだ。

メルー峰に挑戦した不屈の男たち
驚愕、感動必須の傑作ドキュメンタリー!

本作を観ながら確信したことが三つある。
まず、男ってのは、まったくもって理解不能だな、と。特に登山家。
(まあ女性登山家もいるけど、圧倒的に男が多い。本作の登山家も男ばかり)。
登山家に「なぜ山に登るのか?」と聞くと「そこに山があるから」と
言う答えは有名だけど、山があるだけで命を賭けるってことにそも
そも私は? なんである。しかも、その山ってのが、山っていうけど、見た
ところ細長い崖にしかみえない。メルーって聞いたこともないし、どこ⁉︎

それは、インド・ヒマラヤの高峰(標高6600m)で、メルー中央峰は
クライマーの間ではシャークスフィン(サメの背びれ)と呼ばれているらしい。
そこを登攀しようとする三人の男たち。この30年一人も登攀に成功して
いないと言う難攻不落の岸壁だ。

2008年に挑戦するも、山頂まで残り100mのところで断念。
そして2011年に再挑戦するのだけど、その間に仲間の一人のレナンが事故で
瀕死の重傷を負う。頭蓋骨にダメージを受けたのに、彼は驚異的な回復力で
再挑戦に参加する。何があるか分からないと医者に言われようが、そこで
死ぬ覚悟でレナンは参加したのだ。

確信したことの二つめ。体は体が動かすのではない。心が動かすのだ、
ということ。

(The North Face Meru Expedition, 2011)

 

彼ら三人は生まれる前に決めてきた
魂が喜ぶことを一緒にするんだって

もう、驚愕の連続。

案の定、レナンは最終地点間際で言葉が出なくなって頭が朦朧としてくる。
ほとんど瀕死状態に見える。脳に酸素が行ってないのだ。そんな状態でも、
三人はただひたすら頂上を目指す。もう降りろよ! 諦めろ! と観てる
こちらはヒヤヒヤ、ハラハラ。

実際何日も岸壁にテントを釣って(⁉︎)ビバークするって、私からしたら
正気の沙汰ではない。ほとんど発狂してるとしか思えない。まったく理解
不能だ。
しかし、彼らは見事、メルー登頂に成功するのだ! 私、ただ唖然。

この三人。決めてきたね。生まれる前に「楽しいことを三人でやろう」って。
山に登るのは辛い、苦しい。だけど、魂は喜ぶことなんだろう。
ワクワク、ドキドキ、楽しいことなんだろう。辛さも苦しさも。
この三人の魂の結びつきに感動しかなかった。

 

聖なるものが扉を開ける条件は?
いくつもの神からのメッセージ

すごいよ、すごいよ。本作にはスピリチュアルな気づきが沢山ある。
最も素晴らしい気づきは、三人の情熱に打たれて、メルーが頂上への登攀を
許してくれたってことだ。
頭がおかしいくらいそのことに夢中になっている人には聖なるものは扉を開
けてくれる。

たとえ、他人には理解されなくても、頭がおかしいと思われても、自分の
直感に従って人は生き、したいことをすべきなのだ。
改めて確信したことの三つ目だ。

驚愕のメルー峰の映像、驚愕の人間たちの姿、どれも美しくて絶句。
神からのメッセージのような、素晴らしいドキュメンタリー映画だった。

監督 ジミー・チン エリザベス・チャイ・バサヒリティ
出演 コンラッド・アンカー ジミー・チン レナン・オズターク ジョン・
クラカワー ジェニー・ロウ・アンカー
91分

※12月31日(土)~全国ロードショー

 

「MERU/メルー」コピーライト
© 2015 Meru Films LLC All Rights Reserved.

 

《一宮千桃さんの記事一覧はコチラ》
https://www.el-aura.com/writer/ichimiyasentou/?c=26311